ダイハツ・ムーヴコンテ
ムーヴ コンテ(MOVE Conte)は、ダイハツ工業が製造・販売していた、ムーヴシリーズの軽トールワゴンである。通称「コンテ」。
ダイハツ・ムーヴコンテ L575S/585S型 | |
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2008年8月発売型 フロント | |
2008年8月発売型 カスタム フロント | |
概要 | |
別名 | トヨタ・ピクシススペース |
製造国 | 日本(大分県中津市) |
販売期間 | 2008年8月25日 - 2017年3月31日 |
ボディ | |
乗車定員 | 4名 |
ボディタイプ | 5ドア軽トールワゴン |
エンジン位置 | フロント |
駆動方式 | 前輪駆動 / 四輪駆動 |
パワートレイン | |
エンジン |
KF-VE型 658 cc 直列3気筒 DOHC DVVT KF-DET型 658 cc 直列3気筒 DOHC ターボ |
変速機 | CVT / 4速AT |
サスペンション | |
前 | マクファーソンストラット式 |
後 |
トーションビーム式(2WD車) 3リンク式コイルスプリング(4WD) |
車両寸法 | |
ホイールベース | 2,490 mm |
全長 | 3,395 mm |
全幅 | 1,475 mm |
全高 | 1,640 - 1,655 mm |
車両重量 | 820 - 930 kg |
系譜 | |
先代 | ダイハツ・ムーヴラテ |
後継 | ダイハツ・ムーヴキャンバス |
本項では便宜上、当車種のマスコットキャラクターである「カクカク・シカジカ」(略称:カクシカ)についても記述する。
概要
編集2008年、ダイハツの主力車種である4代目ムーヴの派生モデルとしてデビュー。ムーヴとは異なり、直線・平面的な外観になっている。また、高さ方向以外の室内寸法は標準ムーヴより小さく、後席ではシートスライドなどの一部の機能を省略する代わりに、前席はパワーエントリーシートなどの採用により、快適性や質感を高めるなど、標準車よりも前席を優先し、差別化を図っている。
また、自動車としては非常に珍しく、デビュー時よりマスコットキャラクターを用いたプロモーションが行われていた(後述)。
年表
編集- 2008年8月25日
- 4代目ムーヴの派生車種として販売を開始。月間目標販売台数は4000台と発表されている。
- ムーヴ同様、ノーマル(以下「コンテ」)のほかにドレスアップモデルの「ムーヴ コンテ カスタム」(MOVE Conte CUSTOM、以下「コンテカスタム」)も選べる。後者はバンパー、ヘッドランプ、フォグランプ、リヤコンビランプなどのデザインが大幅に異なる。エクステリアは4代目ムーヴとは異なり、直線・水平基調となっている。
- カスタムにはディスチャージヘッドランプを採用。インテリアは、ゆったりくつろげる部屋のようなコンセプトで、かつて販売されていたネイキッドのイメージを受け継ぐ直線基調のインパネ、縁にパイピングを施し、パワーエントリーシートを組み合わせたプレミアムソファーシート、ライトグレーにレッドのアクセントカラーを取り入れた独特のインテリアカラーを採用。
- 4代目ムーヴとは違い、リヤシートのスライド機構は付かず、リクライニングは1段階のみ対応する。センターメーター、インパネシフトは採用されていない(代わりに2代目タントと同形状のコラムシフトを採用)。なお、3代目ムーヴの派生モデルのラテは、コンテ発売後も半年間併売されていたが、同年12月をもって生産を終了、そして2009年3月をもって販売を終了した。
- 2009年9月1日
- 「X」をベースに、シルバーフロントグリル&ドアアウターハンドル、ドアミラーターンランプ、チルトステアリング、オートエアコンなど充実の装備内容としつつ、求めやすい価格設定にした「Xスペシャル」を追加。ミッションはCVTのみ。
- 2009年12月25日
- 一部改良。新たな排出ガス測定モードであるJC08コールドモードに対応。また、グレード体系が変更となり、コンテは「L Limited」、「X Limited」を廃止、「X Special」がカタロググレード化され、最上級グレードの「G」を追加。そしてコンテカスタムは新たに「X Limited」を追加し、全車にトップシェイド付きのフロントウインドウを採用した。また、燃費基準達成レベルが全車でグレードダウンされた。
- 2010年5月6日
