シュクメルリ
シュクメルリ(グルジア語: შქმერული、グルジア語ラテン翻字: shkmeruli)あるいはチュクメルリ(グルジア語: ჩქმერული、グルジア語ラテン翻字: chkmeruli)は、鶏肉をガーリックソースで煮込んだ、伝統的なジョージア料理の一つである[1][2]。鶏肉、ニンニク、そしてお好みで牛乳が主な食材である[3]。
シュクメルリ | |
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シュクメルリ | |
別名 | チュクメルリ |
種類 | 鶏肉料理 |
発祥地 | ジョージア |
地域 | シュクメリ |
関連食文化 | ジョージア料理 |
主な材料 | |
その他お好みで | |
Cookbook ウィキメディア・コモンズ |
歴史
編集もともとジョージア国内の各地では、鶏肉とガーリックソースを使った料理が古くから作られており、土鍋で煮たり、焼いたりする形で調理されていた。後に牛乳がこの料理に加えられるようになり、それがラチャ地方のオニ地区にある村シュクメリに伝わった[4]。シュクメルリという名前は、このシュクメリ村に由来する[5]。
調理手順
編集鶏肉を半分に切った後、塩を振りかける。鍋にバターを融かし、強火で鶏肉の片面を焼く。鶏肉に直接触れるような、鍋の口よりもわずかに小さい、重い鋳鉄の蓋を乗せるとよい。このような蓋がない場合は、何か重いものを上に乗せてもよい。鶏肉を6分から7分間焼いて表面が厚くカリカリになったら、裏返して再び重い蓋をして火にかける。蓋をした鍋で鶏肉に合計20分から25分間弱火で火を通す。鶏肉に火が通ったら、皿に移して切る。鍋に残った油に水を加え、ニンニクやナッツを入れて5分ほど煮立てる。色がつく程度に牛乳あるいはクリームを注ぎ、鍋に鶏肉を投入して加熱したら完成となる[1][6]。
日本における展開
編集2019年12月に牛丼チェーンの松屋が「シュクメルリ鍋定食」として一部店舗限定で試験販売を行ったところ、ツイッターを中心に大きな話題となり、日本における知名度を高めることとなった[7][8]。松屋では具材にサツマイモが追加されており、飯と一緒に提供された。話題のきっかけとなったジョージアの駐日臨時代理大使(当時、2021年11月より駐日特命全権大使)であるティムラズ・レジャバはインタビューで、ご飯にも合うと肯定的な感想を述べた[9]。翌2020年1月、ジョージアの民放テレビ局イメディはシュクメルリと日本における展開や日本での評判について7分弱のニュース特集を組んだ。この特集ではシュクメリ村での伝統的な調理法と、庶民派ファーストフードのチェーンストアである松屋での提供方法が報じられ、ティムラズ・レジャバ臨時代理大使のコメントが伝えられた[10]。 松屋はその後、2020年1月から2月末まで全国で販売した[8][11]。また、販売期間終了前にクックパッドにて松屋公式レシピを公開した[8][12]。 2020年6月、2023年7月にそれぞれ行われた「松屋復刻メニュー総選挙」では「シュクメルリ鍋定食」が第1位となり、2021年1月、2024年2月に復活販売が行われた[13][14]。また、2021年1月に松のやにて「シュクメルリチーズBigメンチハンバーグ定食」を発売した[15]。他に、松屋監修のもと日清食品がカップ麺を[16]、日本水産と松屋フーズホールディングスが共同開発でシュクメルリ風グラタンの冷凍食品を発売した[17][18]。
知名度の向上を受けて他社からも商品として発売されるようになり、松原食品が2020年7月にレトルト食品を、大手コンビニエンスストアチェーンのファミリーマートが2020年10月にレトルト食品、同年12月に弁当・スープを、永谷園が2020年11月にカップスープを、ホテイフーズコーポレーションが2021年9月にレトルト食品を発売した[19][20][21][22][23]。
ギャラリー
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シンプルなガーリックソースのシュクメルリ
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クリームソースを使ったシュクメルリ
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松屋で提供されたシュクメルリ
脚注
編集- ^ a b Goldstein 1999.
- ^ Albala 2011.
