ダンコウバイ
ダンコウバイ(檀香梅[5]、学名: Lindera obtusiloba)は、クスノキ科クロモジ属の落葉低木・小高木の一種。別名でウコンバナ[5][6]、シロヂシャ[5]ともよばれる。和名の由来は、実や葉、また材が檀香(ビャクダン:白壇)のように香り、花がウメ(梅)に似ていることによる[6]。丸みのある浅く3裂した葉が特徴。
ダンコウバイ | |||||||||||||||||||||
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ダンコウバイの花
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分類 | |||||||||||||||||||||
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学名 | |||||||||||||||||||||
Lindera obtusiloba Blume (1851)[1] | |||||||||||||||||||||
シノニム | |||||||||||||||||||||
和名 | |||||||||||||||||||||
ダンコウバイ | |||||||||||||||||||||
英名 | |||||||||||||||||||||
Japanese Spicebush | |||||||||||||||||||||
品種 | |||||||||||||||||||||
分布・生育地
編集中国、朝鮮半島、日本に分布する[7]。日本では本州(新潟県、関東地方以西)、四国、九州に分布する[7][8]。山地の雑木林内や林縁の明るい場所に自生する[9][10][6]。植栽されることは稀であるが、庭にも植えられる[9][5]。
特徴
編集落葉広葉樹の低木から小高木[7][6]。成木は樹高2 - 7メートル (m) [5][11]、幹の直径約18センチメートル (cm) 。樹皮は暗灰色から茶褐色で滑らかであるが、皮目が多く少しざらつく感じになる[7][11]。小枝は日当たりのよい面は赤味を帯び、日陰側は緑色であることが多い[11]。枝を折ると芳香がある[5][11]。
花期は3 - 4月[7]。雌雄異株で、雄株のほうが花数が多い[5]。葉が芽吹く前に、芳香がある黄色い小さな花を散形花序に多数つける[7][5][8]。雄花と雌花の花被片は6個で楕円形[5][8]。雄花の雄蕊の花糸に1対の密腺がある[12]。花序の柄は長さ1ミリメートル (mm) ほどついている[12]。
葉は互生し、柄がある。葉身は幅広い倒卵形で、長さは5 - 15 cm、幅は4 - 13 cm[8]、基部が幅広く丸くなり先端が浅く3裂するのが基本であるが、なかには裂けないものもある[7][6]。葉質はやや厚く、表面はつやのない緑、若葉の裏面には毛が生えている。葉によって裂け方にかなり個体差があり、裂けない葉もある[8]。外見的には葉の形などシロモジにやや似る。葉も揉むとわずかに芳香がある。秋になると葉は黄葉して鮮やかな黄色に染まり、やがて落葉する[6]。ダンコウバイの葉のように浅く3つに切れ込む葉は他にみられず、葉の形で簡単に見分けられる[9]。
果期は9 - 10月[7]。果実はクスノキの実を少し大きくしたような光沢のある球形で、直径は7 - 8 mmほどあり[6][5]、はじめは赤色であるが秋の黄葉の時期に熟して黒紫色に変わる[7][11]。種子は淡褐色から褐色で強い香りがある。
冬芽は互生し、葉芽は長楕円形で、花芽はほぼ球形[11]。芽鱗は赤茶色で花芽は2 - 3枚、葉芽は4 - 5枚ある[11]。落葉のころには来春の花芽が葉腋にでき、つぼみのまま越冬する[5]。葉痕は半円形で、維管束痕が3個つく[11]。
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葉が展開する前に花をつける
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葉
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果実
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黄葉した葉と蕾
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樹皮
類似する植物
編集ウコギ科のカクレミノ(Dendropanax trifidus)は常緑樹で、葉がダンコウバイやシロモジ(Lindera triloba)にやや似ており、秋に古い葉の一部が橙色から黄色に紅葉する[9]。シロモジもダンコウバイも、切れ込みのない葉が時折混じる[9]。
利用
編集庭木に利用されている[8]。材は芳香があり、楊枝や細工物に使う[7]。種子からは油がとれる[7]。果実には香りのいい油分があって、朝鮮では種子の油を高級な髪油として用いた[13]。
種の保全状況評価
編集脚注
編集- ^ 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Lindera obtusiloba Blume”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2022年3月27日閲覧。
- ^ 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Lindera obtusiloba Blume f. villosa (Blume) T.B.Lee”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2022年3月27日閲覧。
- ^ 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Lindera obtusiloba Blume f. quinqueloba (Uyeki) T.B.Lee”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2022年3月27日閲覧。
- ^ 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Lindera obtusiloba Blume f. ovata (Nakai) T.B.Lee”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2022年3月27日閲覧。
- ^ a b c d e f g h i j k 西田尚道監修 志村隆・平野勝男編 2009, p. 51.
- ^ a b c d e f g 亀田龍吉 2014, p. 106.
- ^ a b c d e f g h i j k 平野隆久監修 永岡書店編 1997, p. 23.
- ^ a b c d e f 樹皮・葉でわかる樹木図鑑 (2011)、101頁
- ^ a b c d e 林将之 2008, p. 25.
- ^ 長谷川哲雄 2014, p. 10.
- ^ a b c d e f g h 鈴木庸夫・高橋冬・安延尚文 2014, p. 233.
- ^ a b 長谷川哲雄 2014, p. 11.
- ^ 辻井達一『続・日本の樹木』中央公論新社〈中公新書〉、2006年2月25日、60頁。ISBN 4-12-101834-6。
- ^ “日本のレッドデータ検索システム「ダンコウバイ」”. (エンビジョン環境保全事務局). 2012年11月29日閲覧。 - 「都道府県指定状況を一覧表で表示」をクリックすると、出典の各都道府県のレッドデータブックのカテゴリー名が一覧表示される。
- ^ “福岡県の希少野生生物 RED DATA BOOK FUKUOKA 2011”. 福岡県 (2011年). 2012年11月29日閲覧。
参考文献
編集- 亀田龍吉『落ち葉の呼び名辞典』世界文化社、2014年10月5日、106頁。ISBN 978-4-418-14424-2。
- 鈴木庸夫・高橋冬・安延尚文『樹皮と冬芽:四季を通じて樹木を観察する 431種』誠文堂新光社〈ネイチャーウォチングガイドブック〉、2014年10月10日、233頁。ISBN 978-4-416-61438-9。
- 西田尚道監修 志村隆・平野勝男編『日本の樹木』学習研究社〈増補改訂フィールドベスト図鑑 5〉、2009年8月4日、51頁。ISBN 978-4-05-403844-8。
- 長谷川哲雄『森のさんぽ図鑑』築地書館、2014年3月10日、11頁。ISBN 978-4-8067-1473-6。
- 林将之『紅葉ハンドブック』文一総合出版、2008年9月27日。ISBN 978-4-8299-0187-8。
- 菱山忠三郎(監修) 編『樹皮・葉でわかる樹木図鑑』成美堂出版、2011年6月。ISBN 978-4415310183。
- 平野隆久監修 永岡書店編『樹木ガイドブック』永岡書店、1997年5月10日、13頁。ISBN 4-522-21557-6。
関連項目
編集外部リンク
編集- ダンコウバイの標本(埼玉県武甲山で1957年4月2日に採集) (千葉大学附属図書館)
- ダンコウバイの幹の標本(島根県飯南町で1950年7月に採集) (島根大学ミュージアム)
- ダンコウバイ (農林水産省関東森林管理局)