シャ・ナ・ナSha Na Na)は、1969年から活動しているアメリカロックンロールドゥーワップ・グループである。発表曲のほとんどがカバーであるため、カバーバンドに近い存在である。アメリカでは保守的な労働者の若者や、子供の間で人気を博した。ニューヨークのストリート出身と称し[2]、金ラメ、スペーススーツ、レザー、ポンパドゥール・ヘアというスタイルで、オールディーズ、ロックンロール、ドゥーワップなどのパフォーマンスを披露した。日本においてもクールス、シャネルズ(後のラッツ&スター)などが彼らからの影響を公言していた。

シャ・ナ・ナ
Sha Na Na
シャ・ナ・ナ(1972年)
基本情報
出身地 ニューヨークコロンビア大学
ジャンル ロックンロールロカビリー
活動期間 1968年 - 2022年[1]
公式サイト www.shanana.com
メンバー ドナルド "ドニー" ヨーク
ジョン "ジョッコ" マルセリーノ
*"スクリーミン" スコット・サイモン
ジーン・ジャラミロ
ジム "ビリー" ウォルドビリング
ポール "ポーリー" キンバロウ
"ダウンタウン" マイケル・ブラウン

また定番曲の「Rock'n'roll is here to stay」の演奏を始める前の口上(決めゼリフ)は、「I've got (just) one thing to say to you, fucking hippies.」であり、1960年代後半の自由奔放で、ドラッグや学生運動、左派志向を良しとするヒッピー文化に対し、保守的な1950年代~60年代前半の若者文化を美化した。品行方正なバンドのキャラクターでドラッグとは無縁の印象があるが、1971年に参加したリードギタリストChris Donald (Vinnie Taylor)は1974年にヘロインのオーバードーズで死去している。[3]

キャリア

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コロンビア大学在学中にア・カペラ・グループのキングズメン (Kingsmen) として発足したが、太平洋岸北西部を拠点に活動していた同名グループがいたため、グループ名をシャ・ナ・ナ (Sha Na Na) に改名。ベース・ボーカリスト[4]ロバート・レオナードを中心にヒッピー・ムーヴメント真盛りの1969年に活動を開始した。デビュー時点で12人という大所帯での初期のステージングは、金ラメに身を包んだ3人のフロントマンが歌とダンスを担当、残りの9人はグリーサー(Greaser)・ルック(袖をまくったTシャツ、革ジャン、タンクトップ等)でステージに上がった。

ウッドストック・フェスティバルでは、「ゲット・ア・ジョブ」など11曲のオールディーズ曲のパフォーマンスをおこなった[5]。映画『ウッドストック/愛と平和と音楽の三日間』に収められた約90秒の出演シーンで全米規模の知名度を獲得すると同時に、1971年から上演されているミュージカル『グリース』やテレビ番組『ハッピー・デイズ』、1962年の設定ではあるが時代背景の近い映画『アメリカン・グラフィティ』などとともにフィフティーズ・リバイバルにひと役買った[6]

オリジナル・メンバーのドナルド "ドニー" ヨークジョン "ジョッコ" マルセリーノ、ウッドストック・フェスティバル直後に加入した"スクリーミン" スコット・サイモンを中心にツアーを行っている。

  • テレビ・シリーズ

1977年から1981年まで、ピエール・コゼットが企画し、LBSコミュニケーションが配給したシンジケート番組『シャ・ナ・ナ』でホストを務めた。番組は彼らの演奏(1950年から1960年代のヒット・ナンバー)を柱にコント、「タフ・ガイズ」と題されたロケなどで構成された。オープニングはコンサート・シーンから始まり、ゲスト・アーティストとともに数曲演奏しながらバックが街中やアイスクリーム・パーラーなど様々な場所に変わる、という演出が施された。