- 仕様変更。コンテの4AT車「L」が廃止され、全車CVT仕様となり、ラジオアンテナがピラー内蔵型(ピラーアンテナ)からルーフ設置型(ルーフアンテナ)に変更された。コンテ・コンテカスタムの一部車体色を廃止。また、「X Special」の車両本体価格を2万円引き下げた。同日にカクシカをワンポイントに施した専用の14インチフルホイールキャップと専用バックドアデガール、さらに、フロントのトップシェイドガラスやルーフアンテナも追加装備しながら、ベース車両の「X」より1万円安く設定した特別仕様車「X+S」を発売。
- 2011年6月6日
- マイナーチェンジ。NA車全グレードに5代目ムーヴから採用されている第2世代KFエンジンを採用するとともに、「X」と「カスタムG」には同じく5代目ムーヴに採用されているアイドリングストップ機構「eco IDLE(エコアイドル)」も搭載。これらにより燃費が向上され「平成22年度燃費基準+25%」を達成した。このほか、フロントグリルを一新し、センタークラスター色をダークシルバーに変更。平均燃費計を追加した。また、「L」を除く全グレードに標準装備されているキーフリーシステムには運転席リクエストスイッチを追加した。前期型のウリの一つだった「パワーエントリーシート」はこのマイナーチェンジで廃止となった。グレード体系の変更も行い、コンテは「X Special」と「G」を廃止する替わりに、2010年5月の一部改良時に廃止していた廉価グレードの「L」をCVT仕様で再設定。コンテカスタムは「X Limited」と入れ替えで前述の「eco IDLE」を搭載した「G」を新設した。なお、コンテカスタムについては一部グレードで「eco IDLE」エンブレムが装着された関係で中期型までバックドア左側に配置されていた「CUSTOM」のロゴエンブレムを廃止した。
- 2011年9月5日
- ノーマルタイプにアイドリングストップ機構「eco IDLE」、バックモニター内蔵メモリーナビゲーションシステム、マルチリフレクターハロゲンフォグランプなどを装備して快適性・安全性を向上した新グレード「G NAVI」を追加。
- 2012年4月9日
- 一部改良(「カスタムRS」は5月下旬より生産開始)。全車にミライースに採用されている「e:Sテクノロジー」のうち、新エンジンと改良型CVTを組み合わせたパワートレーンと停車前アイドリングストップ機能付新型「eco IDLE」(すでに「eco IDLE」を搭載している「X」・「G NAVI」・「カスタムG」はシステムを改良、「L」・「カスタムX」・「カスタムRS[注釈 1][注釈 2]」は新搭載。)、エコ発電制御(減速エネルギー回生機能付)を採用したことで、燃費を大幅に向上。これにより、NA・2WD車は「平成27年度燃費基準+20%」、NA・4WD車は「平成27年度燃費基準+10%」、「カスタムRS」は「平成27年度燃費基準」をそれぞれ達成。さらに、「カスタムRS」は排出ガスのクリーン化により、「平成17年基準排出ガス75%低減レベル(☆☆☆☆)」も同時に達成した。装備面では「カスタムRS」「カスタムG」に6スピーカーパック(16cm 4ドアスピーカー&ツィーター)が標準装備される一方で「カスタムRS」からアジャスタブルパックが廃止された。
- 2012年11月1日
- 「X」をベースに、ブラックインテリア、内装メッキ加飾、ドアミラーターンランプ、ウレタンステアリングホイール(ブラック/メッキオーナメント付)、トップシェイドガラス、照明付バニティミラー(運転席/助手席)&チケットホルダー(運転席)を装備した特別仕様車「X"Limited"」を発売。
- 2013年7月1日
- 一部改良。コンテで外内装を刷新し、ボディカラーは「ライトローズメタリック」と「ブライトシルバーメタリック」を廃止する代わりに「マスカットグリーンメタリック(2代目・後期型タント設定色)」と「ムースピンクパール(後期型ココア採用色、オプションカラー)」を追加し、コンテカスタム専用色だった「アーバンナイトブルークリスタルメタリック(オプションカラー)」がコンテでも設定できるようになった。さらに、ボディ上部、ドアミラー、ホイールキャップを白(ボディはパールホワイトIII)で統一した2トーンカラー3パターンも設定された(2トーンカラーはメーカーオプション設定)。「X」と「G NAVI」はホイールキャップデザインを2010年5月発売の特別仕様車「X +S」と同様のデザインから中央部のカクシカのマークを四角をイメージした汎用のデザインに変更したものを採用した。内装はインパネやシートのアクセントカラーをグリーンに変更した。コンテカスタムはボディカラーにおいてコンテ同様「ブライトシルバーメタリック」を廃止する代わりにコンテ専用色だった「ミストブルーマイカメタリック」がコンテカスタムでも設定できるようになった。その他、NA車全グレードで5代目・後期型ムーヴに採用されたCVTサーモコントローラーを採用し、NA・2WD車には「エコアイドル」の停車前アイドリングストップの車速を9km/h以下に早めたことで燃費を向上。これにより、NA・2WD車に加え、NA・4WD車も「平成27年度燃費基準+20%」を達成。ターボ車の「カスタムRS」も燃費を向上し「平成27年度燃費基準+10%」を達成した。また、ブレーキのサイズアップで制動性をアップし、部品の改良により静粛性も向上。装備面では前回の一部改良にて全廃されていたアジャスタブルパックが全車標準装備となり、「L」を除く全車にキーフリー連動オート格納式ドアミラーやキーフリー電池残量警告灯も装備された。また、ディーラーオプションに用意されていたカクシカ関連のアクセサリーは廃止[注釈 3]。
