セスナ 208
セスナ 208 キャラバン(英語:Cessna 208 Caravan)は、セスナ社が開発した単発ターボプロップ汎用輸送機。
概要
編集セスナ社のブッシュ・プレーン(未開地用の汎用機)として、DHC-3 オッターやセスナ製のその他航空機の後継を狙った10座席の機体として開発された。試作機は1982年12月9日に初飛行。基本的な外見は172スカイホークなどの従来のセスナ製単発機を踏襲しているが、横に3席並べることができる幅広かつ大容量のキャビン、胴体左側に追加した貨物ドア、短距離離着陸性能の向上を狙った長い主翼が特徴で、最も大型のセスナ製単発機となっている。フェデックスの要求に基づきカーゴマスター(Cargomaster)と呼ばれる貨物輸送専用型も開発され、これにより本機は驚異的な販売実績を挙げることとなった。この型から、胴体下にパニエと呼ばれる貨物収容パックを装備し、外見上の大きな特徴となっている。カーゴマスターの使い勝手がよかったことから、胴体を延長した貨物輸送型スーパーカーゴマスター(Super Cargomaster)と、それを基にした汎用輸送型グランドキャラバン(Grand Caravan)へと発展し、現在[いつ?]も生産が続けられている。軍用機としてもU-27の名称で販売され、各国の軍隊で使用されている。総生産数は2,000機以上。
なお、フランスのランス・アビアシオン社がセスナ製双発機を基に開発した双発ターボプロップ機F406がキャラバンIIの愛称を持つことから、キャラバンIと呼ばれることもある。
208グランドキャラバンのユニットコストは220万ドル(約3億円)となり[1]、EXは260万ドル(約3億5千万円)ある[2]。
派生型
編集- 208A キャラバン
- 基本型。エンジンはプラット・アンド・ホイットニー・カナダ製PT6A-114(600shp)を搭載していたが、後にPT6A-114A(675shp)となり、現在[いつ?]も生産中。
- キャラバン・アンフィビアン(Caravan Amphibian)
- フロートを装備した水陸両用機型。
- 208A カーゴマスター
- 貨物輸送型。キャビン窓などを廃止し、垂直尾翼を高くしたほか、胴体下にパニエを装備し、ここにエンジン排気がかからないよう排気管が延長された。
- 208B スーパーカーゴマスター
- カーゴマスターの胴体延長型。エンジンをPT6A-114Aへ強化。
- 208B スーパーカーゴマスターEX
- スーパーカーゴマスターの改良型。エンジンをPT6A-140(867shp)へ強化。
- 208B グランドキャラバン
- スーパーカーゴマスターをベースにした汎用輸送型。キャビン窓を復活させ、乗客14名を乗せることができる。
- 208B グランドキャラバンEX
- グランドキャラバンの改良型。エンジンをPT6A-140へ強化。現在[いつ?]生産中。
- U-27
- 軍用型。胴体下1箇所、主翼下6箇所のハードポイントを持つ。
- AC-208 コンバットキャラバン(Combat Caravan)
- ヘルファイア対戦車ミサイルの運用を可能としたISTAR(諜報・監視・目標捕捉・偵察)型。レバノンやイラクが採用。
採用国(軍用)
編集諸元(208A キャラバン)
編集- 全長:11.46 m
- 全幅:15.88 m
- 全高:4.32 m
- 翼面積:25.96 m2
- 空虚重量:1,724 kg
- 最大離陸重量:3,311 kg
- エンジン:プラット・アンド・ホイットニー・カナダ PT6A-114 ターボプロップエンジン(600shp) × 1
- 最大巡航速度:341 km/h(高度10,000 ft)
- 最大運航高度:8,410 m
- 航続距離:2,539 km
- ペイロード:1,361 kg あるいは乗客最大9名
- 乗員:1名
脚注
編集- ^ “CESSNA 208B GRAND CARAVAN”. Business Jet Traveler. 2022年7月10日閲覧。
- ^ “CESSNA 208B GRAND CARAVAN EX”. Business Jet Traveler. 2022年7月10日閲覧。
- ^ The International Institute for Strategic Studies (IISS) (2023-02-15) (英語). The Military Balance 2023. Routledge. pp. 476-478. ISBN 978-1-032-50895-5
参考文献
編集外部リンク
編集- 公式サイト(英語)