- ^ “Грузинское блюдо «Шкмерули» вошло в меню японского фастфуда” (ロシア語). ИА Красная Весна (2020年1月15日). 2020年1月22日閲覧。
- ^ ია ნაროუშვილი (2019年1月9日). “შქმერული – განსაკუთრებული და დაუვიწყარი კერძი თქვენს სუფრაზე” (グルジア語). კულინარიული შედევრები. 2020年1月21日閲覧。
- ^ “როგორ მზადდება ნამდვილი რაჭული შქმერული და რომელი ღვინო ეხამება მას” (グルジア語). allwine.ge (2017年2月16日). 2020年1月14日閲覧。
- ^ “Georgian Garlic Chicken (Chkmeruli)” (英語). The Washington Post. 2018年12月5日閲覧。
- ^ 鬼頭勇大 (2020年1月10日). “松屋が「シュクメルリ」を全国販売 外食チェーンに押し寄せる“珍”メニューの波、いずれも人気”. ITmedia ビジネスオンライン. アイティメディア. 2020年1月18日閲覧。
- ^ a b c 「欧州・アジアの中間 ジョージア 食べて踊って ジェダイ風衣装で婚礼」『日経MJ』日本経済新聞社、2020年4月6日、14面。
- ^ 山崎春奈 (2020年1月12日). ““ある国”の大使が、なぜか「松屋」でウキウキでごはんを食べていた理由”. BuzzFeed. BuzzFeed Japan. 2020年1月18日閲覧。
- ^ ელენე ცინცაძე (2020年1月19日). “რაჭულ შქმერულზე შეყვარებული იაპონია” (グルジア語). იმედი. 2020年1月21日閲覧。
- ^ 『松屋でジョージア料理‼ シュクメルリ鍋定食新発売!』(プレスリリース)松屋フーズホールディングス、2020年1月9日 。2024年2月6日閲覧。
- ^ 松屋公式 (2020年2月27日). “松屋公式!お家で『松屋のシュクメルリ』”. クックパッド. クックパッド. 2020年3月4日閲覧。
- ^ 『総選挙第1位シュクメルリ鍋定食復刻発売!』(プレスリリース)松屋フーズホールディングス、2021年1月5日 。2024年2月6日閲覧。
- ^ 『第3回復刻メニュー総選挙1位「シュクメルリ鍋定食」発売』(プレスリリース)松屋フーズホールディングス、2024年1月30日 。2024年2月6日閲覧。
- ^ 『シュクメルリチーズBigメンチハンバーグ定食発売!』(プレスリリース)松屋フーズホールディングス、2021年1月18日 。2024年2月6日閲覧。
- ^ 『「松屋監修 世界1にんにくをおいしく食べるための料理と話題 シュクメルリ鍋風ヌードル」(1月18日発売)』(プレスリリース)日清食品、2021年1月5日 。2024年2月6日閲覧。
- ^ 『「松屋監修シュクメルリ風グラタン」をEコマース向けに新発売』(プレスリリース)日本水産、2021年11月26日 。2024年2月6日閲覧。
- ^ 『ニッスイ×松屋コラボレーション第二弾 本場ジョージアも納得!?「松屋監修シュクメルリ風グラタン」新発売』(プレスリリース)松屋フーズホールディングス、2021年11月26日 。2024年2月6日閲覧。
- ^ 阿古真理 (2021年6月22日). “ジョージア「郷土料理」が日本で広がり続けるナゾ”. 東洋経済オンライン. 東洋経済新報社. 2020年1月18日閲覧。
- ^ 吉川雄策「「シュクメルリ」広がる輪 「世界一」のジョージア料理 同期入社の縁、レトルトに」『毎日新聞』毎日新聞西部本社、2021年4月21日、夕刊、7面。
- ^ 『ジョージア料理“シュクメルリ”が「お母さん食堂」に続き、弁当になって登場 「シュクメルリ(グリルチキンとにんにくクリーム煮込み丼)」 12月1日(火)から順次発売! ~にんにく香る濃厚なクリームソースで、あなたも虜に!~』(プレスリリース)ファミリーマート、2020年11月27日 。2020年12月19日閲覧。
- ^ 『世界の味に手軽に出会える 新シリーズ「世界のスープ図鑑」始動! 第一弾「シュクメルリスープ」』(PDF)(プレスリリース)永谷園、2020年11月6日 。2024年2月6日閲覧。
- ^ 『「シュクメルリ」、「ハリッサチキン」9月1日より新発売!』(プレスリリース)ホテイフーズコーポレーション、2021年7月12日 。2024年2月6日閲覧。
参考文献
編集- Albala, Ken, ed (2011) (英語). Food Cultures of the World Encyclopedia. 4. サンタバーバラ: グリーンウッド. p. 126. ISBN 978-0-313-37626-9. OCLC 727739841
- Capalbo, Carla (2017) (英語). Tasting georgia - a food and wine journey in the caucasus. ロンドン: Pallas Athene. p. 405. ISBN 978-1-84368-125-0. OCLC 1023182294
- Goldstein, Darra (1999) (英語). The Georgian feast : the vibrant culture and savory food of the Republic of Georgia. カリフォルニア大学出版局. p. 101. ISBN 0-520-21929-5. OCLC 906770828