シュド=メル

クトゥルフ神話の神格

シュド=メルShudde-M'ell シュド=メル または シャッド=メル)は、創作ジャンルであるクトゥルフ神話に登場する、架空の怪物・神。クトーニアン(Chthonian)という種族の長老で、長い年月を生きて神と化している。本記事では、シュド=メルおよびクトーニアンについて記載する。

初出はブライアン・ラムレイのクトゥルフ神話短編『セメントに覆われたもの』。この短編は長編サーガ『タイタス・クロウ・サーガ』の第1作『地を穿つ魔』に組み込まれている。「地を穿つ魔」(The Burrowers Beneath)とは、クトーニアンとシュド=メルを指し、「セメントに覆われたもの」とはこの生物の卵を指す。

概要

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シュド=メル

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最大最古のクトーニアン。旧支配者・CCD(クトゥルフ眷属邪神群)。巨大で不死身に近い。人間の対邪神組織に捕らわれたクトーニアンの幼体を救いに一族と共に向かった。幼体に仕掛けられた核爆弾で一族は皆殺しにされたが、シュド=メル自身は傷を負ったものの生存した。

クトーニアン

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クトゥルフ配下の地底種族。外見の特徴は目のないイカに似ており、短い触手を持っている。高温の溶解液を吐くことで、岩と地中を掘って暮らす。テレパシー能力を備えており、仲間同士で交信する他、人間の精神にも干渉する。岩盤を掘り進み爆弾すら容易に耐える強靭な身体を持つが、水に弱い。また核爆弾の放射線を用いれば、長のシュド=メル以外は死ぬ。

繁殖力は低く、メスは僅かな数しか卵を産まない。そのためクトーニアンは自分達の卵と子供を必死に守る。幼生の間は炎で焼き殺すことが可能。卵は有害な放射線を遮断するために、殻の厚みが4インチ(10センチメートル)もある。

彼らの種族はグハーンという、アフリカの都市の近くに封じ込められていたが、地殻を貫くトンネルを掘ることによって脱出し、世界中に広がった。

クトーニアンにとってのシュド=メルは、深きものどもにとっての父なるダゴンと母なるヒュドラにあたる。

名前

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なおクトーニアンという語は作品中に出てくるが、クトゥルフの眷属一般を指すように用いられており、地底種族の名前とは特に限定されていない[注 1]chthonianはギリシャ語で「地下の・地底の」を意味するchthonに由来する単語で「地下に棲む神々」程の意味。

クトーニアンを地底イカの種族名と明確化させたのは、TRPGクトゥルフの呼び声』が初出とされる。

登場作品

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関連項目

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イリシッド
テーブルトークRPGダンジョンズ&ドラゴンズ』(D&D)に登場する魔物。別名をマインド・フレイヤーといい、シャッド=メルとクトーニアンを元ネタにしている。地底に生息する、テレパシー能力に長けた、タコのような頭部の人型種族。さらに派生して、日本のゲーム『ファイナルファンタジーシリーズ』のイカのような頭部のマインドフレアとなる。
謎の羊皮紙
マンリー・ウェイド・ウェルマンによるクトゥルフ神話短編。クトゥルーと、ギリシャ神話の「クトニオス」の名前の類似に言及するシーンがある。

脚注

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注釈

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  1. ^ 『地を穿つ魔』では、別の邪神もまたクトーニアンと呼ばれている。こちらは「Cgfthgnm'o'th」という名の、ウボ=サスラの落とし子。短編『海が叫ぶ夜』の続きに当たる、『地を穿つ魔』第11章に登場する。

出典

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