セントリー (ロバート・レイノルズ)

架空の人物。マーヴェル・コミックスに登場

セントリーThe Sentry)、またはロバート・"ボブ"・レイノルズRobert "Bob" Reynolds)とヴォイドThe Void)は、マーベル・コミック発行のアメリカン・コミックスに登場するスーパーヒーローにしてスーパーヴィランである。ポール・ジェンキンスジェイ・リーによって創造され、リック・ヴィーチがクレジットされていないコンセプトで貢献し、2000年9月1日に『The Sentry』第1号でデビューした[1][2]

Sentry
出版の情報
出版者マーベル・コミック
初登場『The Sentry』第1号(2000年9月1日)[2]
クリエイターポール・ジェンキンス
ジェイ・リー
リック・ヴィーチ
作中の情報
本名ロバート・"ボブ"・レイノルズ
種族ミュータント
所属チームアベンジャーズ
ニューアベンジャーズ
マイティ・アベンジャーズ
ダークアベンジャーズ
Horsemen of Death
著名な別名Golden Guardian of Good
Golden Man
ヴォイド
Golden One
World Breaker
Revenant Prime
能力セントリーとして:

発行履歴

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創作

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1990年代後半、ポール・ジェンキンスとリック・ヴィーチは、ジェンキンスによる「依存症に悩み、愛犬と固い絆で結ばれたやり手の男」というアイデアを、マーベル・コミックの『Marvel Knights』の企画書に発展させた。ジェンキンスはこのキャラクターを「監視塔を持つ守護者」と考え、(以前“センチュリオン”を検討した後に)“セントリー”という名前を思いついた。ヴィーチはこのキャラクターをマーベル・ユニバースの歴史に織り込み、1940年代以降の各時代のコミックにマッチしたアーティスティックなスタイルで描くことを提案した。またヴィーチは、何らかの大変動によって、(セントリー自身を含む)全ての人の記憶からセントリーに関する全ての記憶が削除されることを提案した。ジェンキンスとヴィーチは、マーベル・ユニバース内でのセントリーの架空の歴史だけでなく、現実世界での架空の出版史を、架空のクリエイター(ポール・ジェンキンスとリック・ヴィーチのアナグラムである“フアン・ピンクルス”と“チック・リヴェット”)と一緒に作ることに決めた。ジェンキンスからこのコンセプトを売り込まれたマーベル・ナイツの編集者ジョー・カザーダは、ジェンキンスが脚本を担当し、以前『インヒューマンズ』のミニシリーズで一緒に仕事をしたことがあるジェイ・リーがアートを担当するミニシリーズを依頼することを決めた[3]

出版

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セントリーは2000年にジェンキンスが執筆し、ジェイ・リーが描いたマーベル・ナイツの名を冠するミニシリーズで初めて紹介された[4]。ミニシリーズは第5号まで続き、その後フラッシュバックのワンショットシリーズに移行すると、そこでセントリーはファンタスティック・フォースパイダーマンX-メンエンジェルハルクとチームを組んだ。これらのワンショットは『The Sentry vs. the Void』へと繋がり、ミニシリーズとワンショットのストーリーをまとめる追加ワンショットとなった。2005年、作家のブライアン・マイケル・ベンディスはセントリーを『ニューアベンジャーズ』のメンバーとして再登場させた。セントリーは『ニューアベンジャーズ:ブレイクアウト』第1〜6号で脇役を演じ、『ニューアベンジャーズ:セントリー』第7〜10号の中心人物であった[注釈 1]。また、2005年にセントリーは『マイティ・アベンジャーズ』、『ダークアベンジャーズ』にも双方のチームの一員として登場し、またミニシリーズ『The Age of the Sentry』では主人公として登場した。『ダーク・アベンジャーズ』シリーズでは第1号から『シージ』で死亡するまでレギュラーキャラクターとして登場した。

2018年3月6日、このキャラクターにジェフ・レミアが脚本を、ジョシュア・カサラとキム・ジャシントがアートを担当する継続シリーズが与えられることが発表されたが[5]、このシリーズは5号で終了した。

2024年、『キング・イン・ブラック』シリーズ中にロバート・レイノルズが亡くなった後、新たなセントリーが登場する。

キャラクター経歴

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セントリーとマーベル・ユニバース

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中年太りの男性ボブ・レイノルズは、特別な血清により「爆発する太陽100万個分の力」を持つスーパーヒーローセントリーであるが[6][7]、宿敵ヴォイドが復活しつつあることを知ると、誰もセントリーを覚えていない理由を突き止めるため、著名なマーベル・キャラクターを何人か探し出す。

