ジェリー・ゴールドスミス

アメリカの作曲家 (1929-2004)

ジェリー・ゴールドスミス: Jerry Goldsmith1929年2月10日 - 2004年7月21日)は、アメリカ合衆国作曲家。ジェリーは愛称を筆名としたもので、本名はジェラルド(Jerrald)である。

ジェリー・ゴールドスミス
Jerry Goldsmith
ロンドン交響楽団指揮時のゴールドスミス(2003年)
基本情報
生誕 1929年2月10日
アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国ロサンゼルス
死没 (2004-07-21) 2004年7月21日(75歳没)
アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国ロサンゼルス
ジャンル 映画音楽
職業 作曲家

2つの頭脳を持つ男』『MOON44』などの映画音楽で知られる作曲家のジョエル・ゴールドスミスは息子。

来歴

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アメリカ合衆国カリフォルニア州出身。父は建築家、母は教師。幼少の頃、母親がピアノを習わせたところ非凡な才能があると言われたため、ジェイコブ・ギンペルについてピアノを習い、さらにマリオ・カステルヌオーヴォ=テデスコに理論を学ぶ。

最初はピアニストを志したが、後に作曲へと関心が向かい、ロサンゼルス・シティー・カレッジに進学したのち『白い恐怖』を観て映画音楽に興味を持ち、同映画の音楽担当ミクロス・ローザ南カリフォルニア大学にて講義を受け持っているのを知ると、1年間聴講し指導を受ける。

事務員としてCBSに入社し、当初タイピストをしていたが、すぐに音楽部門へ転属。ラジオドラマから料理番組まで放送用音楽を作り、アルフレッド・ニューマンの推薦などで、50年代半ばからTVや映画の音楽を書き始める。生涯において170作品を超える映画を手がけ、アカデミー賞に18回ノミネートされ、うち『オーメン』で受賞[1]。またエミー賞を5回受賞しているほか、ゴールデングローブ賞英国アカデミー賞にそれぞれ4回ずつノミネートされた。

彼は映画音楽の作曲家としてとても有名だが、「管弦楽のための音楽」といった、現代音楽あるいはオラトリオやバレエの音楽も作っている。他にカリフォルニア・ディズニーランドのアトラクション「SOARIN' OVER CALIFORNIA」の音楽や、カリフォルニア州からの依頼で管弦楽曲「FIREWORKS」も手がけている。

2004年7月21日早朝(現地時間)にロサンゼルスの自宅にて肝臓癌のため75歳で死去した。

日本でのコンサート実績

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指揮は本人、演奏は全て神奈川フィルハーモニー管弦楽団による。演奏曲目は自作がメイン。

日本の映画情報番組に出演していた本人が「日本でもコンサートを開きたい」と発言した事がきっかけとなり実現した[2]。過去にも企画されたことはあったが、一般的な知名度の無さ、スポンサーが付かないという状況で不発となっていた[2]。 初回は1998年8月の予定だったが、「スタートレック 叛乱」の録音と重なり開催が危ぶまれたものの、関係者の調整により12月に開催された[2]

2003年に予定されていた3度目の訪日は医師に止められて中止し、代わりの指揮者としてチャールズ・フォックスが日本を訪れた。

作風

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アクションやサスペンスの緊迫感ある場面に効果的な音楽をつけることにかけては、他の追従を許さない抜群の手腕をもつが、同時にメロディーメーカーでもあったことが巨匠たる所以である。『パピヨン』はその好例。

また、場面における音楽の要不要を最も的確に判断できる作曲家とも評され、凡百の映画音楽がドラマとは無関係に主題歌やテーマ曲を押しつけている風潮に対して敢然と立ち向かい、劇伴音楽に徹し続けて地味な作風となりながらも、確固たる個性を音楽に反映させてきた。技法の上では『猿の惑星』のステンレスの料理用ボウル、『スタートレック』のブラスタービーム(金属パイプで金属の弦を叩いたりこすったりするクレイグ・ハクスリー考案の楽器)、早い時期からのシンセサイザー利用など、ユニークな音を曲に採り入れる試みもある。

