スンダ文字 (Unicodeのブロック)

スンダ文字(スンダもじ、英語: Sundanese)は、Unicodeの60個目のブロック

スンダ文字 (Unicodeのブロック)
Sundanese
範囲 U+1B80..U+1BBF
(64 個の符号位置)
基本多言語面
用字 スンダ文字
主な言語・文字体系
割当済 64 個の符号位置
未使用 0 個の保留
Unicodeのバージョン履歴
5.1 55 (+55)
6.1 64 (+9)
公式ページ
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解説

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インドネシアジャワ島西部で話されるスンダ語を表記するためのスンダ文字を収録している。

スンダ文字はブラーフミー文字から派生した所謂ブラーフミー系文字(インド系文字)の一つであり、音素文字のうち子音字単独では短母音/-a/を伴って発音され、別の母音にする際に母音記号を付加することで発音を切り替えるアブギダに分類される。書字方向ラテン文字キリル文字などと同様に左から右へと横書き(左横書き)し、下に行を送り、単語毎に分かち書きをする。

子音字は子音クラスタを表す際に、通常は単にU+1BAA ᮪ SUNDANESE SIGN PAMAAEHという記号を殺母音記号として後置する。ただし歴史的な文献においては、U+1BAB ᮫ SUNDANESE SIGN VIRAMAと結合して脚文字と呼ばれる別の子音字と結合するための特殊な形状に変化する。

加えて、アラビア文字タイ文字などと同様に独自の数字体系(スンダ数字)を有している。

符号位置の順序はおおむね伝統的なスンダ文字の順序に従っている。

Unicodeのバージョン5.1において初めて追加された。

収録文字

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コード 文字 文字名(英語) 用例・説明 ラテン文字転写
各種記号
U+1B80 SUNDANESE SIGN PANYECEK デーヴァナーガリーなどにおけるアヌスヴァーラに相当する。後に音節が後続する子音字に付き、直後の子音と同じ調音点の鼻音が挿入されることを表す。現在のスンダ語では音節末に[ŋ]を伴うことを表す。
U+1B81 SUNDANESE SIGN PANGLAYAR 音節末に[r]を伴うことを表す。 r
U+1B82 SUNDANESE SIGN PANGWISAD デーヴァナーガリーなどにおけるヴィサルガに相当する。

