スジキリヨトウ
スジキリヨトウ(Spodoptera depravata)は、鱗翅目(チョウ目)ヤガ科スポドプテラ属に属する昆虫の一種。幼虫が芝を食害する害虫として知られ、時に「シバヨトウ」とも呼ばれる[5]。
スジキリヨトウ | |||||||||||||||||||||||||||
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スジキリヨトウ Spodoptera depravata 雄成虫
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分類 | |||||||||||||||||||||||||||
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学名 | |||||||||||||||||||||||||||
Spodoptera depravata (Butler, 1879)[1][2] | |||||||||||||||||||||||||||
シノニム | |||||||||||||||||||||||||||
Rusidrina depravata[1] | |||||||||||||||||||||||||||
和名 | |||||||||||||||||||||||||||
スジキリヨトウ | |||||||||||||||||||||||||||
英名 | |||||||||||||||||||||||||||
Lawn Cutworm[3]、Lawn Grass Cutworm[4] |
分布
編集形態
編集成虫の開帳は26~36mm。雄成虫のみ触角が櫛歯状になるため、雌雄の区別は容易である[6]。
成熟した幼虫には淡褐色を基本とした体色の個体変異が見られる。背側に三本の白っぽい縦縞を示し、両側面の縞に沿って各体節ごとに黒い山型の紋様が伴うがこちらにも個体変異が見られる[6][7]。
害虫として
編集前述したとおり、本種幼虫は食草として芝(シバ類)を主に摂食し、時にゴルフ場等で大発生することもあるため、芝の重要害虫として知られる[6]。中でもシバを好み、相対的にコウライシバを食害することが比較的少ない[5]。シバ以外にはアワやトウモロコシの摂食が知られている[5]。年三化[5]、あるいは四化[6]であり、主に終齢幼虫で越冬する。
本種を含むスポドプテラ属 Spodoptera には農作物・園芸植物を栽培する上で重要な害虫とされる種が多数含まれる。上述のように本種もその例に漏れないが、たとえば同属のハスモンヨトウ Spodoptera litura やエジプトヨトウ S. littoralis [8]、ツマジロクサヨトウ S. frugiperda[9] などの種が時に海を越えるほどの長距離の移動拡散を行うことで知られるのに対して、本種にはそのような高い移動能力は認められない。そのため日本に分布するスポドプテラ属の中では例外的に、分布域が東アジア温帯の比較的狭い範囲に限定されている[1]。
雄成虫は雌のフェロモンに誘引されるが、本種の性フェロモンの成分は同定されており[4]、幼虫への殺虫剤散布のほかに、人工的に合成されたフェロモン成分が本種の繁殖活動を撹乱・阻害し大規模な発生を防除するための農薬として使用される[10][11]。
関連項目
編集外部リンク
編集脚注
編集- ^ a b c d e 柳田慶浩; 福田輝彦; 中尾健一郎 (2019年). “80.34. Prodeniini スジキリヨトウ族”. Digital Moth of Japan. 2020年12月28日閲覧。
- ^ a b 神保宇嗣 (2020年). “List-MJ 日本産蛾類総目録 version 3β”. 2020年12月29日閲覧。
- ^ 朴烽柱; 浅野義人 (2003). “スジキリヨトウに対する芝草類の耐虫性の差異”. 日本応用動物昆虫学会誌 (日本応用動物昆虫学会) 47 (4): 165-168. doi:10.1303/jjaez.2003.165. ISSN 0021-4914. NAID 110001103176 2020年12月28日閲覧。.
- ^ a b 栗原政明; 臼井 健二; 内海恭一; 田付貞洋 (1991). “スジキリヨトウの性フェロモン成分について”. 日本応用動物昆虫学会誌 (日本応用動物昆虫学会) 35 (4): 323-324. doi:10.1303/jjaez.35.323. ISSN 0021-4914. NAID 110001124317 2021年11月6日閲覧。.
- ^ a b c d 秋野浩二 (1972). “スジキリヨトウ (シバヨトウ) の発生経過”. 関東東山病害虫研究会年報 1972 (19): 109. doi:10.11337/ktpps1954.1972.109 2020年12月28日閲覧。.
- ^ a b c d 森本輝一; 大平喜男; 松沢寛 (1973). “東アジアにおける春から初夏に起こるハスモンヨトウの海を越えた移動” (PDF). 四国植物防疫研究 8: 71 - 72 2020年12月28日閲覧。.
- ^ 安田守『イモムシ ハンドブック2』文一総合出版、2012年、92頁。ISBN 978-4-8299-8101-6。
- ^ 藤條純夫 (2014). “東アジアにおける春から初夏に起こるハスモンヨトウの海を越えた移動” (PDF). 植物防疫 68 (1): 13 - 20 2020年12月28日閲覧。.
- ^ “ツマジロクサヨトウに関する情報”. 農林水産省. 農林水産省. 2020年12月28日閲覧。
- ^ 渡辺秀富; 廿日出正美 (1996). “ゴルフ場における性フェロモンを利用したシバツトガ及びスジキリヨトウの同時防除について”. 芝草研究 24 (2): 113 - 122. doi:10.11275/turfgrass1972.24.113. ISSN 0285-8800. NAID 130003878468 2021年11月6日閲覧。.
- ^ 河野哲; 藤富正昭; 広瀬敏晴 (2005). “兵庫県のゴルフ場における芝草のスジキリヨトウ,シバツトガに対する交信撹乱用性フェロモン剤の防除効果”. 兵庫県立農林水産技術総合センター研究報告(農業)Bull. Hyogo Pre. Tech. Cent. Agr.拘 rest.Fish. (Agriculture) 53: 24 - 25 2020年12月28日閲覧。.