そうした前衛的な指向がある一方、「古典的スタイルに逆戻り」と念を押しながらも、同業で同じくテデスコに師事したジョン・ウィリアムズの手腕を評価し、『スーパーガール』や『ロマンシング・アドベンチャー/キング・ソロモンの秘宝』では、ウィリアムズのスタイルを意識した曲作りも出来ることを示した[注釈 1]

フランクリン・J・シャフナージョー・ダンテ作品の多くに曲を提供し、ポール・ヴァーホーヴェンピーター・ハイアムズJ・リー・トンプソンロバート・ワイズフレッド・スケピシらの作品も複数手がけているが、特にシャフナーとマイケル・クライトンの作品なら無条件で引き受けると談話している。『エイリアン』ではリドリー・スコット監督と組んだ際に遺恨が残った。監督との意思疎通がうまくいかず、作曲されたものの未使用となったり意図と異なる使い方や差し替えが何箇所もあり、ラストシーンでは結末の変更に伴いハワード・ハンソン交響曲第2番に差し替えられた。メイキングでは、その上でも有名になったのはエイリアンだと語っている。同監督の『レジェンド / 光と闇の伝説』ではユニバーサルピクチャーズ側の要求により、タンジェリン・ドリームの音楽に差し替えられた。なお、これはアメリカ国内公開版だけであり、国外への配給は20世紀フォックス社が行い、音楽はゴールドスミスのものをそのまま使用している(配給会社の音楽に対するスタンスの違いが現れている)。二人はこれで決裂したが、スコットはゴールドスミスの死後翌年公開の『キングダム・オブ・ヘブン』では、彼が他の監督の作品『13ウォーリアーズ』のために書いた音楽を許諾を得て一部使用(全体の音楽監督は ハリー・グレッグソン・ウィリアムス)している。

そのため自作をコンサートで演奏する際に、映画本編で使われなかった楽曲をプログラムに入れることが多く、同じく苦労して書いた曲が使用されなかった、アレックス・ノースの『2001年宇宙の旅』のための音楽が、CD録音される際にも指揮を受け持つなど、未使用曲へのこだわりも見せた。

晩年に手がけた映画に『タイムライン』があるが、スコア録音後にも映画の再編集が繰り返され、監督リチャード・ドナーとの意見の相違から降板、最終的に若手のブライアン・タイラーに交替となった。『ルーニー・テューンズ:バック・イン・アクション』が遺作となったが、体力と時間的な制約で最後まで作曲できず、ジョン・デブニーがクライマックスを担当した。

