ジークムント・リングエック
ジークムント・リングエック(Sigmund Ringeck / Amring ジークムント・アムリング)は、15世紀ドイツの剣術家で、現在ドレスデンに伝わっている剣術書『ドレスデン手稿(MS Dresd. C 487)』の著者。
この剣術書は、148葉(うち22葉は空白)からなり、本文は2人の手によって書かれている。その中で、リングエックは、バイエルン公アルブレヒト(おそらくは1438年にバイエルン公となったアルブレヒト3世(1401年 - 1460年))時代の剣術家(schirmaister)であると述べられている。リングエックと個人的な面識があったとされるペーター・フォン・ダンツィヒが、その剣術書(1452年)でリングエックの書を引き合いに出していることから、このリングエックの剣術書は1440年代に成立したものと考えられている。
リングエックの剣術は、ヨハンネス・リヒテナウアーに依拠しており、最初の誓言(testimony)は、リヒテナウアーの教えを記した50年ほど前の『ニュルンベルク手稿』(1389年頃)に従っている。また、挿絵入り写本(1539年ごろ)も今日まで伝わっている(Sigmund Schining, Cod. I.6.2°.5)。この写本は、パウルス・ヘクトル・マイアーによって作成が依頼されたもののようで、第一頁にはその署名がある。