セントリーから落下への恐怖を克服する方法を教わったウォーレン・ワーシントン3世/エンジェル、セントリーの写真によってピューリッツァー賞と名声を得たピーター・パーカー/スパイダーマン、セントリーの影響下で善の側に立つ者となり、大衆の憧れを勝ち得たハルク、セントリーと親友となったリード・リチャーズ/ミスター・ファンタスティックと彼らと多くの冒険に出かけたファンタスティック・フォーなど、レイノルズとの会話で、ヒーローたちのセントリーやヴォイドに関する記憶が蘇る。一方、一般大衆やレイノルズの昔の相棒であるビリー・ターナーもセントリーのことを徐々に思い出すようになった。

調査の過程で、レイノルズとリチャーズは、ヴォイドが地球を脅かしていた頃、ヒーローたちはセントリーとヴォイドが同一人物の片割れであること、そして世界を救うため、レイノルズは地球上のほぼ全ての人、そして彼自身の記憶さえも消していたことを知った。ヒーローたちがアメリカ東海岸に集結し、襲い来るヴォイドに立ち向かったとき、レイノルズは再び犠牲を払わなければならないことを悟った。機械仕掛けの下僕CLOC、ミスター・ファンタスティック、スティーヴン・ストレンジ/ドクター・ストレンジの助けを借りてレイノルズはもう一度世界中の人々の記憶からセントリーを消した。しかし、ワンショットの最後のコマでは、リチャーズとストレンジの働きにもかかわらず、レイノルズが実際に自分が誰であるかを覚えているかどうかは曖昧なまま終わっている[8]

アベンジャーズ

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レイノルズは、妻のリンディ・リーを殺害したために刑務所“ラフト”に自発的に投獄される。そこに現れたエレクトロが所内のセキュリティシステムを停止させ、42人の悪党が脱獄する大規模な脱獄を引き起こした。脱獄した悪党の何人かは捕まるが、その間にマット・マードックとの話を経たセントリーはカーネイジから他の数人を守った[9]

能力・スキル

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セントリー

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セントリーのパワーはスティーブ・ロジャース/キャプテン・アメリカに使用されたオリジナルの10万倍の強度を持つように設計・改良された超人血清に由来し[10]、自らの原子を現在のタイムラインより存在させられる[11][12][13]

正確な能力やその限界は不明であり、また全能であるとも言われているが、ミズ・マーベルとワンダーマンの助力を得て“ヘリキャリア”を持ち上げたり、地球を踏み潰そうとする“セレスティアル・エキサイター”の足をローグと共に持ち上げて防いだり、後に一人で運んでいるところを目撃されるなど、その力のごく一部を示している[14]。また、ソーと戦って膠着させられるほか、カーネイジを容易くバラバラにした[注釈 2]。セントリーはミュータントのエマ・フロストに“アース616”で最も強力なテレパスの一人だと思われており、なぜかローグのミュータント・タッチにも耐性を有し、セントリーはテラックスの斧の柄を難なく折った[10]ドクター・ドゥームのシールドをいとも簡単に粉砕し、一時期ギャラクタスとも戦い、膠着状態に陥いれた[15]

セントリーは通常、その力を大きく抑制しているが[16]、時折彼はそれらをさを示した。その中にはアブソービングマンの能力をオーバーロードしたこともあった[16]弾丸を簡単に回避したり受け止めたりする超人的なスピード、太陽まで数分で往復できる飛行、ジェシカ・ドリュー/スパイダーウーマンのヴェノムブラストや太陽フレアすらも耐えられるほど不死身でもあり[17][13]、ニック・フューリーは「“S.H.I.E.L.D.”はまだセントリーを殺す方法を見つけていない」と述べているほか[18]トニー・スターク/アイアンマンのスキャナーでも、セントリーの身体に物理的な弱点が察知できていない。

また、セントリーは鋭い超人的感覚を持っており、彼はかつて対戦相手に、彼の神経中枢を見ることができると言い放ったほか、アメリカにいながらアフリカの蝶の鼓動を聞くことができると断言した。光の放出や、あらゆる物質や源からエネルギーを吸収し無限に供給する能力を持ち、手と目の両方からエネルギーを投射するほか[19]、また、まばゆい閃光の中で瞬時にテレポートする能力も披露している[20][21]

