ジョーダン・ジマーマン

ドイツ系アメリカ人の野球選手 (1986 - )

ジョーダン・M・ジマーマンJordan M. Zimmermann, 1986年5月23日 - )は、アメリカ合衆国ウィスコンシン州ウッド郡オーバーンデール英語版出身の元プロ野球選手投手)。右投右打。

ジョーダン・ジマーマン
Jordan Zimmermann
デトロイト・タイガースでの現役時代
(2019年4月30日)
基本情報
国籍 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国
出身地 ウィスコンシン州ウッド郡オーバーンデール英語版
生年月日 (1986-05-23) 1986年5月23日(38歳)
身長
体重
6' 2" =約188 cm
225 lb =約102.1 kg
選手情報
投球・打席 右投右打
ポジション 投手
プロ入り 2007年 MLBドラフト2巡目
初出場 2009年4月20日
最終出場 2021年5月7日
経歴(括弧内はプロチーム在籍年度)

経歴

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プロ入りとナショナルズ時代

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2007年6月のMLBドラフト2巡目(全体67位)でワシントン・ナショナルズから指名を受け、プロ入り。

2008年にはA+級ポトマック・ナショナルズとAA級ハリスバーグ・セネターズで10勝3敗・防御率2.89を記録。7月にはイースタンリーグのオールスターに選出され、オフには「ベースボール・アメリカ」誌の有望株ランキングにおいて、球団内トップ、マイナー全体では41位の評価を受けた[1]

2009年はAAA級シラキュース・チーフスからスタート。4月20日のアトランタ・ブレーブス戦でメジャー初登板し、6回2失点で初勝利を挙げた。続くニューヨーク・メッツ戦でも勝利投手となり、ナショナルズの投手としてはエクスポズ時代の1988年ランディ・ジョンソンが記録して以来の初先発からの2連勝となった[2]。奇しくも、ジョンソンが通算300勝を達成した6月4日のサンフランシスコ・ジャイアンツ戦では敗戦投手になっている[3]。新人ながらイニング数を上回る三振を奪うなど、全球団で最低勝率のナショナルズで奮闘を続けていたが、7月に右肘に痛みを訴え、翌8月にトミー・ジョン手術を受け、シーズンを終えた[4]。その後数年間はドラフト同期で1巡目で入団し、同じく新人資格を持つロス・デトワイラーと共に活躍した。

当初は万全な状態に戻るまで18ヶ月を要すると見られていたが、手術から約12ヶ月後の2010年8月26日にメジャー復帰を果たした[5]

 
ワシントン・ナショナルズ時代(2011年)

2011年5月6日のフロリダ・マーリンズ戦では、2回裏に対戦した3人の打者からMLB史上42人目の三者連続三球三振を達成[6]。この年は球団から160イニング前後という投球制限を課されていたため、8月28日の登板を最後にシーズンを終えた[7]。最終的に、ナショナルズがスケジュールの都合で1試合未消化のままシーズンを終了したため、ギリギリで規定投球回数に到達。防御率3.18はチームトップの成績だった。

2012年は開幕から先発ローテーションに入り、前半戦は勝ち運に見放されたものの、防御率2.61という好成績を記録[8]。後半戦は、やや失速したが、それでもナショナルリーグ7位となる防御率2.94を記録。12勝で前年からさらに飛躍した。しかしながら、ポストシーズンでは先発とリリーフで1試合ずつに投げ、防御率11.25と炎上した。

2013年は開幕からの10試合で8勝2敗・防御率1.71と好調だった[9]。その後も勝ち星を積み上げ、前半戦だけで前年と同等の12勝[9]を挙げてオールスターゲームに選出された。後半戦も安定した投球を続け、最終的にはリーグトップタイの2つの完封勝利を含む19勝を記録。セントルイス・カージナルスのエースであるアダム・ウェインライトと共に最多勝のタイトルを獲得した。シーズン終了後のサイ・ヤング賞投票で7位だった[10]

2014年はシーズン開幕前の1月17日にナショナルズと2年総額2400万ドルの契約に合意した[11]。この年は、前年とは逆にチームがプレーオフ争いする後半戦に加速し、8月と9月の2ヵ月で8勝無敗という投球を披露[12]。シーズン最終戦の9月28日のマーリンズ戦では1四球・1振り逃げ・10奪三振・104球の好投で、ワシントンD.C.への移転後の球団初となるノーヒットノーランも達成[13]。自身2度目となるポストシーズンでは、ジャイアンツ相手に8.2イニングを1失点に抑える好投で、かつてのリベンジを果たした。レギュラーシーズンでは、3年連続2桁勝利となる14勝を挙げたほか、防御率2.66はリーグ7位、奪三振182は自己記録という素晴らしい内容だった。サイ・ヤング賞の投票では5位だった[14]

2015年は先発ローテーションを守って33試合に投げ、4年連続2桁勝利を挙げたが、防御率3.66は、ここ5シーズンでワーストだった。オフの11月2日にFAとなった[15]