ゲストにはジェームス・ブラウン[7]ラモーンズ[8]リトル・リチャード[9]ボ・ディドリーチャビー・チェッカー[10]など豪華な顔ぶれが出演した。

日本への影響

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1975年11月、日本初公演(渋谷公会堂)の前座を宇崎竜童[11]率いるダウン・タウン・ブギウギ・バンド[12]が務めた。同年「スモーキン・ブギ」(Smokin' Boogie)をシングルでリリース(カーマ・スートラ・レコード日本コロムビア)。歌詞は英語だが内容はほぼ日本語の直訳になっている。ただし文化の違いから、”喫茶店”を”Soda shop"、”ショートピース”を”Camel”としている。カップリング(B面)はシャ・ナ・ナオリジナルで"We're Still Smoking."歌詞は”We're still smokin’"と"タバコ吸ってるよ、タバコ吸ってるよ”のみだった。ダウン・タウン・ブギウギ・バンドに対し”日本にもブギを演奏できるバンドがある事を知った”とコメントしている。

日本においてはキャロルのラスト・ライブの編集ビデオの中でクールスのメンバーが、(キャロルは)シャ・ナ・ナなんかに比べればまだまだ、と言っていたほど、シャ・ナ・ナを「オールディーズを復活させた正統派ロックンロールバンド」と認識する者がいた。一方で、本国アメリカでは、オールディーズを歌う子供向けコメディー・バンド」というイメージも強くあった。これはテレビ番組の演出が影響していたということと、放映以前から彼らのステージ・パフォーマンスがアメリカ人にとっては少々「子供じみて映った」と考えられる。特にベース・ボーカルのジョン・バウマン (バウザー)は子供からの人気も高かった。

映画

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  • 『Woodstock Diaries』[13] - 1994年TV放映後DVD化。("Duke of Earl")
  • 『ウッドストック〜40周年記念ボックスセット(DVD)』[14] - 2009年。("Get a job", "At the Hop", "Get a job (reprise)")

メンバー

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※「ベース・ボーカル」はベースギター&ボーカルではなく低音を担当するボーカル

オリジナル・メンバー

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  • ドナルド "ドニー" ヨーク - ボーカル (1968年- )
  • ジョン "ジョッコ" マルセリーノ - ドラム (1969年- )
  • アラン・クーパー - ベース・ボーカル (1968年-1970年、1971年)
  • ロバート・レオナード - ボーカル (1968年-1970年)
  • フレデリック "デニス" グリーン(別名デニー) - ボーカル (1968年-1984年) ※2015年9月5日死去
  • ヘンリー・グロス - ギター (1969年-1970年)
  • ジョー・ウィトキン - ピアノ (1968年-1970年)
  • スコット・パウエル(別名キャプテン・アウトレイジャス、トニー・サンティーニ) - ボーカル (1968年-1981年)
  • エリオット "ジーノ" カーン - ギター (1968年-1973年)
  • リチャード・ジョッフェ - ボーカル (1968年-1973年)
  • デイヴィッド・ギャレット - ボーカル (1968年-1970年)
  • ブルース "ゾロアスター" クラーク(別名ブルーノ) - ベース (1969年-1973年)

現在のメンバー

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  • ドナルド "ドニー" ヨーク
  • ジョン "ジョッコ" マルセリーノ
  • "スクリーミン" スコット・サイモン - ピアノ (1970年- )
  • ジーン・ジャラミロ - ギター (1990年- )
  • ジム "ビリー" ウォルドビリング - ギター (1990年- )
  • ポール "ポーリー" キンバロウ - ドラム (2002年- )
  • "ダウンタウン" マイケル・ブラウン - サクソフォーン、ボーカル (2005年- )

