タル・アファル
タル・アファル(アラビア語: تلعفر, IPA: [talˈʕafar])は、イラク北部のニーナワー県第2の都市。 県都モースルの63km西、シンジャールの52km東、キルクークの200km北西に位置する。 2015年7月1日の人口は16万7200人で、その殆どがトルクメン人である。 同国でトルクメン人が多数派の都市はここだけである。 宗教は75%がイスラム教スンナ派、25%が同教シーア派である[2]。 アラビア語やアゼルバイジャン語、チュルク語族言語が主に用いられる[3]。
タル・アファル تلعفر | |
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都市 | |
座標:北緯36度22分27秒 東経42度26分36秒 / 北緯36.37417度 東経42.44333度 | |
国 | イラク |
県 | ニーナワー県 |
標高 | 410 m |
人口 | |
• 合計 | 167,200人 |
歴史
編集紀元前7000年~紀元前4500年頃、タル・アファルの南西10kmのヤリム・テペの丘のテル・ハスーナ遺跡では、ハラフ文化やウバイド文化が栄えた[4][5]。
聖書にはテラッサルとして登場した。 当時はアッシリアのセンナケリブ王が治めており、「エデンの園の子供達」が暮らすとされた[6]。
1837年にハフィズ・アフメド・パシャが探検した時には、タル・アファルはトルコ兵に占拠され、シンジャール東部のヤジディ教徒を牽制する拠点になっていた。
1867年、オースティン・ヘンリー・レヤードが「ニネヴェとその遺跡」を出版した。
オスマン帝国はトルクメン兵をこの砦に配置し、彼らは後に砦周辺に町を築き最初の住民となる。
1920年、イギリス委任統治領メソポタミアに編入され、イラク人の反イギリス運動への対策拠点とされる[8]。
1970年代、サッダーム・フセイン大統領が進めるアラブ化政策によって、多くのスンナ派のバアス党員が入植した。
2003年のイラク侵攻でタル・アファル城は増築され、市長住居兼市役所兼警察本部になった。
2004年9月9日~9月12日、アメリカ軍とイラク治安軍は「黒い台風」作戦を実行した。 反政府軍は撤退し、58人のトルクメン人が殺害され、500人のアメリカ兵が残った。
2005年3月、反政府軍が奪還した。 シーア派とスンナ派の間で衝突が発生した。 9月~10月、5000人のイラク兵と3500人のアメリカ兵が「光の回復」作戦を実行した。 反政府軍は157人が殺害され、683人が捕虜になった。 また、12人のイラク兵が殺害された。 この時アメリカ軍が塩素系の毒ガスを使ったと訴えられた。
2006年3月、アメリカのジョージ・W・ブッシュ大統領はこの作戦を「イラクで初めて成功した反攻作戦」と称賛した。
2007年1月時点で、最大の雇用先はイラク内務省で、約2250人の警察官が雇われていた。 2番目はアメリカ政府で、第101空挺師団第3旅団戦闘団が駐留していた[9]。 2月10日、軍の検問所で自動車が爆発し、イラク兵が1人殺害された。 2月22日、家に仕掛けられた罠が爆発し、警察官1人を含む4人が殺害された。 3月24日、市場で車が爆発し、8人が殺害された。 3月27日、シーア派地域で2台のトラックが爆発し、152人が殺害された。 4月14日、狙撃手が女性を射殺した。 6月11日、ロケット砲で2人が爆殺された。 6月19日、2人が轢き殺された。 7月12日、結婚式で自爆テロが発生し、7人が殺害された。 7月15日、道端の爆弾で2人が殺害された。 8月6日、自動車爆弾で27人が殺害された。 8月22日、道端の爆弾で2人が殺害された。 9月22日、爆弾を製造していた反政府軍が誤って爆発させ、1人が死亡した。 9月24日、トラック爆弾で6人が殺害された。 10月4日、市場で自動車が爆発し、3人が殺害された。 10月10日、ロケット砲が住宅に着弾し、5人が殺害された。 12月29日、警察は5人の反政府軍を殺害した。
2008年1月3日、アメリカ軍が2人の市民を殺害した。 2月15日、2件の自爆テロで3人が殺害された。 2月20日、自動車が爆発し2人が殺害された。 3月2日、銃撃戦が発生し、13人の反政府軍と2人の警察官が殺害された。 4月14日、シーア派の祭りで自爆テロが発生し、4人が殺害された。 5月27日、市場で自動車が爆発し、4人が殺害された。 7月8日、スンナ・アラブ・イラク・イスラム党の党員が1人殺害された。 7月12日、2日前に誘拐された7人の遺体が発見された。 7月17日、市場で自動車が爆発し、20人が殺害された。 7月31日、道端の爆弾で警察官が1人殺害された。 8月8日、市場で自爆テロが発生し、25人が殺害された。 8月29日、警察はモスクに入ろうとしていた自爆テロ犯を殺害した。 9月6日、自動車が爆発し6人が殺害された。 9月20日、自動車が爆発し2人が殺害された。 11月15日、自動車が爆発し10人が殺害された。 12月2日、検問所で自動車が爆発し5人が殺害された。
