ザジキ
ザジキ(ギリシア語: τζατζίκι, tzatziki [d͡zaˈd͡zici]、トルコ語: Cacık [dʒaˈdʒɯk]) とは、ギリシャ語のメゼまたは前菜の一つであり、スブラキとギロピタに添えるソースとして使われる。
日本語の文献では、「ジャジキ」や「ツァツィキ」、「ザツィキ」、「ツァジキ」などのカナ転記も見られる。
調理
編集ザジキは、通常ヒツジまたはヤギの乳から作る水切りヨーグルトにキュウリ、ニンニク、塩、オリーブ・オイル、コショウ、ディルを加えて作る。レモン果汁、パセリ、ミントを加える場合もある。キュウリはピュレして水分を絞るか、種を除いて微塵切りにする。さらにオリーブ・オイル、オリーブ、ハーブを仕上げに加える場合もある。ザジキは冷たいまま供される。
使用
編集観光客向けレストランや国外では、ザジキは前菜としてパン(普通のパンまたはピタ)と共に供される。ギリシャ、キプロスおよび地中海地域では、この料理は肉料理のつけあわせとしても使われる。酸味が脂っこさを軽減するため、ザジキはスブラキとギロピタのソースとしても使われ、この場合特にアメリカ合衆国ではキュウリソース(英: cucumber sauce)と呼ばれる。
各国での種類
編集ギリシャのザジキは、トルコ料理のジャージュク (Cacık) に由来する[1]。ジャージュクはザジキと同じ材料を用いるが、水分が多い。
キプロスでは、この料理はタラトゥーリ(τταλαττούρι, ttalattouri, タラトール Tarator 参照)と呼ばれ、ギリシャと異なりニンニクは少なく、ハーブやミントを加える。ギリシャのセファルディムもこれをタラトールと呼ぶ。
ブルガリアおよびマケドニア共和国では、同じ料理は「タラトール」あるいは「水分の少ないタラトール」(ブルガリア語: сух таратор, マケドニア語: сув таратор または таратур)、または「スネジャンカ」サラタ(салата "Снежанка", 「白い雪のサラダ」)と呼ばれ、アペタイザーとして供される。ヨーグルト(ブルガリア語: кисело мляко, マケドニア語: кисело млеко)を布に包んで数時間吊るし、水切りヨーグルト(цедено кисело мляко, マケドニア語: цедено кисело млеко)にしてから、キュウリ、ニンニク、挽いたクルミ、塩および植物油を加える。
イラクではジャジーク(アラビア語: ججيك, jajeek)として知られ、一般にメゼとしてアルコール飲料、特にナツメヤシから作るアラックと共に供される。
カフカース山脈でオヴドゥフ(アゼルバイジャン語: ovdukh)と呼ばれる類似の料理は、ヨーグルトの替わりにケフィアを使用し、さっぱりした夏の飲み物となる。これを野菜、ゆで卵、ハムの上からかけると「カフカース式オクローシカ」と呼ばれるオクローシカの一種を作ることができる。
イランにはザジキに類似した「マースト・ヒヤール」(ペルシア語: mast-o-khiar、「キュウリ入りヨーグルト」)という料理がある。より濃厚な水切りヨーグルトを使用し、薄切りのキュウリ、ニンニク、ミントを混ぜ入れ、砕いたクルミやバラの花弁を加えることもある。
ヨーグルトの水切りには時間がかかるため、アメリカ合衆国では、ヨーグルトの替わりにサワークリームを使ったり、ヨーグルトとサワークリームを混ぜてザジキを作ることがある。しかし、現在は色々な脂肪分のギリシャ式水切りヨーグルトがスーパーマーケットで販売されるようになり、濃いヨーグルト製のザジキを短時間で調理することができるようになった。
ザジキは北インドのラーイター (Raita) や南インドのパチャディ (Pachadi) と比較されることがある。ラーイターやパチャディもヨーグルトをベースにした冷たい野菜料理であるが、キュウリ以外の野菜を使用することもあり、さっぱりした副菜として他の料理と共に供される。