過去在籍したメンバー

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  • グローヴァー・ケンブル - ボーカル (1970年)
  • ラリー・パッカー - ギター (1970年)
  • ジョン "バウザー" バウマン - ベース・ボーカル (1970年-1983年)
  • レニー・ベイカー - サクソフォーン、ボーカル (1970年-1999年) ※2016年2月24日死去
  • ビリー・シュウォルツ - ギター (1971年)
  • クリス・ドナルド(別名ヴィニー・テイラー) - ギター (1971年-1974年) ※1974年4月17日死去
  • ジョニー "キッド" コンタード - ボーカル (1971年-1983年)
  • デイヴィッド "チコ" ライアン - ベース (1973年-1998年) ※1998年7月26日死去
  • エリオット・ランドール(別名エンリコ・ロンゾーニ) - ギター (1974年-1975年)
  • ダニー・マクブライド(別名ダーティ・ダン) - ギター (1975年-1980年) ※2009年7月23日死去
  • グレン・ジョーダン(別名ギター・グレン) - ギター (1980年-1986年)
  • カル・デイヴィッド(別名カジュアル・カル) - ベース・ボーカル (1984年)
  • ガエリン・バリー(別名ティト・マンボ) - ベース・ボーカル (1984年-1988年)
  • ドラ・ピアソン - ボーカル (1984年-1988年) ※初の女性Vo
  • ジミー "ジューン" ハン (1987年)
  • ブライアン・カミング(別名マイティ・ジョー) - ギター (1987年-1989年)
  • パメラ・デイ - ボーカル (1989年-1991年) ※2代目女性Vo
  • ロブ・マッケンジー - ギター (1990年-2001年)
  • リサ・サンステッド - ボーカル (1993年-1995年) ※3代目女性Vo
  • ジョージ・スラピック - ドラム (1999年-2000年)
  • フランキー・アデル - サクソフォーン、ボーカル (1999年-2005年)
  • バズ・キャンベル - ギター (2002年-2006年)
  • レジー "レオン" バティス - ベース・ボーカル (1989年-2010年) ※2010年10月8日死去
  • ジョージ・レオナード - 振付

ディスコグラフィ

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  • Woodstock Festival サウンドトラック [1969] (シャ ナ ナ演奏の“At the Hop”収録) (後のリリースでは、“Duke Of Ear”、“Book Of Love”、“Teen Angel”、“Get A Job”などが含まれる。実際の演奏は12曲と考えられている。)
  • Rock And Roll Is Here to Stay [1969] (1973年の再リリースではジャケットの絵が替えられた)
  • Payday / Portnoy (シングル) [1970] ... または Payday / Payday (Promo SINGLE) ... または Payday / Young Love (日本版 シングル)
  • Sha Na Na [1971] (A面はニューヨーク州コロンビア大学でのライブレコーディング。)
  • The Night Is Still Young [1972] *版によっては収録されていない曲もある*
  • EDDIE AND THE EVERGREENS - In The Still Of The Night / In The Still Of The Night (アルバム 'The Night Is Still Young' からの収録) (シングル) [1972]
  • Live in Belgium, With Francis Bay & His Orchestra [1972] (非公式版)
  • Live in Central Park, New York City, NY (ラジオ放送) [1972] (非公式版)
  • Live in Winterland, San Francisco, CA [1973] (非公式版)
  • The Golden Age of Rock ’N’ Roll [1973] (二枚組LP, 2, 3, 4面は1972年後半と思われるライブ音源。)
  • Sha Na Na Live in Germany (TV: Musikladen), 1973 (DVD, CD+VCD)
  • From The Streets Of New York (ライブ) [1973]
  • Hot Sox [1974]
  • Maybe I'm Old Fashioned / Stroll All Night (LONGER VERSION) (シングル) [1974]
  • Sha Na Now [1975]
  • THE SHA-NA-NETTS - (Just Like) Romeo And Juliet (No Lead Vocals) / FLINT-NIKS - The Flint-Nik Rock (シングル) [1975]
  • Rock’n Roll Graffiti - ライブインジャパン' [1975]
  • スモーキン・ブギ (Smokin' Boogie) [1975](シングル)(ダウン・タウン・ブギウギ・バンドの楽曲の英語詞によるカバー)
  • Grease サウンドトラック [1978] (シャ ナ ナの演奏6曲を収納)
  • Rockin’ In The 80’s [1980]
  • Silly Songs (1981)
  • Live in Long Island, N.Y. [1983] (非公式版)
  • The song WRESTLING TONIGHT (1985) 1983年公開の映画"Grunt!"で使用の曲。
  • Yeah, Yeah, Yeah [1985] 再編集版。 (カセット) 二曲の未収録曲を収録: Da Doo Ron Ron and Mr. Bass Man.
  • Rockin' And A Rollin' [1986] 再編集版 (CD) 未収録曲: My Prayerを収録。
  • Rock’n’Roll Concert & Party [1987] (VHS)
  • 34th & VINE (1990) [8曲]
  • Havin' An Oldies Party With Sha Na Na [1991] 再編集版。未収録曲;ビキニスタイルのお嬢さん を収録。
  • The Sha Na Na 25th Anniversary Collection [1993] (20曲収録。内8曲は1990年のアルバムに収録。)
  • Live in Concert (80年代後半から90年代前半) [199?] (CD1枚、2カセット、またはDVD1枚)
  • 20 Classics Of Rock 'N' Roll (90年代中頃) (再編集版。カセット。以前にリリースされた数曲を含む。)
  • Rock ‘N’ Roll Dance Party (1996から20曲; 1998から16曲)
  • Then He Kissed Me (with Conny) [1999], 日本 (CONNYとの共演盤。)
  • Live in Japan (with Conny) [2000], ライブ盤。1999年11月日本での収録。
  • Rockin’ Christmas [2002] (2003年に再リリース。ジャケット変更と一曲追加。)
  • One More Saturday Night [2006]
  • Blue Moo: 17 Jukebox Hits From Way Back Never - オムニバス。(本とCD) シャ・ナ・ナによる曲(GORILLA SONG)を収録 [2008]
  • 40th Anniversary - Collector's Edition (少なくとも過去にリリースされていない曲6曲を含む) [2009]
  • Rockin' Christmas: The Classic Christmas Collection (新しいクリスマスソング6曲を含む) [2011]
  • Grease High School Hop - 25 Dance Songs Of The '50s & 60s (再編集版) (デジタルリリース) [2013]
  • Grease High School Hop KARAOKE - 50年代~60年代の曲10曲のカラオケ版 (デジタルリリース) [2013]