2009年2月6日、車からの乱射で2人が殺害された。 3月23日、自爆テロで1人が殺害された。 7月9日、自爆テロが2件発生し、33人が殺害された。 9月17日、検問所で自爆テロが発生し、3人が殺害された。 9月28日、反政府軍が2人殺害された。 10月6日、スンナ派モスクで乱射が発生し、15人が殺害された。
2010年5月14日、サッカー場で自爆テロが発生し、10人が殺害された。 事前にイラクのイスラム国の戦争大臣がシーア派に対して宣戦布告をしていた。
2014年6月16日、2日間の戦闘の後、ISISがタル・アファルを占領した[10]。 12月、ISISはタル・アファル城の大部分を爆破した[11]。 多くのトルクメン人が南に追放され、その多くがイラク軍に入隊し、ISISと戦った[12]。
2017年8月20日、イラク軍はタル・アファルをISISから奪還すると宣言した[13]。 8月27日、イラク軍が奪還した[14]。 8月31日、ISISは完全に排除された。
経済
編集農業分野では、オリーブの生産が活発であったが、生産基盤はISISの占領下で徹底的に破壊された。2019年現在、農民が元の農地に戻りつつあり復興が進められている[15]。
脚注
編集- ^ title=City Population閲覧日:2017年11月15日
- ^ “Description of Tal'Afar”. Department of Behavioral Sciences & LeadershipUnited States Air Force Academy, Colorado Springs. (January 8, 2008). オリジナルのAugust 16, 2010時点におけるアーカイブ。 April 22, 2011閲覧。
- ^ ISIS control of Iraq spreads with major northern city capture
- ^ Encyclopedia of Prehistory, by Peter N. Peregrine, Melvin Ember, Inc., Human Relations Area Files, Pg 149.
- ^ Dictionary of the Ancient Near East By Piotr Bienkowski, A. R. Millard, Yarim Tepe, 2000, Pg 326
- ^ The People's Bible Encyclopedia By Charles Randall Barnes, Telas'sar or Thela'sar, 1910, pg 1085
- ^ The Other Kurds: Yazidis in Colonial Iraq By Nelida Fuccaro, 1999, pg 33.
- ^ A History of Iraq By Charles Tripp, Pg. 40
- ^ Tal Afar Airbase
- ^ Iraqi city of Tal Afar falls to Isis insurgents Martin Chulov, The Guardian, June 16, 2014.
- ^ “Extremist IS militants damage ancient citadel, two shrines in Iraq's Nineveh”. Xinhua News Agency. (31 December 2014). オリジナルの13 January 2015時点におけるアーカイブ。
- ^ Turkey Pulse article on situation of the Turkmen
- ^ IS conflict: Iraq launches ground offensive in Tal Afar
- ^ https://www.ft.com/content/91d0e2ee-8b4d-11e7-9084-d0c17942ba93
- ^ “オリーブの消えた町 イラク・タルアファル、ISの爪痕”. AFP (2019年1月31日). 2019年2月1日閲覧。
外部リンク
編集- Iraq Image - Tal Afar Satellite Observation
- "Troops blitz Iraq's 'funnel of death'" (The Daily Telegraph, Sept. 11, 2005)
- "Bomber attacks 'model Iraqi city'" (BBC News, Oct. 7, 2006)
- Hondros, Chris (January 19, 2005). A shooting after nightfall. Newsday .
- Packer, George (April 10, 2006). “The Lesson of Tal Afar”. The New Yorker .
- TIME Magazine Photo Essay of Operation Restoring Rights
- District map of Tal Afar
- Tall 'Afar at Global Security