ジャナ・ガナ・マナ

インド共和国の国歌

ジャナ・ガナ・マナヒンディー語: जन गण मन [dʒɐ́n(ɐ) ɡɐ́ɳ(ɐ) mɐ́n(ɐ)]; ベンガル語: জন গণ মন [dʑɔ́n(o) ɡɔ́ɳ(o) mɔ́n(o)]、「人々の意志」の意。)は、インド国歌。「インドの朝」とも呼ばれる[1]ラビンドラナート・タゴールによって作詞・作曲され、1911年12月27日のインド国民会議カルカッタ大会ではじめて歌われた[2]。はじめ音楽は一定していなかったが、1919年に神智学徒で教育者のマーガレット・カズンズ英語版がタゴールと相談の上で現在の曲にまとめあげた[3]インド憲法制定会議は、1950年1月24日にインドの国歌としてこの曲を公式に採用した[4]

जन गण मन
জন গন মন
和訳例:インドの朝、人々の意志

国歌の対象
インドの旗 インド

作詞 ラビンドラナート・タゴール(1911年)
作曲 ラビンドラナート・タゴール(1911年)
採用時期 1950年
試聴
noicon
テンプレートを表示

もともとタゴールはベンガル語で作詞したが、国歌はヒンディー語で歌われることになっている[5]。ベンガル語とヒンディー語はかなり異なる言語だが、サンスクリットの借用語が非常に多い歌詞のため、ベンガル語版とヒンディー語版の歌詞は実際にはほとんど同じである[6]

国歌に近い扱いがなされている曲にはほかにバンキムチャンドラ英語版作詞『ヴァンデー・マータラム英語版』があり、インドの国民歌(राष्ट्रगीत、National Song)とされている[5]

歌の構成

編集

ベンガル語によるオリジナルの詩は5番まであるが、国歌としては1番のみが歌われる[7]。国歌採用にあたり、同歌と並んで候補となったヴァンデー・マータラム(母なる大地)はヒンドゥー色が濃いという理由からジャナ・ガナ・マナが選定された[1]。民族音楽の独特のメロディが特徴で、宗教や言語が多種多様なインドという国家に合わせて、特定の神を連想させるような用語を回避し、すべてを超越する存在に語りかけるようなかたちで作詞された[1]。しかし、歌の冒頭の支配者を意味する語(the ruler)が宗主国であるイギリスの王を指しているのではないかとして問題となったこともある[1]

歌詞

編集
ベンガル文字 ローマ字転写 国際音声記号

জন গণ মন অধিনায়ক জয় হে
ভারত ভাগ্য বিধাতা
পঞ্জাব সিন্ধু গুজরাট মরাঠা
দ্রাবিড় উৎ‍‌কল বঙ্গ
বিন্ধ্য হিমাচল যমুনা গঙ্গা
উচ্ছল জলধি তরঙ্গ
তব শুভ নামে জাগে
তব শুভ আশিস মাগে
গাহে তব জয়গাথা
জন গণ মঙ্গল দায়ক জয় হে
ভারত ভাগ্য বিধাতা
জয় হে জয় হে জয় হে
জয় জয় জয় জয় হে॥[8][9]

Jon gon mon odhinayok joy he
Bharot bhaggo bidhata
Ponjab Sindhu Gujoraṭ Moraṭha
Drabiṛ Utkol Bongo
Bindho Himacol Jomuna Gonga
Ucchol jolodhi torongo
Tob shubh name jage
Tob shubh ashis mage
Gahe tob joy gatha
Jon gon mongol dayok joy he
Bharot bhaggo bidhata
Joy he joy he joy he
Joy joy joy joy he

