セキュリティトークン (電子記録移転権利)
セキュリティトークン(英: security token)とは、有価証券をブロックチェーン上で発行したトークンを用いて表現し、価値移転を可能にしたものである。
概要
編集ブロックチェーン上で発行するトークンのうち、証券の性質を有するものをセキュリティトークンと呼ぶ。このセキュリティトークンを発行することによって、資金調達を行う場合、セキュリティトークンオファリング(略称:STO)と呼ばれる。 株式、債券、デリバティブ、不動産、特許、著作権、絵画、ワイン、サービス利用権など、さまざまな資産を対象にSTOの実証実験が行われている[1]。
メリット
編集IPOや通常の証券と比較して、STOやセキュリティトークンには、次のメリットがあるとされている[1]。
- 利便性の向上
- 証券業務の簡素化
- コンプライアンスの自動化
規制(日本)
編集セキュリティトークンの日本法における定義は無いが、一定の要件を満たすセキュリティトークンは、金融商品取引法(2020年5月改正施行)上の「有価証券」に該当する(改正後金融商品取引法2条2項)。また、有価証券たるセキュリティトークンのうち、一定の要件を満たすものは、同法上の「電子記録移転権利」に該当する(改正後金融商品取引法2条3項)。有価証券たるセキュリティトークンのうちの、(1)電子記録移転権利であるものと(2)電子記録移転権利でないものの違いの例として、前者は同法上の「第一項有価証券」としての「有価証券の募集」に係る規制の影響を受けうり、後者は「第二項有価証券」としての「有価証券の募集」に係る規制の影響を受けうる、ということがある。
電子記録移転権利とは、電子情報処理組織を用いて移転することができる財産的価値(電子機器その他の物に電子的方法により記録されたものに限る。)に表示される金商法第2条各号に掲げる権利(流通性その他の事情を勘案して内閣府令で定める場合を除く。)をいう(改正後金商法第2条第3項)。なお、資金決済法上の「暗号資産(仮想通貨)」からは除かれる(改正後資金決済法第2条第5項)。
セキュリティトークンは、前記のとおり電子記録移転権利に該当しうるが、セキュリティトークンでないものが電子記録移転権利に該当することがありうる。
「流通性その他の事情を勘案して内閣府令で定める場合」については政省令で定められる。
脚注
編集- ^ a b “セキュリティトークンの動向”. 2019年8月7日閲覧。
- ^ “日本仮想通貨ビジネス協会(JCBA)が「新たなICO規制について」提言(2019/3/8)”. 2019年8月8日閲覧。
- ^ “新経済連盟がブロックチェーンと暗号資産に関する要望を金融担当大臣ほか関係大臣宛てに提出(2019/7/30)”. 2019年8月7日閲覧。