主な作品

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日本での題名 原題 西暦年
野のユリ Lilies of the Field 1963年
いつか見た青い空 A Patch of Blue 1965年
危険な道 In Harm's Way 1965年
ブルー・マックス The Blue Max 1966年
セコンド/アーサー・ハミルトンからトニー・ウィルソンへの転身 Seconds 1966年
砲艦サンパブロ The Sand Pebbles 1966年
電撃フリントGO!GO作戦 Our Man Flint 1966年
電撃フリント・アタック作戦 In Like Flint 1967年
墓石と決闘 Hour of the Guns 1967年
猿の惑星 Planet of the Apes 1968年
刑事 The Detective 1968年
バンドレロ Bandolero! 1968年
パットン大戦車軍団 Patton 1970年
トラ・トラ・トラ! TORA!TORA!TORA! 1970年
砂漠の流れ者/ケーブル・ホーグのバラード The Ballad of Cable Hogue 1970年
夕陽の挽歌 Wild Rovers 1971年
ラスト・ラン/殺しの一匹狼 The Last Run 1971年
パピヨン Papillon 1973年
チャイナタウン Chinatown 1974年
風とライオン The Wind and the Lion 1975年
軍用列車 Breakheart Pass 1975年
2300年未来への旅 Logan's Run 1976年
カサンドラ・クロス The Cassandra Crossing 1976年
オーメン The Omen 1976年
世界が燃えつきる日 Damnation Alley 1977年
ブラジルから来た少年 The Boys from Brazil 1978年
カプリコン・1 Capricorn One 1978年
エイリアン Alien 1979年
大列車強盗 The First Great Train Robbery 1979年
スター・トレック Star Trek: The Motion Picture 1979年
アウトランド Outland 1981年
ランボー First Blood 1982年
ポルターガイスト Poltergeist 1982年
トワイライトゾーン/超次元の体験 Twilight Zone The Movie 1983年
サイコ2 Psycho II 1983年
アンダー・ファイア Under Fire 1983年
グレムリン Gremlins 1984年
スーパーガール Supergirl 1984年
未来警察 Runaway 1984年
スティーブ・マーティンのロンリー・ガイ The Lonely Guy 1984年
恐竜伝説ベイビー Baby: Secret of the Lost Legend 1985年
レジェンド / 光と闇の伝説 Legend 1985年
ロマンシング・アドベンチャー/キング・ソロモンの秘宝 King Solomon's Mines 1985年
ランボー/怒りの脱出 Rambo: First Blood Part II 1985年
ポルターガイスト2 Poltergeist2 : The Other Side 1986年
勝利への旅立ち Hoosiers 1986年
ライオンハート英語版 Lionheart 1987年
ダブルボーダー Extreme Prejudice 1987年
レンタ・コップ Rent-a-cop 1987年
インナースペース Innerspace 1987年
ランボー3/怒りのアフガン Rambo III 1988年
リバイアサン Leviathan 1989年
スタートレックV 新たなる未知へ Star Trek V: The Final Frontier 1989年
トータル・リコール Total Recall 1990年
グレムリン2 新・種・誕・生 Gremlins 2: The New Batch 1990年
ロシア・ハウス The Russia House 1990年
星の流れる果て Not Without My Daughter 1991年
愛がこわれるとき Sleeping with the Enemy 1991年
ザ・スタンド Medicine Man 1992年
フォーエヴァー・ヤング 時を越えた告白 Forever Young 1992年
氷の微笑 Basic Instinct 1992年
ミスター・ベースボール Mr. Baseball 1992年
冷たい月を抱く女 Malice 1993年
私に近い6人の他人 Six Degrees of Separation 1993年
ルディ/涙のウイニング・ラン Rudy 1993年
激流 The River Wild 1994年
トゥルーナイト First Knight 1995年
パウダー Powder 1995年
コンゴ Congo 1995年
ゴースト&ダークネス The Ghost and the Darkness 1996年
訣別の街 CITY HALL 1996年
スタートレック ファーストコンタクト Star Trek: First Contact 1996年
チェーン・リアクション Chain Reaction 1996年
エグゼクティブ・デシジョン Executive Decision 1996年
L.A.コンフィデンシャル L.A. Confidential 1997年
ザ・ワイルド The Edge 1997年
エアフォース・ワン Air Force One 1997年
ムーラン Mulan 1998年
スタートレック 叛乱 Star Trek: Insurrection 1998年
スモール・ソルジャーズ Small Soldiers 1998年
ザ・グリード Deep Rising 1998年
追跡者 U.S. Marshals 1998年
ハムナプトラ/失われた砂漠の都 The Mummy 1999年
13ウォーリアーズ The 13th Warrior 1999年
インビジブル Hollow Man 2000年
ネメシス/S.T.X Star Trek: Nemesis 2002年
トータル・フィアーズ The Sum of All Fears 2002年
ルーニー・テューンズ:バック・イン・アクション Looney Tunes: Back in Action 2003年

脚注

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注釈

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  1. ^ スーパーマン』の音楽も『オーメン』のリチャード・ドナー監督からウィリアムズより前に誘いを受けたが、スケジュールの都合で辞退している。

出典

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  1. ^ アカデミー作曲賞受賞者、ジェリー・ゴールドスミス、死去 - シネマトゥデイ
  2. ^ a b c d e 1998年コンサート ジェリー・ゴールドスミス ハリウッド映画音楽の夕べ パンフレット
  3. ^ a b c 2000年コンサート ジェリー・ゴールドスミス 20世紀ファイナル・ライブ パンフレット

外部リンク

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