スピロペンタジエン: Spiropentadiene)またはボウチエジエン(: bowtiediene)は化学式 C5H4炭化水素である。スピロ結合したシクロアルケンのなかで最も単純な構造を持つ。環歪みが大きく極めて不安定で、-100℃でも反応性に富むので、自然界には存在しない。1991年に初めて実験室的に合成された[1][2]

スピロペンタジエン
識別情報
CAS登録番号 1727-65-7 チェック
特性
化学式 C5H4
モル質量 64.09 g mol−1
特記なき場合、データは常温 (25 °C)・常圧 (100 kPa) におけるものである。

合成経路

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スピロペンタジエンの合成には、まずビストリメチルケイ素プロピノン[1]にp-トルエンスルホニルヒドラジドを反応させてトシルヒドラゾン英語版[2]とし、シアノ水素化ホウ素ナトリウムで処理してアレン[3]とする。メチルリチウムジクロロメタンから生成するジクロロカルベン2分子を[3]に反応させてスピロ化合物[5]を得た後、液体窒素中でTBAF脱離反応させ、スピロペンタジエンを得る。

 

誘導体

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誘導体であるジクロロスピロペンタジエンの合成が報告されている[3]。全ケイ素置換化合物(Si5骨格に(tBuMe2Si)3Si-側鎖がついた化合物)も知られている[4]。ケイ素化合物は炭素のスピロペンタジエンと対照的に安定であり、融点は216 - 218℃である。X線結晶構造解析で得られた2環の角度は78°である。

出典

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  1. ^ Billups, W. E.; Haley, M. M. (1991). “Spiropentadiene”. Journal of the American Chemical Society 113 (13): 5084. doi:10.1021/ja00013a067. 
  2. ^ Elusive bowtie pinned down - synthesis of spiropentadiene, a carbonaceous compound nicknamed bowtiediene because it is shaped like a bowtie, Science News, July 13, 1991.
  3. ^ Saini, R.; Litosh, V.; Daniels, A.; Billups, W. (1999). “Synthesis and characterization of 1,4-dichlorospiropentadiene”. Tetrahedron Letters 40 (34): 6157. doi:10.1016/S0040-4039(99)01293-9. 
  4. ^ Iwamoto, T.; Tamura, M.; Kabuto, C.; Kira, M. (2000). “A Stable Bicyclic Compound with Two Si&cjs0811;Si Double Bonds”. Science 290 (5491): 504–506. Bibcode2000Sci...290..504I. doi:10.1126/science.290.5491.504. PMID 11039928.