シャイラト空軍基地攻撃

シャイラト空軍基地攻撃(シャイラトくうぐんきちこうげき)とは、2017年4月7日アメリカ海軍シリアホムス県にあり化学兵器を貯蔵しているとしたシャイラト空軍基地英語版に対してトマホーク巡航ミサイルを59発発射した行為[1]であり、同月4日に行われたカーン・シェイクン化学兵器攻撃に対する措置である。シリア内戦開戦以来アメリカ合衆国バッシャール・アサド政権を直接攻撃したのはこれが初であった[2][3][4]

「ポーター」からのミサイル発射ビデオ

ドナルド・トランプ大統領は6日の米東部時間午後7時、訪米した中国習近平国家主席との別荘マー・ア・ラゴでの夕食会中にミサイルの発射を命じ[5][6]、実行された。攻撃はミサイル駆逐艦ロス」と「ポーター」から行われた[7]。アメリカ政府側は死者は出ていないとしているが、シリア政府側は2人の民間人と7人の兵士が殺害されたと発表している[8]

また、レックス・ティラーソン国務長官は9日のABCテレビの番組で、シリアへのミサイル攻撃は核実験弾道ミサイル発射実験を繰り返す北朝鮮への警告の意味が込められていたと強調し[9]、「他国への脅威となるなら、対抗措置を取るだろう」と述べた[10]。13日にはアフガニスタンISILの拠点に核兵器に次ぐ最大級の破壊力を持つとされる大規模爆風爆弾兵器(MOAB)を初めて実戦投入したことも地下要塞を複数持つ北朝鮮への牽制とされた[9]

2018年9月、ボブ・ウッドワードによってこの攻撃の際にトランプ大統領が「彼をぶち殺そう!やろう。奴らをどんどんぶち殺そう(Let’s fucking kill him! Let’s go in. Let’s kill the fucking lot of them.)」とシリアのバッシャール・アサド大統領の暗殺も指示していたのに対して当時国防長官だったジェームズ・マティスが「我々はそんなことはやらない。もっと慎重にやる」と無視したことが暴露され[11]、2020年9月にトランプはこの暴露が事実であったことを認めた[12]

脚注

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出典

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  1. ^ “米、シリアにミサイル攻撃-地中海からトマホーク59発”. 共同通信47. (2017年4月7日). オリジナルの2017年4月26日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20170426152230/https://this.kiji.is/222891825524934136?c=39550187727945729 
  2. ^ "トランプ大統領が勢いづいている本当の理由". 東洋経済ONLINE. 東洋経済新報社. 15 April 2017. 2019年11月15日閲覧
  3. ^ Lamothe, Dan; Ryan, Missy; Gibbons-Neff, Thomas (2017年4月6日). “U.S. strikes Syrian military airfield in first direct assault on Bashar al-Assad's government”. The Washington Post 
  4. ^ ABC News staff (2017年4月7日). “US warships launch cruise missile strike against Syrian airfield in retaliation for chemical attack”. ABC News Australia 
  5. ^ "米、シリア攻撃 トランプ大統領「最小限」選択 対象絞る". 毎日新聞. 9 April 2017. 2019年11月15日閲覧
  6. ^ "トランプ氏、習近平氏にシリア攻撃を「チョコレートケーキを食べながら伝えた」". ハフポスト. 12 April 2017. 2019年11月15日閲覧
  7. ^ “米軍、シリアへミサイル攻撃 「サリン」使った「化学攻撃」に反応”. BBC News (BBC). (2017年4月7日). http://www.bbc.com/japanese/39523891 2017年4月9日閲覧。 
  8. ^ Abdulrahim, Raja; Rydan, Noam (2017年4月7日). “Syria Says Strike Kills 16, Damages Air Base”. WSJ 
  9. ^ a b “「MOAB」投下、北朝鮮もにらむ 地下軍施設破壊に有効”. 日本経済新聞. (2017年4月15日). https://www.nikkei.com/article/DGKKASGM14H37_14042017FF8000 2019年11月15日閲覧。 
  10. ^ “シリア攻撃、北朝鮮への警告も 対抗措置取ると米長官”. 日本経済新聞. (2017年4月10日). https://www.nikkei.com/article/DGXLSSXK10006_Q7A410C1000000/ 2017年12月24日閲覧。 
  11. ^ “トランプの“アサド暗殺命令”をマティスが握りつぶした…超大物記者が暴露”. FNN. (2018年9月5日). https://www.fnn.jp/articles/-/5610 2021年2月26日閲覧。 
  12. ^ “シリア大統領の暗殺狙ったが断念…トランプ氏が認める 化学兵器使用を受け”. 産経新聞. (2020年9月16日). https://www.sankei.com/article/20200916-U4JEYGRHWVLPHHKGUZKM7H2I4M/ 2021年2月26日閲覧。 

関連項目

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座標: 北緯34度30分02秒 東経36度53分57秒 / 北緯34.5006度 東経36.8992度 / 34.5006; 36.8992