サリチルアルコール (Salicyl alcohol) またはサリゲニン (Saligenine) は、フェノール配糖体サリシンアグリコンで、1860年にサリシンの加水分解によって得られた有機化合物である。サリチルアルコールを酸化するとサリチル酸が得られる。

サリチルアルコール
識別情報
CAS登録番号 90-01-7
日化辞番号 J4.312E
KEGG C02323
D05790
特性
化学式 C7H8O2
モル質量 124.14 g mol−1
外観 無色固体
密度 1.16g/cm3, 固体[1]
融点

83-87℃

関連する物質
関連物質 サリチル酸
サリシン
特記なき場合、データは常温 (25 °C)・常圧 (100 kPa) におけるものである。

存在

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サリシンの形でヤナギ科植物の樹皮に含まれる。

これらの植物を食べるハムシの一部には、サリチルアルコールオキシダーゼ (SAO) という酵素を持つものがいる。この虫の幼虫は、β-グルコシダーゼを用いて餌中のサリシンをサリチルアルコールとした後、SAOによって揮発性のサリチルアルデヒドを生産し、抗菌・防御物質として用いている[2]

合成

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フェノールジクロロメタン水酸化ナトリウムの水溶液を作用させるとサリチルアルコールが得られる[1]

関連項目

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参考文献

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  1. ^ a b Merck Index 14th ed., 8325.
  2. ^ Roy Kirsch, Heiko Vogel, Alexander Muck, Kathrin Reichwald, Jacques M. Pasteels, and Wilhelm Boland (2011). “Host plant shifts affect a major defense enzyme in Chrysomela lapponica”. PNAS 108 (12): 4897-4901. doi:10.1073/pnas.1013846108.