テトラヒドロメタノプテリン
テトラヒドロメタノプテリン(Tetrahydromethanopterin、H4MPT)は、メタン生成経路の補酵素の一つ。第1級炭素のキャリアであり、それを補酵素Mに転位させる前にメチル基に還元する[1]。
テトラヒドロメタノプテリン | |
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(2S)-2-[[(2R,3R,4R,5S)-5-[(2R,3S,4S) -5-[4-[[(1R)-1-[(7S)-2-アミノ-7-メチル-4-オキソ-5,6,7,8-テトラヒドロ-1H-プテリジン-6-イル]エチル]アミノ]フェニル]-2,3,4-トリヒドロキシペントキシ]-3,4-ジヒドロキシオキソラン-2-イル]メトキシヒドロキシホスホリル]オキシペンタン二酸 | |
識別情報 | |
CAS登録番号 | 92481-94-2 |
PubChem | 5459995 |
特性 | |
化学式 | C30H45N6O16P |
モル質量 | 776.682661 |
特記なき場合、データは常温 (25 °C)・常圧 (100 kPa) におけるものである。 |
テトラヒドロサルシノプテリン(H4SPT)は、H4MPTの修飾形で、2-ヒドロキシグルタル酸末端にグルタミル基が結合している。
第1級炭素の変換
編集N-ホルミルメタノフランは第1級炭素をプテリンのN5位に供与し、ホルミルH4MPTを与える[2]。ホルミル基は続いて、分子内変換によってメテニルH4MPT+を与え、さらにメチレンH4MPTに還元される[3]。メチレンH4MPTはさらに電子供与体であるH2F420を使うメチルH4MPT還元酵素によってメチルH4MPTに変換される。メチルH4MPTは補酵素Mへのメチル基供与体であり、補酵素Mメチル転位酵素によってこの反応は触媒される[1]。
テトラヒドロ葉酸との比較
編集H4MPTはテトラヒドロ葉酸(H4F)との関連性が大きいことが知られている。その違いは、図の赤と青で示してある。最も重要な違いは、テトラヒドロ葉酸が電子求引性のカルボニル基をフェニル環に持っていることである。結果、メテニルH4MPTの還元はメテニルH4Fより難しくなっている。還元は鉄-硫黄クラスターフリーヒドロゲナーゼによってもたらされる[3]。名称が回りくどくなっているのは、鉄-硫黄クラスターを含むFeのみのヒドロゲナーゼとこのヒドロゲナーゼとを区別するためである。
脚注
編集- ^ a b Thauer, R. K., "Biochemistry of Methanogenesis: a tribute to Marjory Stephenson", Microbiology, 1998, 144, 2377-2406.
- ^ Acharya, P.; Warkentin, E.; Ermler, U.; Thauer, R. K.; Shima, S., "The Structure of Formylmethanofuran:Tetrahydromethanopterin Formyltransferase in Complex with its Coenzymes", Journal of Molecular Biology, 2006, volume 357, pages 870-879.
- ^ a b Korbas, M.; Vogt, S.; Meyer-Klaucke, W.; Bill, E.; Lyon, E. J.; Thauer, R. K. and Shima, S., "The Iron-Sulfur Cluster-free Hydrogenase (Hmd) Is a Metalloenzyme with a Novel Iron Binding Motif", Journal of Biological Chemistry, 2006, volume 281, pages 30804-30813.