センメルヴェイス反射
通説にそぐわない新事実を拒絶する傾向
センメルヴェイス反射(Semmelweis reflex)は、保身のために過去の誤りが認められず、権力によって事実を捻じ曲げたり排除したりする行為を指す。
19世紀中ごろ、オーストリアのウィーン総合病院産科に勤務していたハンガリー人医師センメルヴェイス・イグナーツは、出産した母親が産褥熱という病気にかかって死亡する原因が、分娩を担当する医師の汚れた手が原因であることに気づいた。センメルヴェイスはその予防法としてカルキを使用した手洗いを提唱し、産褥熱による死亡を劇的に減少させることに成功した。
しかしセンメルヴェイスの発見は多くの医師たちの反感を買うことになった。多くの医師たちは長年行って来た自分たちのやり方が、大勢の母子の死に関与していたというセンメルヴェイスの指摘を批判した。
それでもセンメルヴェイスはその発見の理解を広めようと活動するが、多くの医師たちからの排斥に会うことと成り、やがてセンメルヴェイスは精神異常者として精神病院へ隔離されることになった。
その後、精神科病棟から抜け出そうとした際、守衛たちから暴行を受け、そのときのケガがもとでセンメルヴェイスは死亡した。
この一連の事象から権威者などが常識の尺度から外れた事実や過去の通説にそぐわない現象などを権力によって否定したり妨げたりする行為をセンメルヴェイスの名をとって「センメルヴェイス反射」と呼称されることとなった。
関連項目
編集出典
編集- Benjamin Kleinmuntz (1968). Formal Representation of Human Judgment (Carnegie Series on Cognition). John Wiley & Sons Inc. ISBN 978-0471490852