テラ
テラ(tera, 記号: T)は国際単位系 (SI) におけるSI接頭語の1つで、基礎となる単位の1012(=一兆)倍の量であることを示す。
概要
編集国際単位系 (SI) の制定時(1960年)にSI接頭語として定められたもので、ギリシア語で「怪物」を意味する τέρας (teras) に由来する。
また、これはギリシア語で「4」を意味する接頭語 τετρα- (tetra-) に似ており、1012 = 10004 でもあるため、ペタ以上の接頭語を制定する際に参考にされた。
一般的な用法
編集SI接頭語
編集接頭語 | 記号 | 10n | 十進数表記 | 漢数字表記 | short scale | メートル法への導入年 | 国際単位系における制定年 |
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クエタ (quetta) | Q | 1030 | 1000000000000000000000000000000 | 百穣 | nonillion | - | 2022年 |
ロナ (ronna) | R | 1027 | 1000000000000000000000000000 | 千𥝱 | octillion | ||
ヨタ (yotta) | Y | 1024 | 1000000000000000000000000 | 一𥝱 | septillion | 1991年 | |
ゼタ (zetta) | Z | 1021 | 1000000000000000000000 | 十垓 | sextillion | ||
エクサ (exa) | E | 1018 | 1000000000000000000 | 百京 | quintillion | 1975年 | |
ペタ (peta) | P | 1015 | 1000000000000000 | 千兆 | quadrillion | ||
テラ (tera) | T | 1012 | 1000000000000 | 一兆 | trillion | 1960年 | |
ギガ (giga) | G | 109 | 1000000000 | 十億 | billion | ||
メガ (mega) | M | 106 | 1000000 | 百万 | million | 1874年 | |
キロ (kilo) | k | 103 | 1000 | 千 | thousand | 1795年 | |
ヘクト (hecto) | h | 102 | 100 | 百 | hundred | ||
デカ (deca) | da | 101 | 10 | 十 | ten | ||
100 | 1 | 一 | one | ||||
デシ (deci) | d | 10−1 | 0.1 | 一分 | tenth | 1795年 | 1960年 |
センチ (centi) | c | 10−2 | 0.01 | 一厘 | hundredth | ||
ミリ (milli) | m | 10−3 | 0.001 | 一毛 | thousandth | ||
マイクロ (micro) | μ | 10−6 | 0.000001 | 一微 | millionth | 1874年 | |
ナノ (nano) | n | 10−9 | 0.000000001 | 一塵 | billionth | - | |
ピコ (pico) | p | 10−12 | 0.000000000001 | 一漠 | trillionth | ||
フェムト (femto) | f | 10−15 | 0.000000000000001 | 一須臾 | quadrillionth | 1964年 | |
アト (atto) | a | 10−18 | 0.000000000000000001 | 一刹那 | quintillionth | ||
ゼプト (zepto) | z | 10−21 | 0.000000000000000000001 | 一清浄 | sextillionth | 1991年 | |
ヨクト (yocto) | y | 10−24 | 0.000000000000000000000001 | septillionth | |||
ロント (ronto) | r | 10−27 | 0.000000000000000000000000001 | octillionth | 2022年 | ||
クエクト (quecto) | q | 10−30 | 0.000000000000000000000000000001 | nonillionth |
情報工学の分野における使用法
編集情報工学の分野において、SI接頭語「テラ」は、国際単位系 (SI) の定めに従い1,000,000,000,000(= 1012)倍(= 1000(103)ギガ)を示す場合と、国際規格などで定められていない俗習[3]として1,099,511,627,776(= 240)倍(= 1024(210)ギビ)を表す場合[1]がある。
この曖昧さを回避するため、1,099,511,627,776(= 240)倍を示す接頭語として、国際規格(IEC 80000-13)にてSI接頭語と区別できる2進接頭辞「テビ」(tebi,記号:Ti)が定められているが、「テビバイト」(tebibyte,記号:TiB)や「テビビット」(tebibit,記号:Tibit,Tib)などの単位は、あまり用いられていない[1]。
また、国際単位系 (SI) 第8版(2006年)にて、ギガやその他のSI接頭語を決して2のべき乗を表すために用いてはならないと定めている[4]が、大手IT企業であるマイクロソフトなどが、未だ国際単位系 (SI) の定めに完全には従っておらず[1]、2のべき乗を表す用法も混在する状況は解決されていない[2]。なお、macOSでは、Mac OS X Leopard以前は2のべき乗(1024倍)が用いられていたが、2009年公開のMac OS X Snow Leopard以降は10の整数乗(1000倍)を用いたストレージ容量やファイルサイズ表示に変更された。[5]
脚注
編集- ^ a b c d Microsoft Windowsや過去のmacOSでは、コンピュータの記憶容量やファイルサイズについて、俗習に従い、1,024バイトを1キロバイト、1,024キロバイトを1メガバイト、1,024メガバイトを1ギガバイト、1,024ギガバイトを1テラバイトと表している。(これらは国際規格(IEC 80000-13)に従う場合、1,024バイトを1キビバイト、1,024キビバイトを1メビバイト、1,024メビバイトを1ギビバイト、1,024ギビバイトを1テビバイトと表すことができる。)
- ^ a b パソコンで記憶媒体の詳細な空き容量を調べてみると、カタログスペックとして記載されている容量より、表示される容量のほうが少なくなることが多い。これは記憶媒体の容量を、メーカーが国際単位系 (SI) に従い10の整数乗で計算することが多いのに対し、主なパソコンのオペレーティングシステム(Microsoft Windows・過去のmacOS)が俗習に従い2のべき乗で計算することに起因する。
- ^ 情報工学の分野において、接頭語「ギガ」を、国際単位系 (SI) の定めに従わず、俗習として1,099,511,627,776(240)倍(= 1024(210)ギビ)を示す場合があるのは、コンピュータが内部ですべての数値を2進数に置き換えて処理していることと、1,024(210)が概ね1,000(103)であること、及び、代表的なOS(Microsoft Windowsや過去のmacOSなど)にて記憶媒体の容量やファイルサイズの換算に用いていることが主な理由である。
- ^ 国際単位系 (SI) 第8版(2006)日本語版(原書:国際度量衡局 日本語訳:産業技術総合研究所 計量標準総合センター) 3.SI 単位の10進の倍量及び分量 3.1 SI接頭語 p.33サイドノート
「これらのSI接頭語は10の整数乗を表す。それらを決して2のべき乗を表すために用いてはならない(例えば,1キロビットは1000ビットであり,1024ビットではない)。IEC 規格 60027-2:2005,第3版,電気用文字記号―第2部:電気通信及びエレクトロニクス(IEC 60027-2: 2005, third edition, Letter symbols to be used in electrical technology –Part 2: Telecommunications and electronics)では210,220,230,240,250,及び260に対する接頭語がそれぞれ以下のように定義されている。- 名称 / 記号
- キビ (kibi) / Ki
- メビ (mebi) / Mi
- ギビ (gibi) / Gi
- テビ (tebi) / Ti
- ペビ (pebi) / Pi
- エクスビ (exbi) / Ei
- ^ “iOS および macOS でのストレージ容量の表示方法”. Apple Inc (2018年3月14日). 2022年10月3日閲覧。