ザックーム
ザックーム(アラビア語: زقوم; Zaqqūm)とは、イスラームの伝説において、地獄(ジャハンナム, nār:火獄)に生えているという樹木のこと。
罪人たちは苦しみを高めるためにアッ=ダリ(Ad-Dhari)という苦い果物を食わされる(『クルアーン』69:36-37)。罪人たちはこの果物かギスリン(Ghislin; 彼ら自身の傷を洗って得られた膿汁)しか食べられない(『クルアーン』69:36)。この果物は悪魔の頭のような形をしている(『クルアーン』 37:62-68)。ヨルダン大学教授のシャイフ、ウマル・スライマン・アル・アシュカルによれば、罪人たちの口の中がいっぱいになると、彼らの腹の中にあるザックームは燃え盛る油のように暴れまわるという(cf. 『クルアーン』37:64-65, 44:43)。ウラマーの一部は、ザックームが罪人たちの肉体をバラバラに切り裂き、体液を流し出す、と考えている。
『クルアーン』によれば
- [44.43] 本当にアッ・ザックームの木こそは,
- [44.44] 罪ある者の糧である。
- [44.45] それは溶けた銅のように内臓の中で沸騰しよう,
- [44.46] 熱湯が滾りかえるように。[1]
現存する植物の名称として
編集東スーダンのベジャ民族は、ランガク(Euphorbia abyssinica)をザックームと呼んでいる[3]。ヨルダンにおいては、バラニテス(Balanites aegyptiaca)のことである[4]。
脚注
編集- ^ [1]。日亜対訳・注解、日本ムスリム協会。
- ^ 2002 岩波イスラーム辞典「ザックーム」
- ^ Trees in the Koran and the Bible, L. J. Musselman, Unasylva: an international journal of forestry and forest industries, #213: Perceptions of forests (54, #2, 2003).
- ^ The Waters That Heal, Kirk Albrecht and Bill Lyons, Saudi Aramco World, March/April 1995, pp. 34–39.
外部リンク
編集- イスラームにおける地獄の表象 - 中東協力センター