脚注

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  1. ^ The Official Sha Na Na Website!”. shanana.com (2022年12月5日). 2022年12月7日時点のオリジナルよりアーカイブ。2022年12月27日閲覧。 “LET IT BE KNOWN: Sha Na Na will no longer tour as a concert group.”
  2. ^ “Danny McBride: Guitarist with rock'n' roll revivalists Sha Na Na”. The Independent. (April 10, 2010). http://www.independent.co.uk/news/obituaries/danny-mcbride-guitarist-with-rockn-roll-revivalists-sha-na-na-1773502.html?action=Popup 
  3. ^ Jay, Stanley. Avoiding Traps: Showing Youth the Path to Life’s Success (Bloomington, Indiana: iUniverse, 2009), p. 145.
  4. ^ ベースギター&ボーカルではなく低音を担当するVo
  5. ^ Sha Na Na Woodstock 2023年10月23日閲覧
  6. ^ "The Nifty Fifties", Life Magazine, June 16, 1972 (stating Sha Na Na "more or less set off the '50s kick").
  7. ^ 「トライ・ミー」などのソウルから「スーパー・バッド」などのファンクまで多数のヒット曲を持っている
  8. ^ 「ロックンロール・ハイスクール」などの代表曲を持つパンク・バンド
  9. ^ 「ロング・トール・サリー」などのヒット曲があり、初期からゲイであることをカミングアウトして、化粧をしてライブをおこなっていた
  10. ^ 大ヒット曲「ツイスト」は2回にわたってヒットしている
  11. ^ 山口百恵に何曲ものヒットを提供した
  12. ^ 「港のヨーコ・ヨコハマ・ヨコスカ」などのヒット曲を持っている
  13. ^ Woodstock Diaries”. 2013年12月22日閲覧。
  14. ^ Woodstock: 40 Years On: Back to Yasgur's Farm”. 2013年12月22日閲覧。

関連項目

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外部リンク

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