スターリング放射性同位体発電機
スターリング放射性同位体発電機(英: Advanced Stirling Radioisotope Generator、ASRG)は、スターリング機構を用いた放射性同位体発電機である。現在は、将来の宇宙探査ミッションのために、アメリカ合衆国エネルギー省とアメリカ航空宇宙局が共同で開発している。以前のミッション(バイキング、パイオニア、ボイジャー、ガリレオ、ユリシーズ、カッシーニ、ニュー・ホライズンズ)等で用いられた放射性同位体熱電気転換器と比べ、スターリングサイクルを用いた効率の高い転換を実現でき、必要な二酸化プルトニウムは4分の1で済む。
諸元
編集発電機の試作品は、以下のような諸元を持つ[1]。
- 寿命:≥14年
- 名目電力:140W
- 質量:~20kg
- 効率:~30%
- 燃料:0.8kgのプルトニウム238
目的
編集土星最大の衛星タイタンの探査のために2015年1月の打上げを目指すタイタン海洋探査ミッション (TiME) のランダーとして、この発電機の利用が提案された[2][3]。2009年2月、アメリカ航空宇宙局と欧州宇宙機関から、EJSMにTiMEに対する優先権を与えると発表した[4][5]。2012年8月、TiMEは2016年の打上げをめぐる争いでも火星探査のインサイトに敗れた[6]。
また、天王星探査でオービタに3機のASRGを用いるHORUSミッションも提案されている[7]。Jupiter Europa Orbiterミッションは、木星探査でオービタに4機のASRGを用いる提案をしている。
出典
編集- ^ NASA's Planetary Science Division Update (June 23, 2008).
- ^ Stofan, Ellen (2009年8月25日). “Titan Mare Explorer (TiME): The First Exploration of an Extra-Terrestrial Sea”. 2009年10月24日時点のオリジナルよりアーカイブ。2009年11月3日閲覧。
- ^ Titan Mare Explorer (TiME): The First Exploration of an Extra-Terrestrial Sea
- ^ “NASA and ESA Prioritize Outer Planet Missions”. NASA. (February 18, 2009)
- ^ Rincon, Paul (February 18, 2009). “Jupiter in space agencies' sights”. BBC News
- ^ Vastag, Brian (August 20, 2012). “NASA will send robot drill to Mars in 2016”. Washington Post
- ^ Smith, R.M.; Yozwiak, A.W.; Lederer, A.P. and Turtle, E.P. (2010). “HORUS—Herschel Orbital Reconnaissance of the Uranian System”. 41st Lunar and Planetary Science Conference: 2471. Bibcode: 2010LPI....41.2471S.