更に、自分の記憶を他人の心の中に埋め込むこともできるほか、精神疾患に陥っても、膨大な精神力を駆使してコントロールを維持する。ウルトロンに殺された妻を触れるだけで復活させることまで可能である。

その他のバージョン

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MCU版

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マーベル・シネマティック・ユニバース』では、2025年5月2日公開予定の映画『サンダーボルツ*』で初登場となる。ルイス・プルマンが演じ[22][23]、日本語吹替は梶裕貴が担当する[24]

その他のメディア

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脚注

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注釈

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  1. ^ ポール・ジェンキンス自身も2作目の登場人物としてフィーチャーされた。
  2. ^ 但し、激怒したハルクと長時間戦った際には、両者が主人格の姿に戻ったところでレイノルズはブルース・バナーに気絶させられている。

参考

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  1. ^ DeFalco, Tom; Sanderson, Peter; Brevoort, Tom; Teitelbaum, Michael; Wallace, Daniel; Darling, Andrew; Forbeck, Matt; Cowsill, Alan et al. (2019). The Marvel Encyclopedia. DK Publishing. p. 311. ISBN 978-1-4654-7890-0 
  2. ^ a b https://www.marvel.com/comics/issue/10639/sentry_2000_1
  3. ^ The Sentry”. Rick Veitch. 2012年2月18日時点のオリジナルよりアーカイブ。2013年10月2日閲覧。
  4. ^ Brevoort, Tom; DeFalco, Tom; Manning, Matthew K.; Sanderson, Peter; Wiacek, Win (2017). Marvel Year By Year: A Visual History. DK Publishing. p. 302. ISBN 978-1465455505 
  5. ^ Nolan, L.D. (March 6, 2018). "Marvel Adds the Sentry to Its 'Fresh Start' Lineup". CBR.com. Retrieved September 18, 2019.
  6. ^ Ulatowski, Rachel (2022年5月10日). “Who Is Sentry in Marvel Comics? Will He Appear in the MCU?” (英語). The Mary Sue. 2023年1月7日閲覧。
  7. ^ Rajput, Rohit (2022年11月30日). “Who is Sentry? Exploring Marvel's Superman and the rumored villain of the 'Thunderbolts' film” (英語). Sportskeeda. 2023年1月7日閲覧。
  8. ^ The Sentry Vol. 1 #1–5, Sentry and The Fantastic Four/Hulk/Spider-Man/X-Men one-shots, Sentry vs. The Void one shot. Marvel Comics.
  9. ^ New Avengers #1–6. Marvel Comics.
  10. ^ a b The Sentry #1. Marvel Comics.
  11. ^ Mirjalili, Fatemeh (2022年2月9日). “5 Marvel Characters We'd Love To See Henry Cavill Play ⏯️” (英語). /Film. 2023年1月7日閲覧。
  12. ^ Crohn, Adam (2022年11月12日). “Could Marvel's Sentry Cause the Death of Superman?” (英語). Comic Book Resources. 2023年1月7日閲覧。
  13. ^ a b アベンジャーズキャラクター事典 2022, p. 144
  14. ^ Mighty Avengers #3. Marvel Comics.
  15. ^ The Sentry Vol. 1 #1–7. Marvel
  16. ^ a b Sentry: Reborn. Marvel Comics.
  17. ^ New Avengers #50. Marvel Comics.
  18. ^ The Sentry vol. 2 #7. Marvel Comics.
  19. ^ Dark Reign: Young Avengers #5. Marvel Comics.
  20. ^ New Avengers #7. Marvel Comics.
  21. ^ Dark X-Men #3. Marvel Comics.
  22. ^ 『サンダーボルツ*』チームリーダーはバッキー・バーンズ ─ レッド・ガーディアン役デヴィッド・ハーバー、コミコン会場にコスチュームで登場 | THE RIVER”. theriver.jp (2024年7月28日). 2024年7月28日閲覧。
  23. ^ 『サンダーボルツ*』セントリー参戦、ついに告知開始 ─ マーベル最強チート級ヒーロー、「神である私に命令するつもりか?」”. シネマトゥデイ. 2025年4月8日閲覧。
  24. ^ 『サンダーボルツ*』日本版、梶裕貴が新キャラ・ボブ役!伊瀬茉莉也とマーベル再参戦”. シネマトゥデイ (2025年4月15日). 2025年4月15日閲覧。

参考文献

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