タイガース時代

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2015年11月30日にデトロイト・タイガースと5年総額1億1000万ドルの契約を結んだ[16]。トミー・ジョン手術を経験した選手が、1億ドル以上の契約をするのは史上初のことだった[17]。このオフのタイガースには外野手のジャスティン・アップトンも6年1億3275万ドルの大型契約で加入した。

2016年は4月を5試合で5連勝、防御率0.55を記録し[18]ピッチャー・オブ・ザ・マンスに選出された。しかし、徐々に調子を落とし始めると7月4日に首痛で故障者リスト入りし、復帰は9月10日となった[19]。最終的には19試合の登板で、防御率4.87・9勝7敗に終わった。

2017年5月23日のヒューストン・アストロズ戦で通算1000奪三振に到達した。最終的に29試合に先発したが、6月以外の全ての月で防御率6点以上を記録し、8勝13敗、防御率6.08に終わった。

2018年は自身初めて開幕投手を務めた。4月11日のクリーブランド・インディアンス戦ではジェイソン・キプニスの打球が顔に直撃して救急搬送されたが、予定通りに次の登板に上がった。5月6日に肩の張りで故障者リスト入りし、6月16日に復帰。最終成績は29先発で7勝8敗・防御率4.52だった。オフに体幹の筋肉を修復する手術を受けた[20]

2019年は2年連続2度目の開幕投手を務めた。4月26日に右肘内側側副靭帯を痛めて故障者リスト入りすると、2ヶ月ほど離脱した[21]。最終成績は23試合の先発登板で1勝13敗、防御率6.91に終わり、20先発以上で2勝未満の先発投手は球団史上初だった[22]

2020年は3試合に登板したが、勝敗はつかなかった。オフの11月1日にFAとなった[23]

ブルワーズ時代

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2021年2月9日にミルウォーキー・ブルワーズとマイナー契約を結び、スプリングトレーニングに招待選手として参加することになった[24]。開幕ロースター入りが叶わず、4月29日に球団に現役引退する意向を伝えたが、投手陣に怪我人が続出していたこともあり逆にメジャー契約を打診され、引退を撤回[25]。同日にアクティブ・ロースター入りした[26]。その後2試合に登板した後、5月11日に再び現役引退を表明した[27]

選手としての特徴

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人物

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詳細情報

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年度別投手成績

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W
H
I
P
2009 WSH 16 16 0 0 0 3 5 0 0 .375 391 91.1 95 10 29 0 4 92 0 0 51 47 4.63 1.36
2010 7 7 0 0 0 1 2 0 0 .333 135 31.0 31 8 10 1 2 27 0 0 20 17 4.94 1.32
2011 26 26 1 0 0 8 11 0 0 .421 662 161.1 154 12 31 2 7 124 3 1 62 57 3.18 1.15
2012 32 32 0 0 0 12 8 0 0 .600 805 195.2 186 18 43 2 8 153 3 0 69 64 2.94 1.17
2013 32 32 4 2 0 19 9 0 0 .679 865 213.1 192 19 40 0 7 161 3 0 81 77 3.25 1.09
2014 32 32 3 2 1 14 5 0 0 .737 800 199.2 185 13 29 0 6 182 4 0 67 59 2.66 1.07
2015 33 33 0 0 0 13 10 0 0 .565 831 201.2 204 24 39 3 8 164 2 1 89 82 3.66 1.21
2016 DET 19 18 0 0 0 9 7 0 0 .563 450 105.1 118 14 26 0 2 66 3 0 63 57 4.87 1.37
2017 29 29 0 0 0 8 13 0 0 .381 713 160.0 204 29 44 2 7 103 3 0 111 108 6.08 1.55
2018 25 25 0 0 0 7 8 0 0 .467 556 131.1 140 28 26 0 2 111 1 0 76 66 4.52 1.26
2019 23 23 0 0 0 1 13 0 0 .071 504 112.0 145 19 25 2 6 82 3 0 89 86 6.91 1.52
2020 3 2 0 0 0 0 0 0 0 ---- 28 5.2 11 0 2 0 0 6 0 0 6 5 7.94 2.29
2021 MIL 2 0 0 0 0 0 0 0 0 ---- 26 5.2 8 1 2 0 1 0 0 0 5 5 7.94 1.77
MLB:13年 279 275 8 4 1 95 91 0 0 0.511 6766 1614.0 1673 195 346 12 60 1271 25 2 789 730 4.07 1.25
  • 各年度の太字はリーグ最高

年度別守備成績

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投手(P)












2009 WSH 16 7 16 1 1 .958
2010 7 1 2 2 0 .600
2011 26 18 19 0 1 1.000
2012 32 12 28 2 2 .952
2013 32 12 28 2 1 .952
2014 32 13 19 1 0 .970
2015 33 16 29 2 1 .957
2016 DET 19 2 17 2 0 .905
2017 29 7 6 1 0 .929
2018 25 9 21 0 1 1.000
2019 23 7 10 1 1 .944
2020 3 0 1 0 0 1.000
2021 MIL 2 0 1 0 0 1.000
MLB 279 104 197 14 8 .956

タイトル

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表彰

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記録

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背番号

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  • 27(2009年 - 2021年)

