ティパサ (ベルベル語:ⵜⵉⵒⴰⵣⴰ, アラビア語:تيبازة) は、アルジェリア沿岸部にあるティパサ県の県庁所在地。1857年に建造されたその近代的な町並みは、砂浜でひときわ目立っている。町の名前はアラビア語で「荒廃した都市」の意味である。その名前の由来となった古代ローマの遺跡群が町には残り、ユネスコ世界遺産にも登録されている。

ティパサ
تيپازة
位置
ティパサの位置(アルジェリア内)
ティパサ
ティパサ
ティパサ (アルジェリア)
ティパサの位置(地中海内)
ティパサ
ティパサ
ティパサ (地中海)
ティパサの位置(アフリカ内)
ティパサ
ティパサ
ティパサ (アフリカ)
座標 : 北緯36度35分31秒 東経2度26分58秒 / 北緯36.59194度 東経2.44944度 / 36.59194; 2.44944
行政
アルジェリアの旗 アルジェリア
  ティパザ県
 郡 ティパザ郡
 町 ティパサ
その他
等時帯 西アフリカ時間 (UTC+1)

歴史

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古代史

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ティパサはフェニキア人によって建てられた。クラウディウス帝のときに古代ローマの軍事拠点とされたあと、市 (municipium) になった。その都市は海を見下ろす3つの小丘の上に建てられた。家々のほとんどは中央の丘に建てられたが、その痕跡は残っていない。かわりに、西の丘の大バシリカ (Great Basilica) とアレクサンデル大聖堂 (Basilica Alexander)、東の丘の聖サルサ大聖堂 (Basilica of St Salsa) の計3つの教会堂、2つの墓地、浴場、劇場、アンフィテアトルムなどの廃墟は残っている。また、城壁のラインは明瞭に辿ることが出来るし、東の丘のふもとには港跡がある。

バシリカ群は、モザイク模様に覆われた石棺が並ぶ墓地に囲まれている。ステファヌ・グセル (Stéphane Gsell) に発掘された聖サルサ大聖堂は、一つの身廊と二つの翼廊からなり、モザイク模様がなお残っている。大バシリカは何世紀にも渡って石切り場と化してはいたが、7つの翼廊に分かれていた教会のプラン(平面図)は見て取れる。教会の土台の下で、硬い石の地盤から墓石が切り出された。それらの切り出された跡には、24の石棺を納めるためのスペースの空いた直径18mの円形のものもあった。

キリスト教は早期に伝来し、3世紀にはティパサは司教座になっていたが、住民の多くは非キリスト教徒のままだった。4世紀にあったとされる出来事に、聖女サルサの殉教がある。伝説によれば、キリスト教徒の乙女サルサは、住民が信仰していたヘビの偶像の頭部を海に棄ててしまい、激昂した住民たちの石打ちに遭って、死んでしまったという。奇跡的に海から引き上げられた彼女の亡骸は、港の上の丘に葬られ、そこに小さな礼拝堂が建てられたという。これが後に聖サルサ大聖堂になったとされる。

484年には、ヴァンダルの王フネリック(Huneric)が、この地にアリウス派の司教を派遣した。それから程なくして、住民のほとんどはスペインへ逃げた。その一方で、残った住民たちは苛烈な迫害にさらされた。これ以降、古代都市ティパサは歴史から姿を消す。今も残る荒廃した有様が、後にやってきたアラブ人たちによるものであろうとなかろうと、どちらにしても彼らはこの町には定住することはなかった。

近現代史

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ティパサ近くには、ティパサラジオ局 (Tipaza longwave transmitter) があり、252kHzでフランス語によるラジオ放送を届けており、ヨーロッパの大部分でも受信可能である。

世界遺産

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  ティパサ
アルジェリア
 
ティパサ
英名 Tipasa
仏名 Tipasa
登録区分 文化遺産
登録基準 (3), (4)
登録年 1982年
備考 過去に危機遺産登録(2002年 - 2006年)
公式サイト 世界遺産センター(英語)
使用方法表示

アルジェリアの他のローマ都市遺跡であるジェミラティムガッドなどと同時に、ユネスコの世界遺産に登録された。登録されたのは、ティパサ西部考古公園(Tipasa: Parc archaéologique ouest, 世界遺産ID193-001)、ティパサ東部考古公園 (Tipasa: Parc archaéologique est, ID193-002) 、死者記念塔 (Mausoleum Kbor er Roumia, ID193-003) の3物件である。

登録基準

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この世界遺産は世界遺産登録基準のうち、以下の条件を満たし、登録された(以下の基準は世界遺産センター公表の登録基準からの翻訳、引用である)。

  • (3) 現存するまたは消滅した文化的伝統または文明の、唯一のまたは少なくとも稀な証拠。
  • (4) 人類の歴史上重要な時代を例証する建築様式、建築物群、技術の集積または景観の優れた例。

危機遺産登録

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ティパサの遺跡群は、国立考古学公園となっているが、保護が行き届いておらず、環境の悪化が深刻となっていた。このため、2002年に危機遺産リストに加えられた。その後、保護に関する保護法制や計画が整備されたことにより、2006年に危機遺産リストからは除去された[1]

ギャラリー

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脚注

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  1. ^ この節は『世界遺産年報2002』『同2006』によった。

外部リンク

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座標: 北緯36度35分42秒 東経2度26分27秒 / 北緯36.59500度 東経2.44083度 / 36.59500; 2.44083