スイゲンゼニタナゴ
コイ目コイ科の魚
スイゲンゼニタナゴ(水原銭鱮、Rhodeus atremius suigensis) は、コイ目コイ科タナゴ亜科に属する淡水魚の一種。亜種名や和名の「スイゲン」は記載された魚の採取地である韓国の水原市に由来する[2]。地方名はカメンタ(岡山県)[3]。2002年(平成14年)から国内希少野生動植物種に指定されている[4]。
スイゲンゼニタナゴ | ||||||||||||||||||||||||
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スイゲンゼニタナゴRhodeus atremius suigensis
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保全状況評価[1] | ||||||||||||||||||||||||
絶滅危惧IA類(環境省レッドリスト) | ||||||||||||||||||||||||
分類 | ||||||||||||||||||||||||
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学名 | ||||||||||||||||||||||||
Rhodeus atremius suigensis T. Mori, 1935 |
形態
編集- よく似た亜種
非常によく似た亜種としてカゼトゲタナゴがいる。 両亜種は区別が困難であるが
- 体高は本種の方が低い
- 体側の青い縦条の前端は、スイゲンゼニタナゴはやや太いのに対し、カゼトゲは細い
といった相違点がある。[6]
生態
編集水の澄んだ流れのある中小河川の中・下流、川に接続する水路の砂泥底や砂礫底のところに5-20匹程度で一列になって群れる[4][5]。湧水が豊富に存在する場所では流れがなくても生息する[5]。
繁殖期は4-7月頃で、電球形の卵をイシガイやマツカサガイなどの流水性の小型淡水二枚貝に産み付ける。卵は35時間で孵化し、その20日後に産卵母貝から出て行く。[2]約1年で成熟し、野生下の寿命は約2年である。[4]
分布
編集国内では兵庫県千種川、岡山県、広島県芦田川に生息していたが、兵庫県では絶滅し、現在は岡山県の一部と広島県福山市のみに残存する。朝鮮半島西部にも生息するとされるが遺伝的に日本産のものと離れているため、海外では別種として扱われている。[7]
保全状態評価
編集- 絶滅危惧IA類 (CR)(環境省レッドリスト)[1]
- 国内希少野生動植物種
「種の保存法」により平成14年から国内希少野生動植物種に指定されている[4]ため朝鮮半島産のものも含めて無許可の採取、販売、展示、飼育などが全て禁止されている[5]。
本種の生息を脅かす要因として以下の6つが挙げられる[4]。
脚注・出典
編集- ^ a b “スイゲンゼニタナゴ”. 日本のレッドデータ検索システム. 野生生物調査協会・Envision環境保全事務所. 2020年11月8日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年2月13日閲覧。
- ^ a b c 佐土、松沢(2011), p. 35.
- ^ 佐土、松沢(2011), p. 34.
- ^ a b c d e f “スイゲンゼニタナゴ”. 環境省. 2021年8月2日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年2月13日閲覧。
- ^ a b c d 赤井ほか(2009).
- ^ “スイゲンゼニタナゴとカゼトゲタナゴ”. 環境農林水産総合研究所. 2023年1月30日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年1月30日閲覧。
- ^ 佐土、松沢(2011), pp. 34–35.
- ^ “魚類図鑑・スイゲンゼニタナゴ”. stardust31.com. 2019年8月26日時点のオリジナルよりアーカイブ。2019年8月26日閲覧。
参考文献
編集- 赤井裕、秋山信彦、上野輝彌、葛島一美、鈴木信洋、増田修、藪本美孝『タナゴ大全』エムピージェー、2009年、p. 68頁。ISBN 978-4-904837-08-5。
- 佐土哲也、松沢陽士『タナゴハンドブック』文一総合出版、2011年、pp. 34-35頁。ISBN 978-4-8299-8100-9。