[d͡ʑɔ.no ɡɔ.no mɔ.no o.dʱi.na.e̯ɔ.ko d͡ʑɔ.e̯o ɦe ǀ]
[bʱa.ɾo.to bʱaʔ.go bi.dʱa.ta ǁ]
[pɔn.d͡ʑa.bo ɕin.dʱu ɡu.d͡ʑɔ.ɾa.ʈo ma.ɾa.ʈʰa ǀ]
[dɾa.bi.ɽo ut.kɔ.lo bɔŋ.ɡo ‖]
[bin.dʱo ɦi.ma.t͡ɕɔ.lo d͡ʑo.mu.na ɡɔŋ.ɡa ǀ]
[uʔ.t͡ɕʰɔ.lo d͡ʑɔ.lo.dʱi to.ɾɔŋ.ɡo ‖]
[tɔ.bo ɕu.bʱo na.me d͡ʑa.ɡe ǀ]
[tɔ.bo ɕu.bʱo a.ɕi.ɕo ma.ɡe ǀ]
[ga.ɦe tɔ.bo d͡ʑɔ.e̯o ɡa.tʰa ‖]
[d͡ʑɔ.no ɡɔ.no moŋ.ɡɔ.lo da.e̯ɔ.ko d͡ʑɔ.e̯o ɦe ǀ]
[bʱa.ɾo.to bʱaʔ.go bi.dʱa.ta ‖]
[d͡ʑɔ.e̯o ɦe ǀ d͡ʑɔ.e̯o ɦe ǀ d͡ʑɔ.e̯o ɦe ǀ]
[d͡ʑɔ.e̯o d͡ʑɔ.e̯o d͡ʑɔ.e̯o d͡ʑɔ.e̯o ɦe ‖]

デーヴァナーガリー ローマ字転写 ヒンディー語のカタカナ転写

जनगणमन-अधिनायक जय हे भारतभाग्यविधाता!
पंजाब सिन्ध गुजरात मराठा द्राविड़ उत्कल बंग
विन्ध्य हिमाचल यमुना गंगा उच्छलजलधितरंग
तव शुभ नामे जागे, तव शुभ आशिष मागे, गाहे तव जयगाथा।
जनगणमंगलदायक जय हे भारतभाग्यविधाता!
जय हे, जय हे, जय हे, जय जय जय जय हे।।

Jangaṇman-adhināyak jay he Bhāratbhāgyvidhāta!
Pañjāb Sindhu Gujarāṭ Marāṭha Drāviḍ Utkal Bang
Vindhy Himācal Yamuna Gang Ucchaljaladhitarang
Tav shubh nāme jāge, tav shubh āshiṣ māge,
Gāhe tav jaygātha
Jangaṇmangaldāyak jay he Bhāratbhāgyvidhāta!
Jay he jay he jay he, jay jay jay jay he

ジャナ・ガナ̠・マナ・アデ̊ィナーヤカ・ジャヤ・ヘ・バ̊ーラタ・バ̊ッギャビ̊ダ̊ータ
パンジャーブ・シンド̊ゥ・グジャラータ̠̊・マラータ̠̊・ドラヴィダ̠・ウッカラ・バンガ
ビンダ̊ャ・ヒマーチャラ・ヤムナー・ガンガ・ウッチ̊ャラ・ジャラデ̊ィ・タランガ
タバ̊・シュバ̊・ナーメ・ジャーゲ・タバ̊・シュバ̊・アーシシ̠ャ・マーゲ
ガーヘー・タバ̊・ジャヤガータ̊
ジャナ・ガナ̠・マンガラ・ダーヤカ・ジャヤ・ヘ・バ̊ーラタ・バ̊ッギャビ̊ダ̊ータ
ジャヤ・ヘ・ジャヤ・ヘ・ジャヤ・ヘ・ジャヤ・ジャヤ・ジャヤ・ジャヤ・ヘ

英語訳

編集
 
英語訳、タゴールによる自筆

英語訳『インドの朝の歌』(The Morning Song of India)は、タゴール自身によって1919年に作られた[10]

Thou art the ruler of the minds of all people,
Dispenser of India's destiny.
Thy name rouses the hearts of Punjab, Sind,
Gujarat and Maratha,
Of the Dravida and Orissa and Bengal;
It echoes in the hills of the Vindhyas and Himalayas,
mingles in the music of Yamuna and Ganges and is
chanted by the waves of the Indian Sea.
They pray for thy blessings and sing thy praise.
The saving of all people waits in thy hand,
Thou dispenser of India's destiny.
Victory, victory, victory to thee.

日本語訳

編集

汝はすべての民の心の支配者
インドの運命の裁定者
汝の名は奮い起こす
ドラヴィダオリッサベンガル
パンジャブシンドグジャラートマラータの民の心を
それはヴィンドゥーヤヒマラヤの丘にこだまし、
ヤムナー川ガンジス川の奏でを混ぜ、
インド洋の波によって歌われる
彼らは汝の祝福を求め祈り、汝の喜びを歌う
人々全ての保護は汝の手の中にあり、
インドの運命の裁定者
勝利を、勝利を、汝に勝利を

脚注

編集

外部リンク

編集