テラパワー

次世代型原子炉の研究開発を行うアメリカの企業

テラパワー英語:TerraPower)は、次世代型原子炉の研究開発を行うアメリカ合衆国ワシントン州のテクノロジー企業である。筆頭オーナーはビル・ゲイツカスケード・インベストメントを通じて[1])。

テラパワー
TerraPower
種類 非公開企業
本社所在地 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国
ワシントン州ベルビュー
設立 2006年 (18年前) (2006)
業種 原子力
事業内容 次世代型原子炉の研究・開発
代表者 ビル・ゲイツ会長
クリス・レヴェック社長
リー・マッキンタイアCEO
主要株主 ビル・ゲイツ資産管理会社を通じて)
関係する人物 ビル・ゲイツ(創業者、筆頭株主)
外部リンク terrapower.com
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進行波炉

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現在世界で稼働している軽水炉PWR, BWRなど)は濃縮ウランを使用し、数年おきに燃料交換を必要とするが、進行波炉(TWR, Traveling Wave Reactor)はウラン濃縮過程で生成される劣化ウランを使用し、最長100年間燃料交換なしで運転可能とされる[2][3][4]。テラパワーが研究中のTWRの出力は軽水炉並みの10万から100万キロワットとみられている[5][4]

2010年当時のテラパワーの企業目標には以下が含まれていた(ジョン・ギルランドCEOのプレゼンテーションより[6])。

2009年11月6日、ビル・ゲイツとテラパワー幹部が東芝の横浜事業所(横浜市磯子区)と京浜事業所(同鶴見区)を視察、12月1日には東芝と秘密保持契約(NDA)を締結した[5][4]。東芝は2014年に米国で1号機が着工予定であった小型炉「4S」を開発しており、4Sは燃料交換なしで30年間稼働、出力1万キロワットである[3][4]。4Sの技術の多くがTWRに転用可能とされる[5][4]

ナトリウム

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テラパワーはアメリカのワイオミング州ナトリウム冷却高速炉の「ナトリウム」をウォーレン・バフェット傘下の電力会社パシフィコープと共同で建設すると2021年6月2日州知事が発表した。同炉は実証炉の段階にあり出力345MWの小型原子炉で溶融塩エネルギー貯蔵システムと組み合わされる[7]。炉心にはGE日立ニュークリア・エナジーPRISMを採用した[8]。燃料には高純度低濃縮ウランの(HALEU)を用いる。

開発はDOEも支援しており、2022年には日本原子力研究開発機構三菱重工業もんじゅ常陽の運用データを提供して参加することが報道された[9][10]

2024年6月10日、ワイオミング州南西部のケンメラーで閉鎖予定の石炭火力発電所近くで起工された。2030年運転開始予定[11]

脚注

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  1. ^ Bill Gates, Toshiba in early talks on nuclear reactor, Sydney Morning Herald, March 23, 2010
  2. ^ ゲイツ氏と東芝、原発開発でタッグ? 米企業が協力要請”. 朝日新聞 (2010年3月24日). 2010年3月26日時点のオリジナルよりアーカイブ。2010年3月24日閲覧。
  3. ^ a b 次世代原子炉:100年連続運転の開発、ゲイツ氏が東芝とタッグ 私財数千億円投じ”. 毎日新聞 (2010年3月23日). 2010年3月24日閲覧。
  4. ^ a b c d e 東芝、ゲイツ氏と次世代原発開発へ 維持コスト管理を低減”. 産経新聞 (2010年3月23日). 2010年3月26日時点のオリジナルよりアーカイブ。2010年3月25日閲覧。
  5. ^ a b c ゲイツ、原発挑戦の真相”. 日本経済新聞 (2010年3月23日). 2010年3月24日閲覧。
  6. ^ The TerraPower Initiative”. Department of Nuclear Engineering, University of California, Berkeley. 2010年3月24日閲覧。
  7. ^ ゲイツ氏の原子力ベンチャー、次世代炉建設へ ワイオミング州でロイター2021年6月3日
  8. ^ 日立の新型炉開発の取り組みについて2022年4月20日 株式会社日立製作所原子力ビジネスユニット
  9. ^ 米高速炉計画、原子力機構と三菱重工が参加へ電気新聞2022年1月6日
  10. ^ 原子力機構など、米テラパワーと覚書/高速炉技術開発で協力”. 電気新聞ウェブサイト (2022年1月26日). 2022年2月10日閲覧。
  11. ^ 米テラパワー 「Natrium」起工式を挙行原子力産業新聞2024年6月13日

外部リンク

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