リモート デスクトップ サービス
リモート デスクトップ サービスとは、Windowsの画面を遠隔操作できるリモートデスクトップ機能である。英:Remote Desktop Services、RDS、旧称:ターミナル サービス、英:Terminal Servicesと称し[1]、マイクロソフトが開発・提供している。Windows Server 2008 R2 より名称がターミナル サービスからリモート デスクトップ サービスに変更になった。
別名 | ターミナル サービス |
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開発元 | マイクロソフト |
対応OS | Microsoft Windows |
サービス名 | TermService |
種別 | リモートデスクトップ |
公式サイト | Remote Desktop Services |
概要
編集RDSは、マイクロソフトによるシンクライアントアーキテクチャの実装であり、Windowsソフトウェア、およびRDSを実行しているコンピューターのデスクトップ全体が、Remote Desktop Protocol(RDP)をサポートする任意のリモートクライアントマシンからアクセスできるようになっている。ユーザーインターフェイスは、サーバからクライアントシステムに表示され、逆にクライアントシステムからの入力がサーバに送信される。ソフトウェアの実行はサーバ側で行われる[2]。これは、コンピュータプログラムがオンデマンドでクライアントにストリーミングされ、クライアントマシンで実行されるMicrosoft App-Vのようなアプリケーションストリーミングシステムとは対照的である。
RDPはもともと米国シトリックス・システムズが複数の端末から複数ユーザでログオンするための拡張機能としてWindows NT 3.51向けに開発した『WinFrame』に端を発する技術である。1997年にマイクロソフトとシトリックス・システムズでこの技術の共同開発に踏み切り、それ以後、Windows 2000 Server以降ではオペレーティングシステム (OS) の標準機能として取り込まれた。『WinFrame』という商品自体は『MetaFrame』さらに『Citrix Presentation Server』と名前を変え、現在に至る。
Windowsには、RDSを使用する3つのクライアントコンポーネントが含まれる。
最初の2つは、ユーザーがネットワーク経由でリモートコンピュータを制御できるようにする個別のユーティリティである。リモートアシスタンスの場合、リモートユーザーは招待を受け、同じセッション内で招待者と共同で招待者のデスクトップの制御を行う。一方、RDCの場合、リモートユーザーはリモートコンピュータで新しいセッションを開き、ユーザーアカウントが持つ権限が付与される[2][3][4]。ユーザーの簡易切り替えにより、ユーザーはソフトウェアを終了してログアウトすることなく、ローカルコンピューター上のユーザーアカウントを切り替えることができる。ユーザーの簡易切り替えはWinlogonの一部であり、RDSを使用してユーザーの簡易切り替えを実現する[5][6]。サードパーティ開発者も、RDS用のクライアントソフトウェアを作成している。たとえば、rdesktopはUNIXプラットフォームをサポートする。
通常フレームレートは30FPSに制限されているが、サーバー側の制限を60FPSに変更する手順[7]が公開されている。
サーバコンポーネント
編集ターミナルサーバ
編集ターミナルサーバは、ターミナルサービスのサーバコンポーネントである。クライアントの認証と、アプリケーションをリモートで利用できるように処理する。また、クライアントが持つ権限レベルに応じてクライアントができる作業に制限をかけることもできる。ターミナルサーバは、構成されたソフトウェア制限ポリシーを尊重して、特定のソフトウェアを特定のユーザーグループのみ利用できるように制限する。
リモートデスクトップゲートウェイ
編集リモートデスクトップゲートウェイサービスコンポーネントは、RDゲートウェイとしても知られ、HTTPSチャネルを使ってRDPセッションをトンネリングする[8]。これにより、セッションがTransport Layer Security(TLS)でカプセル化されるため、RDSのセキュリティが向上する[9]。そのためInternet ExplorerをRDPクライアントとして使用する選択肢も可能になる。macOS用の公式MSRDPクライアントは、バージョン8以降のRDゲートウェイをサポートする。これはiOSおよびAndroidでも使用できる。
この機能は、Windows Server 2008およびWindows Home Serverで導入された。
リモート デスクトップ HTML5 Web クライアント
編集マイクロソフトは2018年後半にリモートデスクトップHTML5 Webクライアントをリリースした。このクライアントを使うと、ユーザーはインストールされているリモートデスクトップクライアントを使用せずに、リモートアプリまたはリモートデスクトップに接続できる[10][11]。WebクライアントはTLSで保護されたポート443を使用し、RDゲートウェイを使用せずにリモートデスクトップサービスのリモートデスクトップセッションホストとの通信が可能になる[12][13]。
ロール
編集- Remote Desktop Gateway
- Remote Desktop Connection Broker Role
- Remote Desktop Session Host
- Remote Desktop Virtualization Host
- Remote Desktop Web Access
- Remote Desktop Licensing
RemoteApp
編集RemoteApp(またはTS RemoteApp)は、Windows Server 2008 R2以降で使用できるRDSの特別なモードであり、リモートセッション構成がクライアントオペレーティングシステムに統合されている。
Windowsデスクトップ共有
編集Windows Vista以降では、ターミナルサービスは、Windowsデスクトップ共有として知られる複数人のデスクトップ共有機能を含む。RDP接続ごとに新しいユーザーセッションを作成するターミナルサービスとは異なり、Windowsデスクトップ共有では、新しいセッションを作成せずに、現在ログインしているユーザーのコンテキストでリモートセッションをホストし、RDPを介してデスクトップまたはそのサブセットを使えるようにする[15]。Windowsデスクトップ共有は、デスクトップ全体、特定の領域のみ、または特定のアプリケーションのみを共有するために使用できる[16]。
RemoteFX
編集GPUを仮想化し、高度なグラフィックス機能を利用できるRemoteFX機能がWindows Server 2008 R2 サービスパック1以降から追加されたが、セキュリティ上の脆弱性[17]が発見され、RemoteFXは開発終了・廃止となった(2020年7月の月例セキュリティ更新[18]で無効化)。
クライアントソフトウェア
編集リモートデスクトップ接続
編集開発元 | マイクロソフト |
