ジェームズ・メイナード
ジェームズ・メイナード(James Maynard, 1987年6月10日 - )はイギリスの数学者。解析的整数論、特に素数の理論を専門としている[1] 。2017年、オックスフォード大学の研究教授(Research Professor)に任命された[2]。現在、セント・ジョンズ・カレッジ (オックスフォード大学)のフェローである[3]。2022年、フィールズ賞を受賞[4]。
ジェームズ・メイナード | |
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メイナード(2013年) | |
生誕 |
1987年6月10日(37歳) イギリス、チェルムスフォード |
研究分野 | 数学 |
研究機関 | |
出身校 | |
博士論文 | Topics in analytic number theory (2013) |
博士課程 指導教員 | ロジャー・ヒース=ブラウン |
主な業績 | 素数の間隔に関する業績 |
主な受賞歴 |
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プロジェクト:人物伝 |
経歴
編集メイナードは、イギリスのチェルムスフォードにあるエドワード6世グラマースクールに通学した。2009年にケンブリッジ大学のクイーンズ・カレッジで学士・修士課程を送った後、2013年にベリオール・カレッジ (オックスフォード大学)で、ロジャー・ヒース=ブラウンの指導の下博士号を取得した[5][1]。モードリン・カレッジ (オックスフォード大学)にて、考査を通過しフェローとなった[6]。
2013年から翌年の間、メイナードはモントリオール大学のCRM-ISMポスドク研究員だった[7]。
2013年11月メイナードは、素数間の隔たりの境界性に関する張益唐の定理[8]に、異なる証明を与え、任意の に対し、 個の素数の組のうち隔たりが有界であるものが無数に存在することを示すことで懸案の問題を解決した[9] 。この成果は、ハーディ・リトルウッドの -タプル予想の進展と見ることができる[10] 。この予想は、許される -タプルの正の割合が、各々の に対し素数 タプル予想を満足することを確立するものである。メイナードのアプローチは、 番目の素数を意味する を用いて、上界を与えた。
Polymath8Projectにより既存の最良の境界を著しく改善した[11]。言い換えると、メイナードは「隣り合った素数の組には隔たりが600以下のものが無数に存在する」ことを示した。その後、Polymath8bが創設され[12]、共同研究によりこの間隔は246まで下げられたと2014年4月14日にPolymath projectで発表があった[11]。さらに、エリオット・ハルバースタム予想を仮定すると間隔は12まで、予想の一般形を仮定すると間隔は6まで下げられることがPolymath Projectウィキで述べられている。
2014年8月、メイナードは(ケヴィン・フォード、ベン・グリーン、セルゲイ・コンヤギン、テレンス・タオとは独立に)、エルデシュにより提出された、素数間の大きな間隔に関する未解決の問題を解決し、エルデシュが個人的に設けた賞(通称、エルデシュ賞)を受賞した(賞金額は過去最高の1万ドル)[13][14]。
メイナードは、2014年にSASTRAラマヌジャン賞を[1][15]、2015年にホワイトヘッド賞を[16]、2016年にヨーロッパ数学会賞を受賞した[17]。
2016年、メイナードは0から9までの任意の数字に対して、その数字を含まない素数(ただし素数は10進数で表示する)が無限に存在することを示した[18][19]。
2019年、メイナードはディミトリス・コウコウロポウロスと共同で、ダフィン・シェーファー予想を証明した[20][21]。
2020年、メイナードはトマス・ブルームと共同で、二乗差なし集合に対して最もよく知られていた境界値を改善し、二乗差なし集合 の任意の部分集合 のサイズの上限値は、ある定数 に対して であることを証明した[22][23] 。
2022年、「解析的整数論における貢献、すなわち、素数の構造の理解およびディオファントス近似における大きな進歩を導いたこと」に対して、フィールズ賞がメイナードに贈られた[24]。
人物
編集メイナードは1987年6月10日、イギリスのチェルムスフォードで誕生した[1]。妻のエレナー・グラント(Eleanor Grant)は医師である[4]。
関連項目
編集出典
編集- ^ a b c d Alladi, Krishnaswami. “James Maynard to Receive 2014 SASTRA Ramanujan Prize”. qseries.org. 1 February 2017時点のオリジナルよりアーカイブ。13 April 2017閲覧。
- ^ “James Maynard appointed Research Professor and receives a Wolfson Merit Award from the Royal Society” (4 April 2018). 4 April 2018時点のオリジナルよりアーカイブ。4 April 2018閲覧。
- ^ “Professor James Maynard, St John's College, Oxford”. 22 April 2022時点のオリジナルよりアーカイブ。11 June 2022閲覧。
- ^ a b Klarreich, Erica (1 June 2020). “A Solver of the Hardest Easy Problems About Prime Numbers”. Quanta Magazine. オリジナルの5 July 2022時点におけるアーカイブ。 5 July 2022閲覧。.
