タイリクヤチネズミ
タイリクヤチネズミ(Craseomys rufocanus)は、キヌゲネズミ科タイリクヤチネズミ属に分類される齧歯類。タイリクヤチネズミ属の模式種[5]。
タイリクヤチネズミ | ||||||||||||||||||||||||||||||
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タイリクヤチネズミ Craseomys rufocanus
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保全状況評価[1] | ||||||||||||||||||||||||||||||
LEAST CONCERN (IUCN Red List Ver.3.1 (2001)) | ||||||||||||||||||||||||||||||
分類 | ||||||||||||||||||||||||||||||
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学名 | ||||||||||||||||||||||||||||||
Craseomys rufocanus (Sundevall, 1846)[2] | ||||||||||||||||||||||||||||||
シノニム[1][3] | ||||||||||||||||||||||||||||||
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和名 | ||||||||||||||||||||||||||||||
タイリクヤチネズミ[4] | ||||||||||||||||||||||||||||||
英名 | ||||||||||||||||||||||||||||||
Grey red-backed vole[1] | ||||||||||||||||||||||||||||||
分布
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分布
編集形態
編集体長11-12.6センチメートル[6]。尾長4.4-5.6センチメートル[6]。背面の毛衣は暗褐色、腹面の毛衣は白や汚白色[6]。
分類
編集以前はヤチネズミ属ClethrionomysあるいはMyodesに分類されていたが[7]、分子系統学的研究によりヤチネズミ属からタイリクヤチネズミ属Craseomysが分けられ、本種は後者に属するとされるようになった[2]。北海道本島個体群などを亜種エゾヤチネズミとする説がある[3]。
- Craseomys rufocanus bedfordiae (Thomas, 1905) エゾヤチネズミ
- 日本(北海道、国後島、色丹島、大黒島、天売島、焼尻島、利尻島、礼文島)、ロシア(樺太)[6][8]
大黒島や利尻島、礼文島の個体群を別種シコタンヤチネズミC. sikotanensisとする説もあったが[6][8]、エゾヤチネズミのシノニムとされる[3]。
生態
編集亜種エゾヤチネズミは草原や低木林などに生息し、草が密生し落ち葉が厚く堆積した環境を好む[6][8]。
食性は植物食傾向の強い雑食で、草、果実、種子、動物質などを食べる[6]。夏季以外は主にイネ科やカヤツリグサ科の草を食べる[6]。
繁殖形態は胎生。北海道中部および南部の個体群は春季や秋季に(夏季や冬季の繁殖例もあり)、北海道北部や東部、山地の個体群は主に夏季に繁殖する[6][8]。1-11頭の幼獣を産む[6]。
人間との関係
編集植林した樹木を食害する害獣とみなされることもある。北海道では主にカラマツを食害する害獣として、1950年代からワナによる生息数の調査が行われている[8]。
参考文献
編集- ^ a b c Sheftel, B. & Henttonen, H. 2016. Myodes rufocanus. The IUCN Red List of Threatened Species 2016: e.T4974A22373004. https://doi.org/10.2305/IUCN.UK.2016-2.RLTS.T4974A22373004.en. Accessed on 26 April 2023.
- ^ a b 谷戸崇・岡部晋也・池田悠吾・本川雅治「Illustrated Checklist of the Mammals of the Worldにおける日本産哺乳類の種分類の検討」『タクサ:日本動物分類学会誌』第53巻(号)、日本動物分類学会、2022年、31-47頁。
- ^ a b c 金子之史・村上興正「日本産齧歯類(野鼠及び家鼠)の分類学史的検討」『哺乳類科学』第36巻 1号、日本哺乳類学会、1996年、109-128頁。
- ^ 川田伸一郎・岩佐真宏・福井大・新宅勇太・天野雅男・下稲葉さやか・樽創・姉崎智子・鈴木聡・押田龍夫・横畑泰志「世界哺乳類標準和名リスト2021年度版」日本哺乳類学会、2021年12月24日公開、2023年4月26日閲覧。
- ^ 金子之史「分類と形態からみたビロードネズミ属とヤチネズミ属」『哺乳類科学』第38巻 1号、日本哺乳類学会、1998年、129-144頁。
- ^ a b c d e f g h i j k l m 阿部永監修、阿部永・石井信夫・伊藤徹魯・金子之史・前田喜四雄・三浦慎吾・米田政明 『日本の哺乳類【改訂2版】』 東海大学出版会、2008年、125頁。
- ^ 本川雅治・下稲葉さやか・鈴木聡「日本産哺乳類の最近の分類体系 ―阿部(2005)とWilson and Reeder(2005)の比較―」『哺乳類科学』第46巻 2号、日本哺乳類学会、2006年、181-191頁。
- ^ a b c d e 阿部永 「日本の哺乳類 (10) げっ歯目 ヤチネズミ属 エゾヤチネズミ」『哺乳類科学』Vol.22 No.1、日本哺乳類学会、1971年、1-8頁。
- ^ 高橋健一 「野生哺乳類におけるエキノコックス流行の現状と対策」『哺乳類科学』Vol.47 No.1、日本哺乳類学会、2007年、39-40頁。