タチアオイ

アオイ科の多年草

タチアオイ(立葵、学名:Althaea rosea、シノニム:Alcea rosea)は、アオイ科多年草。属名Althaeaはギリシア語由来の古典ラテン語に由来し、語源たるギリシア語「althaia」は「althaino」(治療)と関連している。古来、タチアオイは薬草として用いられた。

タチアオイ
路傍に咲く暖色系の色彩の鮮やかなタチアオイ
(6 June 2021)
分類APG III
: 植物界 Plantae
階級なし : 被子植物 Angiosperms
階級なし : 真正双子葉類 Eudicots
階級なし : コア真正双子葉類 Core eudicots
階級なし : バラ類 Rosids
階級なし : 真正バラ類II Eurosids II
: アオイ目 Malvales
: アオイ科 Malvaceae
亜科 : Malvoideae
: タチアオイ属 Althaea
: タチアオイ A. rosea
学名
Althaea rosea
和名
タチアオイ(立葵)
タチアオイを主題に描いた『草花図屏風』(渡辺始興、18世紀前半)。

概要

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当初は中国原産と考えられていたが、現在はビロードアオイ属(Althaea)のトルコ原産種と東ヨーロッパ原産種との雑種(Althaea setosa ×Althaea pallida)とする説が有力である。

日本には、古くから薬用として渡来したといわれている。

花がきれいなので、園芸用に様々な品種改良がなされた。草丈は1~3mで茎は直立する。花期は6~8月で、花は垂直に伸びた花茎の下から上に咲き上っていく。ちょうど梅雨入りの頃に咲き始め、梅雨明けと共に花期が終わる(花茎の頭頂部まで開花が進む)ことになぞらえて、「ツユアオイ(梅雨葵)」という別名も冠されている。花は一重や八重のもあり、色は赤、ピンク、白、紫、黄色など多彩である。花の直径は品種によるが大きなものでは10cmくらいである。本来は宿根性の多年草であるが、品種によっては一年草でもある。アオイの名から会津若松市と静岡市が市花に制定している。

花弁の根元が粘着質であり、引き抜いた花弁を顔などに付けてニワトリを真似て遊ぶことができるため、北海道の一部ではコケコッコ花コケコッコー花青森県の一部では"コケラッコ花"などと呼ばれる。

花弁や根を、薬用として利用する。

名称

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ホリホックホリーホック)ともいうが、英名 hollyhock は必ずしも本種を指すとは限らず、旧属名・タチアオイ属(Alcea)の各種をはじめ、ときには他属の種をも指す言葉である[1]。 俗説として holly- は holy に通じ、この花が十字軍によってシリア(キリスト教聖地)からヨーロッパにもたらされたことに因み、「聖地の花」の意味が込められている、などとも言われる[2]

日本語では「花あおい」(花葵)とも呼ぶ。ただし学術的には、同科別属であるハナアオイ属、または同属下の Lavatera trimestris を指して「ハナアオイ」と呼んでいるので、注意が必要である。

タチアオイに関する詩

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作家などがタチアオイに関する詩を詠んでいる。

梨棗(なしなつめ) 黍(きみ)に
   粟(あは)嗣(つ)ぎ
    延(は)ふ 田葛(くず)の
     後も逢(あ)はむと
      葵(あふひ)花咲く

— 万葉集

くやしくぞ つみをかしける あふひ草
      袖のゆるせる かざしならぬに

— 源氏物語 柏木

ギャラリー

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出典

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脚注

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  1. ^ たとえば tree hollyhock といえばフヨウ属に属するムクゲのことであるし、zebra hollyhockゼニアオイ属コモンマロウの一種を指して用いられる。会話などで単に hollyhock と言う場合も多いが、一定の幅広い意味をもった日用語として用いられるものである。
  2. ^ 雨空にすっくと立つ名花・タチアオイは癒しと希望の魔法薬! - tenki.jp日本気象協会)、2016年7月3日