- 2014年5月8日
- 特別仕様車「スマートセレクションSN」・「VS」を発売[1]。
- 前者は「X」とカスタム全グレードをベースに、スマートフォン連携ナビゲーションシステム、スーパーUV&IRカットガラス(フロントドア)、スーパーエアクリーンフィルターを特別装備。後者は「X」・「カスタムX」をベースに、「X」はカラードエアロリアバンパー(リアリフレクター付)を特別装備するとともに、フロントグリルとフォグランプベゼルにパールホワイトを採用し、リアコンビランプをクリアクリスタル化。「カスタムX」はフロントグリルにライトスモークメッキを採用し、ステアリングは上級グレードの「カスタムG」や「カスタムRS」と同じ革巻(メッキオーナメント・プレミアムシャインブラックベゼル付)にグレードアップ。アルミホイールは15インチにサイズアップし、専用デザインに変更した。なお、前述の「スマートセレクションSN」の特別装備内容を追加した「VSスマートセレクションSN」も設定される。
- 併せて、ノーマルタイプのムーヴコンテに設定されている「2トーンセレクション」には「パールホワイトⅢ×コットンアイボリー」を追加するとともに、「2トーンセレクション」設定時のフルホイールキャップを従来のパールホワイトからパールホワイト×ボディカラー同色のツートーンカラードに変更した。
- 2015年2月
- ここまでの販売台数の累計が26万3962台[2]に達する。
- 2015年4月8日
- 一部改良並びに特別仕様車「L"VS II"」を発売[3]。
- ノーマルタイプの「X"VS"」最上位グレード「G"NAVI"」、並びに「スマートセレクション」シリーズを廃止し、新たに「L」「L"VS II"」を除く全車(「カスタムX"VS"」含む)に6代目ムーヴに採用されているボイスコントロールナビをメーカーオプション設定した。
- 「X"VS"」の廃止と入れ替わりで設定された特別仕様車「L"VS II"」は「L」をベースに、外観には専用シルバーグリル、専用14インチアルミホイール、マルチリフレクターハロゲンフォグランプ(メッキベゼル付)、カラードエアロバンパー(リア)、リアスポイラー、トップシェイドガラス(フロントウィンドゥ)を装備し、リアコンビネーションランプ(LEDストップランプ)をクリアクリスタル化。内装はインナードアハンドルとエアコンレジスターノブをメッキ化し、「ブラックインテリアパック(メッキシフトレバーボタンを除く)」を標準装備した。なお、「カスタムX"VS"」は「L"VS II"」発売後も継続販売される。
- 2016年7月22日
- ボディカラーのラインアップの整理のため「マスカットグリーンメタリック」及び「アーバンナイトブルークリスタルメタリック」「パールホワイトⅢ×マスカットグリーンメタリック」が廃止。
- 2016年12月末
- オーダーストップに伴い、生産終了。以後、在庫のみの対応となり、在庫がなくなり次第販売終了となる。
- 2017年1月28日(補足)
- 後述するコンテのOEMのピクシススペースが販売終了。
- 2017年3月31日
- 販売終了、およびホームページへの掲載終了。一度もモデルチェンジすることなく9年間の歴史に幕を下ろした。
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2008年8月発売型 リア
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2008年8月発売型 カスタム リア
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2013年7月改良型 2トーンセレクション
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2013年7月改良型 2トーンセレクション リア
OEMモデル
編集2010年9月28日、親会社であるトヨタ自動車が2011年秋ごろに軽自動車事業に参入することを発表し、同時にコンテをダイハツからOEM供給を受けることを発表した。同日に、ダイハツ・ハイゼットを含めた3車種を2012年までに供給を受けることも明らかにされた[4]。
