チルゼパチド
ペプチド
チルゼパチド[1](Tirzepatide)は、グルコース依存性インスリン分泌刺激ポリペプチド(GIP)/グルカゴン様ペプチド1(GLP-1)共受容体作動薬であり、2型糖尿病と肥満症の治療に使用するイーライリリー・アンド・カンパニーが開発した医薬品である[2]。
IUPAC命名法による物質名 | |
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臨床データ | |
販売名 | マンジャロ |
法的規制 |
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データベースID | |
CAS番号 | 2023788-19-2 |
PubChem | CID: 156588324 |
KEGG | D11360 |
別名 | LY-3298176 |
化学的データ | |
化学式 | C225H348N48O68 |
分子量 | 4,813.53 g·mol−1 |
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アメリカ食品医薬品局が2022年5月13日に、2型糖尿病の治療薬として承認した[3]。アメリカ合衆国での商品名は Mounjaro で[3]、日本での商品名はマンジャロで、2022年9月26日に日本イーライリリーが製造販売承認を受け、田辺三菱製薬が販売流通する[4]。39のアミノ酸残基から成るペプチドで、GIPの構造を元にしながらもGLP-1受容体をも刺激出来る。開発コードはLY-3298176。投与方法は皮下注射である[5]。
2023年11月8日にアメリカ食品医薬品局は、ゼップバウンド(Zepbound)を肥満症治療薬として承認した[6]。なお、ゼップバウンドはマンジェロと有効成分は同じもの[7]。
2024年4月、アメリカ食品医薬品局の医薬品不足データベースは、ゼップバウンドとモウンジャロのほとんどの用量が2024年第2四半期まで供給不足になることを示している[8]。
副作用
編集- 低血糖症状(脱力感、高度の空腹感、冷汗、顔面蒼白、動悸、振戦、頭痛、めまい、嘔気、視覚異常等)
- 急性膵炎
- 胆嚢炎、胆管炎、胆汁鬱滞性黄疸
薬物動態
編集血中半減期は4.86日間(116.7時間)であり[9]、週1回投与が可能である。
臨床試験
編集2021年8月現在、10本の第III相臨床試験が実施されており、そのうち4本で肯定的な結果が報告された[9]。
脚注
編集- ^ “KEGG DRUG: チルゼパチド”. www.genome.jp. 2021年8月30日閲覧。
- ^ Abelovska, Jana. “Mounjaro for weight loss” (英語). click-pharmacy. 2024年6月27日閲覧。
- ^ a b 高志 昌宏 (2022年6月7日). “抗肥満薬としてのGIP/GLP-1作動薬、体重2割減”. 日経メディカル (日経BP) 2022年6月9日閲覧。
- ^ “世界初の持続性 GIP/GLP-1 受容体作動薬「マンジャロ皮下注」新発売 日本イーライリリーと田辺三菱製薬”. 医薬通信社 (2023年4月18日). 2023年11月10日閲覧。
- ^ “Tirzepatide - Eli Lilly and Company - AdisInsight”. adisinsight.springer.com. 2021年8月30日閲覧。
- ^ “米FDA、イーライリリーの肥満症治療薬を承認 英国でも”. ロイター (2023年11月9日). 2023年11月9日閲覧。
- ^ “イーライリリー、肥満症治療薬でFDAの承認獲得-「ウゴービ」と競合”. Bloomberg (2023年11月9日). 2023年11月9日閲覧。
- ^ Constantino, Annika Kim (17 April 2024). “Most doses of Eli Lilly's Zepbound, Mounjaro in short supply through June, FDA says”. CNBC. 18 April 2024閲覧。
- ^ a b 今滿 仁美 (2021年7月20日). “GLP-1とGIPの共作動薬、第3相試験の結果は?”. 日経メディカル. 2021年8月30日閲覧。