音節末に[h]を伴うことを表す。

母音字
U+1B83 SUNDANESE LETTER A 母音[a]を表す。 a
U+1B84 SUNDANESE LETTER I 母音[i]を表す。 i
U+1B85 SUNDANESE LETTER U 母音[u]を表す。 u
U+1B86 SUNDANESE LETTER AE 母音[e]を表す。 é
U+1B87 SUNDANESE LETTER O 母音[o]を表す。 o
U+1B88 SUNDANESE LETTER E 母音[ə]を表す。 e
U+1B89 SUNDANESE LETTER EU 母音[ɤ]を表す。 eu
子音字
U+1B8A SUNDANESE LETTER KA 子音[k]を表す。 k
U+1B8B SUNDANESE LETTER QA 子音[q]を表す。 q
U+1B8C SUNDANESE LETTER GA 子音[ɡ]を表す。 g
U+1B8D SUNDANESE LETTER NGA 子音[ŋ]を表す。 ng
U+1B8E SUNDANESE LETTER CA 子音[t͡ɕ]を表す。 c
U+1B8F SUNDANESE LETTER JA 子音[d͡ʑ]を表す。 j
U+1B90 SUNDANESE LETTER ZA 子音[z]を表す。 z
U+1B91 SUNDANESE LETTER NYA 子音[ɲ]を表す。 ny
U+1B92 SUNDANESE LETTER TA 子音[t]を表す。 t
U+1B93 SUNDANESE LETTER DA 子音[d]を表す。 d
U+1B94 SUNDANESE LETTER NA 子音[n]を表す。 n
U+1B95 SUNDANESE LETTER PA 子音[p]を表す。 p
U+1B96 SUNDANESE LETTER FA 子音[f]を表す。 f
U+1B97 SUNDANESE LETTER VA 子音[v]を表す。 v
U+1B98 SUNDANESE LETTER BA 子音[b]を表す。 b
U+1B99 SUNDANESE LETTER MA 子音[m]を表す。 m
U+1B9A SUNDANESE LETTER YA 子音[j]を表す。 y
U+1B9B SUNDANESE LETTER RA 子音[r]を表す。 r
U+1B9C SUNDANESE LETTER LA 子音[l]を表す。 l
U+1B9D SUNDANESE LETTER WA 子音[w]を表す。 w
U+1B9E SUNDANESE LETTER SA 子音[s]を表す。 s
U+1B9F SUNDANESE LETTER XA 子音列[ks]を表す。 x
U+1BA0 SUNDANESE LETTER HA 子音[h]を表す。 h
子音記号
U+1BA1 SUNDANESE CONSONANT SIGN PAMINGKAL 子音クラスタにおける介音としての[-j-]を表す。 y
U+1BA2 SUNDANESE CONSONANT SIGN PANYAKRA 子音クラスタにおける介音としての[-r-]を表す。 r
U+1BA3 SUNDANESE CONSONANT SIGN PANYIKU 子音クラスタにおける介音としての[-l-]を表す。 l
母音記号
U+1BA4 SUNDANESE VOWEL SIGN PANGHULU 母音[i]を表す。 i
U+1BA5 SUNDANESE VOWEL SIGN PANYUKU 母音[u]を表す。 u
U+1BA6 SUNDANESE VOWEL SIGN PANAELAENG 母音[e]を表す。 é
U+1BA7 SUNDANESE VOWEL SIGN PANOLONG 母音[o]を表す。 o
U+1BA8 SUNDANESE VOWEL SIGN PAMEPET 母音[ə]を表す。 e
U+1BA9 SUNDANESE VOWEL SIGN PANEULEUNG 母音[ɤ]を表す。 eu
ヴィラーマ
U+1BAA SUNDANESE SIGN PAMAAEH ヴィラーマ(殺母音記号)。母音/-a/を発音せず子音のみが読まれることを表す。脚文字を形成しない[1]
U+1BAB SUNDANESE SIGN VIRAMA ヴィラーマ(殺母音記号)。母音/-a/を発音せず子音のみが読まれることを表す。古い綴りにおいて用いられ、脚文字を形成する[1]
子音記号
U+1BAC SUNDANESE CONSONANT SIGN PASANGAN MA 子音クラスタにおける介音としての[-m-]を表す。 m
U+1BAD SUNDANESE CONSONANT SIGN PASANGAN WA 子音クラスタにおける介音としての[-w-]を表す。 w
追加の子音字
U+1BAE SUNDANESE LETTER KHA 子音[x]を表す。 kh
U+1BAF SUNDANESE LETTER SYA 子音[ɕ]を表す。 sy
数字
U+1BB0 SUNDANESE DIGIT ZERO スンダ文字における数字の0 0
U+1BB1 SUNDANESE DIGIT ONE スンダ文字における数字の1 1
U+1BB2 SUNDANESE DIGIT TWO スンダ文字における数字の2 2
U+1BB3 SUNDANESE DIGIT THREE スンダ文字における数字の3 3
U+1BB4 SUNDANESE DIGIT FOUR スンダ文字における数字の4 4
U+1BB5 SUNDANESE DIGIT FIVE スンダ文字における数字の5 5
U+1BB6 SUNDANESE DIGIT SIX スンダ文字における数字の6 6
U+1BB7 SUNDANESE DIGIT SEVEN スンダ文字における数字の7 7
U+1BB8 SUNDANESE DIGIT EIGHT スンダ文字における数字の8 8
U+1BB9 SUNDANESE DIGIT NINE スンダ文字における数字の9 9
記号
U+1BBA SUNDANESE AVAGRAHA アヴァグラハ。二重化記号。母音aが後続する子音字の前に置き、子音字の持つ随伴母音aを省略して後続する母音aと融合して発音されることを表す[2]。元々は連音(サンディ)によって語頭の母音 a が消えたことを表していた。 '
歴史的字母
U+1BBB SUNDANESE LETTER REU 音節主音化した短母音としてのR(IPA:[ɹ̩])を表す。現在のスンダ語では[rɤ]と発音される。 [注釈 1]
U+1BBC SUNDANESE LETTER LEU 音節主音化した短母音としてのL(IPA:[l̩])を表す。現在のスンダ語では[lɤ]と発音される。 [注釈 2]
U+1BBD SUNDANESE LETTER BHA 母音[i]を表す。U+1B84 ᮄ SUNDANESE LETTER Iの古い形。この文字は元々は誤認されていたため、Unicode名は誤称である[1] i
U+1BBE SUNDANESE LETTER FINAL K 末子音の[k]を表す。 k
U+1BBF ᮿ SUNDANESE LETTER FINAL M 末子音の[m]を表す。21世紀の文書で使用される[1]。古いスンダ語写本の筆写上の誤りに基づいているため、私用は非推奨である[3]。実際の末子音mには、1B99 1BAA のシーケンス(ᮙ᮪)を使用する[1] m