一部メディアにより2011年9月7日に、2011年9月26日販売予定およびブランド名、車種名が報道された[5]。ただ、この時はトヨタおよびダイハツからの公式発表はなかった。その後、同年9月26日にトヨタ側が公式発表[6]し、ダイハツはトヨタへ「ピクシス スペース」としてOEM供給を開始した。ピクシス スペースではコンテの最上級グレードである「G NAVI」を除く5グレードを設定しており、ダイハツのアイドリングストップ機構の登録商標である「eco IDLE」をピクシス スペースでもそのまま使用している[注釈 4]。
カクカク・シカジカ
編集コンテのデビュー時から登場した、黒縁眼鏡を掛けたシカのマスコットキャラクター。中黒なしの"カクカクシカジカ"や、略して"カクシカ"とも呼ばれている。声は生瀬勝久(初代)、津田健次郎(2代目)、キャラクターデザインは坂崎千春によるもの。角は取り外すことができる。
当初はコンテとしてのマスコットキャラクターだったものの、次第に「大初夢フェア」[注釈 5]、および「エコカー補助金キャンペーン」[注釈 6]等のダイハツのキャンペーンCMにも登場するようになり、ダイハツのマスコットキャラクターとしての地位を確立した。
その事もあり、コンテでは設定のないスマートアシスト(略称「スマアシ」)のCM[注釈 7]にも登場した。また、コンテ終売後もキャンペーンCMに登場しており、2022年現在でもダイハツ公式LINEアカウントでのアイコンとなっている。
プロフィール上は4人家族の父で、1男1女の子供がいるという設定。「シカジカ」が名字である[7]。
2023年(令和5年)4月24日、Jリーグのブラウブリッツ秋田が、同年5月の対大分トリニータ戦に向け、カクカクシカジカを期限付き移籍で獲得したと発表した[8]。両チームともにダイハツの関連会社がスポンサーとして名を連ねているため、このカードは「ダイハツダービー」と呼ばれている。
車名の由来
編集Community(台本、コンテ)の略称で、自分らしい生活を描くクルマを表現している。また、Comfortable Interiorの略で、乗る人の心地良さを追求したクルマの意味である。
その四角い外見から連想される英語のcontainer「コンテナ」からの造語。conteはイタリア語で「あなたと」という意味でもある。
脚注
編集注釈
編集- ^ ダイハツのターボエンジン搭載車では初搭載である。
- ^ 「eco IDLE」作動にあたって、ターボエンジン搭載車特有の条件は見られない。取扱説明書を参照
- ^ キーフリーシステムのカクシカキーカバーはコンテ以外にも設定されていたが、それらも廃止。
- ^ ただし使用推奨オイル等は、ダイハツ純正「アミックス」ではなくトヨタ純正「キャッスル」である。
- ^ バカンスに行くカクシカに対し空港で芸能リポーター(声:東海林のり子)が詰め寄る。
- ^ 「おわり」篇ではヘッドホンで曲を聴いている(この時カクシカが聴いていた曲は小田和正歌唱の「さよなら」、もしくはつんく♂歌唱の「ズルい女」)最中に涙を流しながら「補助金がね…。」と呟く。
- ^ カクシカがスマアシの説明を試みるも時間切れになってしまう。最後の「じって言っただけだよ」は生瀬のアドリブ。
出典
編集- ^ ダイハツ軽乗用車5車種に特別仕様車「スマートセレクション」を設定 ~さらに「ムーヴ」「ムーヴ コンテ」には特別仕様車「VS」グレードを設定~ (PDF) - ダイハツ工業株式会社 ニュースリリース 2014年5月8日
- ^ デアゴスティーニジャパン週刊日本の名車第68号19ページより。
- ^ ダイハツ軽乗用車「ミラ イース」「ミラ ココア」「ムーヴ コンテ」一部改良と同時に内外装の魅力を向上した特別仕様車を設定 (PDF) - ダイハツ工業株式会社 ニュースリリース 2015年4月8日
- ^ “トヨタ、軽自動車市場参入について記者会見を開催”. Car Watch. (2010年9月28日) 2011年9月8日閲覧。
- ^ “トヨタ初の軽「ピクシス」ブランドで展開 26日に発売へ”. 産経新聞. (2011年9月7日) 2011年9月10日閲覧。
- ^ “TOYOTA、新型軽自動車『ピクシス スペース』を発売”. トヨタ自動車 ニュースリリース. (2011年9月26日)
- ^ カクカクシカジカ ファンサイト - ダイハツ
- ^ 「ネームバリューすごすぎる」J2秋田が"ダービーマッチ"を前に、斬新過ぎる期限付き移籍を発表! 「大スターの期限付き移籍、めっちゃ嬉しいです!」とファン興奮 - サッカー批評・2023年4月26日