- ^ ジェームズ・メイナード - Mathematics Genealogy Project
- ^ “James Maynard: Prime Numbers”. 16 April 2021時点のオリジナルよりアーカイブ。11 June 2022閲覧。
- ^ “Dr James Maynard”. Magdalen College, Oxford. 20 May 2018時点のオリジナルよりアーカイブ。17 April 2014閲覧。
- ^ Zhang, Yitang (2014). “Bounded gaps between primes”. Annals of Mathematics (Princeton University and the Institute for Advanced Study) 179 (3): 1121–1174. doi:10.4007/annals.2014.179.3.7. オリジナルの22 January 2014時点におけるアーカイブ。 16 August 2013閲覧。.
- ^ Klarreich, Erica (19 November 2013). “Together and Alone, Closing the Prime Gap”. Quanta Magazine. オリジナルの5 December 2019時点におけるアーカイブ。 5 December 2019閲覧。.
- ^ Maynard, James (20 November 2013). "Small Gaps Between Primes". arXiv:1311.4600 [math.NT]。
- ^ a b “Bounded gaps between primes”. Polymath Project. 28 February 2020時点のオリジナルよりアーカイブ。21 July 2013閲覧。
- ^ Tao, Terence (19 November 2013). “Polymath8b: Bounded intervals with many primes, after Maynard”. 8 May 2021時点のオリジナルよりアーカイブ。17 April 2014閲覧。
- ^ Klarreich, Erica (10 December 2014). “Prime Gap Grows After Decades-Long Lull”. Quanta Magazine. オリジナルの15 July 2017時点におけるアーカイブ。 10 December 2014閲覧。.
- ^ Maynard, James (21 August 2014). "Large gaps between primes". arXiv:1408.5110 [math.NT]。
- ^ Alladi, Krishnaswami (December 2014), “Maynard Awarded 2014 SASTRA Ramanujan Prize”, Notices of the AMS 61 (11): 1361, ISSN 1088-9477, オリジナルの30 November 2020時点におけるアーカイブ。 28 April 2021閲覧。
- ^ “2015 Whitehead Prize”. Clay Mathematics Institute (8 July 2015). 20 August 2019時点のオリジナルよりアーカイブ。6 July 2022閲覧。
- ^ “History of prizes awarded at European Congresses of Mathematics”. European Mathematical Society. 9 February 2015時点のオリジナルよりアーカイブ。6 July 2022閲覧。
- ^ Grechuk, Bogdan (2021). Landscape of 21st Century Mathematics: Selected Advances, 2001–2020. Springer Nature. pp. 14. ISBN 978-3-030-80627-9. オリジナルの7 July 2022時点におけるアーカイブ。 6 July 2022閲覧。
- ^ Maynard, J.: Invent. math. (2019) 217: 127. https://doi.org/10.1007/s00222-019-00865-6 Archived 7 July 2022 at the Wayback Machine.
- ^ Sloman, Leila (16 September 2019). “New Proof Solves 80-Year-Old Irrational Number Problem” (英語). Scientific American. 24 May 2022時点のオリジナルよりアーカイブ。6 July 2022閲覧。
- ^ Koukoulopoulos, Dimitris; Maynard, James (1 July 2020). “On the Duffin-Schaeffer conjecture”. Annals of Mathematics 192 (1). arXiv:1907.04593. doi:10.4007/annals.2020.192.1.5. ISSN 0003-486X. オリジナルの7 July 2022時点におけるアーカイブ。 6 July 2022閲覧。.
- ^ Bloom, T.; Maynard, J. (2020). "A new upper bound for sets with no square differences". arXiv:2011.13266 [math.NT]。
- ^ “Multivariate Polynomial Values in Difference Sets”. ArXiv.org. pp. 3 (5 September 2021). 17 August 2020時点のオリジナルよりアーカイブ。6 July 2022閲覧。
- ^ “The Fields Medal 2022. James Maynard”. International Mathematical Union. 5 July 2022時点のオリジナルよりアーカイブ。6 July 2022閲覧。