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対応OS | Microsoft Windows |
種別 | リモートデスクトップ |
公式サイト |
docs |
リモートデスクトップ接続(英: Remote Desktop Connection、RDC、リモートデスクトップとも呼ばれ、以前はマイクロソフト ターミナルサービス クライアント、mstscまたはtsclientと呼ばれる) は[19][20]、RDSのクライアントアプリケーションである。これにより、ユーザーはターミナルサービスサーバを実行しているネットワークコンピュータにリモートでログインできる。RDCは、リモートシステムのデスクトップインターフェイス(またはアプリケーションGUI)を、ローカルでアクセスされたかのように表示する[2]。
その他のクライアント
編集マイクロソフトは、Windows以外のさまざまなプラットフォーム用の公式クライアントを提供している。
- MacOS:Microsoft Remote Desktop for Mac
- Android:Microsoft Remote Desktop
- iOSおよびiPad OS:Microsoft Remote Desktop
マイクロソフトが提供する機能のサブセットを様々なプラットフォーム向けに実装する、マイクロソフト以外のクライアントの実装が多数ある。最も一般的なものは次のとおりである。
- FreeRDP - Apacheライセンスの下でのオープンソース
- rdesktop - Linux/UnixおよびMicrosoft Windows向け
- Remmina - Linux向け (FreeRDPがベース)
- CoRD - macOS向け (2020年4月に提供終了)
- Thincast Client - Linux、macOS、Windows向け
関連項目
編集- Windows MultiPoint Server
- Microsoft NetMeeting - 既に提供終了したマイクロソフトの製品であり、Windows NT Terminal Server Editionと同時期に、デスクトップ共有機能を提供していた。
- Remote Desktop Protocol
- X端末
- 端末サーバ
- Virtual Network Computing
脚注
編集- ^ “Windows Remote Desktop Services spotlight”. 2010年11月18日閲覧。
- ^ a b c “Technical Overview of Terminal Services in Windows Server 2003”. 2003年1月26日時点のオリジナルよりアーカイブ。2007年7月23日閲覧。
- ^ “How to change the listening port for Remote Desktop”. 2010年11月18日閲覧。
- ^ “Frequently Asked Questions about Remote Desktop”. 2007年7月23日閲覧。
- ^ Russinovich, Mark; Solomon, David A.; Ionescu, Alex (2012). Windows Internals (6th ed.). Redmond, WA: Microsoft Press. pp. 20–21. ISBN 978-0-7356-4873-9
- ^ “Architecture of Fast User Switching”. Support. Microsoft (15 January 2006). 11 January 2014閲覧。
- ^ Deland-Han. “リモート セッションのフレーム レートは 30 FPS に制限されています - Windows Server”. docs.microsoft.com. 2021年8月6日閲覧。
- ^ “Terminal Services Gateway (TS Gateway)”. Microsoft TechNet. 2009年9月10日閲覧。
- ^ “Remote Desktop Protocol”. Microsoft Developer Network (MSDN). 2009年9月10日閲覧。
- ^ Waggoner, Rob. “Microsoft Has Released the HTML5-Based RDP Web Client” (英語). blog.mycloudit.com. 2020年5月10日閲覧。
- ^ “Remote Desktop HTML5 client on Windows Server 2019” (英語). msfreaks (2018年10月6日). 2020年5月10日閲覧。
- ^ “RD Web Client (HTML5) – New Features In 1.0.11”. www.rdsgurus.com. 2020年5月10日閲覧。
- ^ Berson, Freek (2018年1月12日). “The Microsoft Platform: HTML5 client for Microsoft Remote Desktop Services 2016: Remote Desktop Web Client”. The Microsoft Platform. 2020年5月10日閲覧。
- ^ TechNet: Remote Desktop Licensing
- ^ “Windows Desktop Sharing”. 2007年10月11日閲覧。
- ^ “Windows Desktop Sharing API”. 2007年10月11日閲覧。
- ^ “Security Update Guide - Microsoft Security Response Center”. msrc.microsoft.com. 2021年8月6日閲覧。
- ^ “KB4570006: Windows で RemoteFX vGPU コンポーネントを無効にして削除する更新”. support.microsoft.com. 2021年8月6日閲覧。
- ^ “Why doesn't the New Folder command work in the root of a redirected drive resource in a Remote Desktop session?”. The Old New Thing. Microsoft (2013年12月17日). 2013年12月18日閲覧。
- ^ Savill, John (2008-10-01). The Complete Guide to Windows Server 2008. Pearson Education. p. 1752. ISBN 978-0-13-279758-0 2012年6月1日閲覧. "Windows XP, Windows Server 2003, Windows Vista, and Windows Server 2008 all contain the RDC tool,
mstsc.exe
[...] MSTSC in the filenamemstsc.exe
stands for Microsoft Terminal Services Client."