脚注

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  1. ^ Aaron Fitt (2009年1月7日). “Washington Nationals: Top 10 Prospects” (英語). Baseball America. The Enthusiast Network. 2015年12月1日閲覧。
  2. ^ Bill Ladson (2009年4月26日). “Who's the 'mann? Nats run over Mets” (英語). MLB.com. 2015年12月1日閲覧。
  3. ^ Zimmermann a hard-luck loser to history” (英語). MLB.com (2009年6月4日). 2015年12月1日閲覧。
  4. ^ Adam Kilgore (2009年8月10日). “Zimmermann Will Miss 18 Months” (英語). Washington Post. 2015年12月1日閲覧。
  5. ^ “Nationals overcome Albert Pujols' 400th career homer, beat Cardinals in 13” (英語). The Associated Press. ESPN. (2010年8月28日). http://espn.go.com/mlb/recap?gameId=300826120 2015年12月1日閲覧。 
  6. ^ Juan C. Rodriguez (2011年5月6日). “Zimmermann hits Marlins with immaculate inning” (英語). Sun Sentinel. 2015年12月1日閲覧。
  7. ^ Bill Ladson (2011年8月31日). “Though done playing, Zimmermann with Nats” (英語). MLB.com. 2015年12月1日閲覧。
  8. ^ 友成那智、村上雅則『メジャーリーグ・完全データ選手名鑑2013』廣済堂出版、2013年、260頁頁。ISBN 978-4-331-51711-6 
  9. ^ a b 友成那智、村上雅則『メジャーリーグ・完全データ選手名鑑2014』廣済堂出版、2014年、280頁頁。ISBN 978-4-331-51809-0 
  10. ^ 2013 Awards Voting”. Baseball-Reference.com. 2021年12月5日閲覧。
  11. ^ Bill Ladson (2014年1月17日). “Zimmermann, Desmond sign two-year deals”. MLB.com. 2015年12月1日閲覧。
  12. ^ 友成那智、村上雅則『メジャーリーグ・完全データ選手名鑑2015』廣済堂出版、2015年、261頁頁。ISBN 978-4-331-51921-9 
  13. ^ “ナショナルズのジマーマンが無安打無得点”. 日刊スポーツ. (2014年9月29日). https://www.nikkansports.com/baseball/mlb/news/f-bb-tp2-20140929-1374542.html 2015年12月1日閲覧。 
  14. ^ 2013 Awards Voting”. Baseball-Reference.com. 2021年12月5日閲覧。
  15. ^ Transactions | nationals.com” (英語). MLB.com (2015年11月2日). 2015年11月4日閲覧。
  16. ^ Jason Beck (2015年11月30日). “Tigers ink Zimmermann to five-year deal” (英語). MLB.com. http://m.mlb.com/news/article/158390022/tigers-sign-jordan-zimmermann 2015年12月1日閲覧。 
  17. ^ “Jordan Zimmermann five-year deal” (英語). ロイター. (2015年12月1日). オリジナルの2015年12月8日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20151208095122/http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20151201-00000017-reut-spo 2015年12月6日閲覧。 
  18. ^ Jordan Zimmermann 2016 Pitching Gamelogs - Baseball-Reference.com (英語) . 2016年10月31日閲覧。
  19. ^ 【MLB】タイガース、J.ジマーマンが10日のオリオールズ戦で復帰へ”. iSM (2016年9月7日). 2016年10月31日時点のオリジナルよりアーカイブ。2016年10月31日閲覧。
  20. ^ タイガース、ジマーマンと注目新人が筋肉修復の手術”. 日刊スポーツ. 2019年12月9日閲覧。
  21. ^ タイガースのジマーマン、右肘靱帯痛めIL入り”. 日刊スポーツ. 2019年12月9日閲覧。
  22. ^ FOX Sports Detroit's Tigers coverage features 17 'Players Only' telecasts” (英語). FOXスポーツ. 2019年12月9日閲覧。
  23. ^ 2020-21 free agents, position by position” (英語). MLB.com. 2020年11月3日閲覧。
  24. ^ Brewers Sign Jordan Zimmermann To Minor League Deal” (英語). MLB Trade Rumors. 2021年2月9日閲覧。
  25. ^ 元最多勝ジマーマン「クレイジーなことが」引退通達後に緊急昇格し夢が実現”. 日刊スポーツ. 2021年5月11日閲覧。
  26. ^ Brewers Select Jordan Zimmermann” (英語). MLB Trade Rumors. 2021年4月30日閲覧。
  27. ^ Jessica Camerato (May 12, 2021). “Ex-Nationals All-Star Zimmermann retires” (英語). MLB.com. May 16, 2021閲覧。
  28. ^ Jordan Zimmermann Pitch Data” (英語). The Baseball Cube. 2015年12月6日閲覧。
  29. ^ Tigers Players Weekend nicknames explained MLB.com (英語) (2017年8月24日) 2017年9月13日閲覧
  30. ^ Harry Jaffe (2009年7月1日). “2 Zimms” (英語). Washingtonian. Washington Magazine, Inc.. 2015年12月1日閲覧。

関連項目

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外部リンク

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