小分類

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このブロックの小分類は「各種記号」(Various signs)、「母音字」(Vowels)、「子音字」(Consonants)、「子音記号」(Consonant signs)、「母音記号」(Vowel signs)、「ヴィラーマ」(Viramas)、「追加の子音字」(Additional consonants)、「数字」(Digits)、「記号」(Sign)、「歴史的字母」(Historic letters)の10個となっている[1]。本ブロックでは、Unicodeのバージョン更新時の文字追加が隙間を埋める形で行われた影響で、同一の小分類に属する文字が飛び飛びの符号位置に割り当てられていることがある。

各種記号(Various signs

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この小分類にはスンダ文字のうち、母音字や子音字に結合する発音記号などの様々な記号が収録されている。

母音字(Vowels

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この小分類にはスンダ文字のうち、頭子音のない母音の音節を表す際に用いられる独立した母音字が収録されている。

子音字(Consonants

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この小分類にはスンダ文字のうち、基本的な子音字が収録されている。

子音記号(Consonant signs

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この小分類にはスンダ文字のうち、子音クラスタや末子音などを表すための別の子音字に結合する子音記号が収録されている。

母音記号(Vowel signs

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この小分類にはスンダ文字のうち、子音字に結合する母音記号が収録されている。

ヴィラーマ(Viramas

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この小分類にはスンダ文字のうち、子音字の持つ暗黙の随伴母音/-a/を読まずに子音のみを発音することを表す記号が収録されている。

なお文字名及び小分類名の「ヴィラーマ(virama)」とはデーヴァナーガリーにおける同様の機能を持つ記号の名称である。

追加の子音字(Additional consonants

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この小分類にはスンダ文字のうち、外来語などを表記するための追加の子音字が収録されている。

数字(Digits

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この小分類にはスンダ文字で用いられる固有の数字が収録されている。

記号(Sign

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この小分類にはスンダ文字のうち、アヴァグラハと呼ばれる母音aが後続する子音字の前に置き、子音字の持つ随伴母音aを省略して後続する母音aと融合して発音されることを表す記号1つのみが収録されている。

歴史的字母(Historic letters

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この小分類にはスンダ文字のうち、歴史的に用いられていたが、現在は廃字となった字母が収録されている。

文字コード

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スンダ文字(Sundanese)[1]
Official Unicode Consortium code chart (PDF)
  0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 A B C D E F
U+1B8x
U+1B9x
U+1BAx
U+1BBx ᮿ
注釈
1.^バージョン16.0時点


履歴

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以下の表に挙げられているUnicode関連のドキュメントには、このブロックの特定の文字を定義する目的とプロセスが記録されている。

バージョン コードポイント[a] 文字数 L2 ID ドキュメント
5.1 U+1B80..1BAA,1BAE..1BB9 55 L2/06-002 Michael Everson (11 January 2006), Proposal for encoding the Sundanese script (英語)
6.1 U+1BAB..1BAD,1BBA..1BBF 9 L2/09-190 Michael Everson (5 May 2009), Preliminary proposal for encoding additional Sundanese characters for Old Sundanese (WG2 N3648) (英語)
L2/21-221 Ilham Nurwansah (29 September 2021), Wrong Identities of Three Historical Sundanese Character (英語)
  1. ^ 提案されたコードポイントと文字の名前は、最終決定と異なる場合がある。

脚注

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注釈

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  1. ^ IASTではṛと表記される。
  2. ^ IASTではḷと表記される。

出典

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  1. ^ a b c d e f "The Unicode Standard, Version 15.1 - U1B80.pdf" (PDF). The Unicode Standard (英語). 2024年11月1日閲覧
  2. ^ Michael Everson (2009年5月5日). “Preliminary proposal for encoding additional Sundanese characters for Old Sundanese (WG2 N3648)” (英語). Unicode. 2024年11月1日閲覧。
  3. ^ Ilham Nurwansah (2021年9月29日). “Wrong Identities of Three Historical Sundanese Character” (英語). Unicode. 2024年11月1日閲覧。

関連項目

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