チャップリンの総理大臣
『チャップリンの総理大臣』(Caught in a Cabaret) は、1914年公開の短編サイレント映画。キーストン社による製作で、監督はメーベル・ノーマンド。1971年に映画研究家ウノ・アスプランドが制定したチャールズ・チャップリンのフィルモグラフィーの整理システムに基づけば、チャップリンの映画出演12作目にあたる[1][注釈 1]。別邦題は「キャバレー御難の巻」[2]。
チャップリンの総理大臣 | |
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Caught in a Cabaret | |
フランス語版ポスター | |
監督 | メーベル・ノーマンド |
脚本 |
メーベル・ノーマンド チャールズ・チャップリン |
製作 | マック・セネット |
出演者 |
メーベル・ノーマンド チャールズ・チャップリン ハリー・マッコイ チェスター・コンクリン エドガー・ケネディ ミンタ・ダーフィ フィリス・アレン |
撮影 | フランク・D・ウィリアムズ |
配給 | キーストン・フィルム・カンパニー |
公開 | 1914年4月27日 |
上映時間 | 16分 |
製作国 | アメリカ合衆国 |
言語 |
サイレント映画 英語字幕 |
チャップリン映画の定番の一つである「替え玉 or なりすましもの」に属し、この系譜は以降『チャップリンの駈落』や『チャップリンの伯爵』などに引き継がれる[3]。上流階級を皮肉るという点においても『チャップリンのスケート』や『のらくら』、『街の灯』の先駆を成している[4]。
あらすじ
編集スラム街のキャバレーでウェイターとして働くチャーリーは、恋人とのデート中に暴漢に襲われていたメーベルを救出する。グリーンランド総理大臣の名刺を見せて身分詐称したチャーリーは、メーベルに気に入られパーティーに招待される。一方、暴漢から逃げてメーベルにふられた恋人はチャーリーの後をつけ、チャーリーがウェイターであることを知る。いったんキャバレーに戻って正装したチャーリーはパーティーに出かけ大いに歓待されるが、キャバレーに戻る刻限が近づいて途中で辞去。メーベルの恋人は、パーティーの参会者たちを誘ってキャバレーにやってくる。紳士淑女らの来訪に店員たちは喜んでもてなすが、メーベルは喧噪ぶりに唖然。メーベルと鉢合わせしたチャーリーは何とか取り繕おうとするが、やがて正体がばれて逆上、店中を巻き込んで乱闘した末になおもメーベルに言い寄るが、突き飛ばされてひっくり返る。
背景
編集この作品では、当時のチャップリンの愛犬であるダックスフントが登場し、チャーリーをキャバレーの外に連れ出す役目を果たしている[4]。もっともチャップリンは後年、『チャップリンの拳闘』や『犬の生活』で犬を巧みに使う作品を製作するが、ダックスフントはストーリーを広げる役割を果たしているものの、それらの作品ほど関係が深いわけではない[4]。
キャスト
編集- メーベル・ノーマンド:メーベル
- チャールズ・チャップリン:ウェイター
- ハリー・マッコイ:恋仇
- チェスター・コンクリン:ウェイター仲間
- エドガー・ケネディ:カフェ経営者
- ミンタ・ダーフィ:キャバレーの客
- フィリス・アレン:ダンサー
- ジョゼフ・スウィッカード:メーベルの父親
- アリス・ダヴェンポート:メーベルの母親
- ゴードン・グリフィス:公園の少年
- アリス・ハウエル:パーティーのゲスト
- ウォレス・マクドナルド:パーティーのゲスト
- ハンク・マン:眼帯の客
- マック・スウェイン:乱暴な客、パーティーのゲスト、少年の父親(三役)
etc
脚注
編集注釈
編集- ^ 1914年製作、2010年発見の『泥棒を捕まえる人』を除く
出典
編集- ^ #大野 (2007) p.253
- ^ “喜劇王シリーズ1 チャーリー・チャップリン 字幕版 [VHS 「チャップリンの駆落 THE JITNEY ELOPEMENT(1915)」 「チャップリンの公園の巻 IN THE PARK(1915)」 「キャバレー御難の巻 CAUGHT IN CABARET(1914)」 「チャップリンのスケート THE RINK(1916)」 全4話収録 VHS]”. Amazon.com. 2024年11月11日閲覧。
- ^ #大野 (2007) p.72
- ^ a b c #Ted Okuda p.38
- ^ Caught in a Cabaret (1914) - IMDb 2023年11月22日閲覧。
- ^ Hank Mann : Classic Movie Hub (CMH) 2023年11月22日閲覧。
参考文献
編集- チャールズ・チャップリン『チャップリン自伝』中野好夫(訳)、新潮社、1966年。ISBN 4-10-505001-X。
- デイヴィッド・ロビンソン『チャップリン』 上、宮本高晴、高田恵子(訳)、文藝春秋、1993年。ISBN 4-16-347430-7。
- デイヴィッド・ロビンソン『チャップリン』 下、宮本高晴、高田恵子(訳)、文藝春秋、1993年。ISBN 4-16-347440-4。
- 大野裕之『チャップリン再入門』日本放送出版協会、2005年。ISBN 4-14-088141-0。
- Charlie Chaplin at Keystone And Essanay: Dawn of the Tramp - Google ブックス
- 大野裕之『チャップリン・未公開NGフィルムの全貌』日本放送出版協会、2007年。ISBN 978-4-14-081183-2。
外部リンク
編集- Caught in a Cabaret - IMDb
- チャップリンの総理大臣 - インターネット・アーカイブ(BGM有り。やや不鮮明)
- チャップリンの総理大臣 - youtube(BGM有り)