サアロア語
サアロア語(サアロアご)は、オーストロネシア語族台湾諸語に属する言語である。ラアロア語とも呼ばれる。サアロア語という名称は沙阿魯阿語、ラアロア語という名称は拉阿魯哇語と漢字で表記される。母語サアロア語でkari Hla'aluaと呼ばれる。台湾のサアロア族の言語である。台湾の高雄市桃源区と那瑪夏区で話されている。
サアロア語 沙阿魯阿語 ラアロア語 拉阿魯哇語 | |
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Hla'alua | |
発音 | IPA: [ɬaʔalua] |
話者数 | 10人 (2012年)[1] |
言語系統 | |
表記体系 | ラテン文字 |
公的地位 | |
公用語 | 台湾 (台湾原住民地区の国家語) |
統制機関 | 台湾原住民族委員会 |
言語コード | |
ISO 639-3 |
sxr |
消滅危険度評価 | |
Critically endangered (Moseley 2010) |
戦後、国民党政権で、台湾式北京語/台湾華語を唯一絶対の「國語」として位置づけ、現在サアロア族の若い世代はほとんど母語ができず、それに布農族(ブヌン)と同じエリアに住んでいて、中高年世代においても、人口の多いブヌン語を常用しており、言語消滅の危機に晒されている。
近年、部落の長老、Amahlʉ Salapuana(台湾華語名前:游仁貴)先生をはじめ、有志者はサアロア言語復興に貢献している。台湾(中華民国)政府の台湾原住民族委員会は「師徒制」という母語学習の政策を制定し、深刻消滅危機のある原住民の言葉に対して、1対1または1対2、話せる高齢者は先生として、若い世代に一日8時間、一周5日、一か月160時間、有給で密集的に母語の伝承教育を実行する。Amahlʉ Salapuana先生の生徒、Vintiia Tumamalikisasʉ(台湾華語名前:余帆)とPi'i Na'ʉvʉana(台湾華語名前:葛翠怡)はもうサアロア語能力試験に合格し、特にVintiia Tumamalikisasʉは台湾原住民テレビ局放送サアロア語ニュースのアナウンサーとして勤めている。
Amahlʉ Salapuana先生は1948年生まれ、台湾客家民族出身だが、赤ちゃんの頃、養子縁組でサアロア族の家庭に入り、成長してきた。流暢に話せる母語話者が無くなっていってしまって、言語の保存を心配し、自分が年配なのに、真剣に考えるようになって、一からローマ字を勉強し、一生懸命にサアロア族の伝統文化や言語や知恵など記録し、教科書や辞書を編集した上に、息女Vanau Savangʉana(台湾華語名前:游枝潔)も看護師の仕事を辞め、古里に帰り、母語教育や伝統的な祭りの復興に協力した。Amahlʉ Salapuana先生は2014年に、「教育部表揚推展本土語言傑出貢獻獎」(台湾文部科学省表彰台湾本土母語振興献身賞)を受賞した。
高雄市桃源區にある興中国民小学校は積極的に母語教育を行い、附属保育園でもイマージョン・プログラム(没入法言語学習)が導入され、サアロア語を教える。
参考文献
編集- Ferrell, R. (1979). Construction markers and subgrouping of Formosan languages. Southeast Asian Linguistic Studies, 3, 199-211.
- Li, C. (2010). The Syntax and Semantics of Eventuality in Painwan and Saaroa. Tsing Hua University. 456pp.
- Li, Paul Jen-kuei. 2001. "The Dispersal of the Formosan Aborigines in Taiwan." Languages and Linguistics 2.1:271-278
- Pan, C. (2012). A Grammar of Lha'alua, an Austronesian Language of Taiwan. James Cook University. 417pp
- Starosta, S. (1996). The position of Saaroa in the grammatical subgrouping of Formosan languages. In Pan-Asiatic Linguistics: Proceedings of the Fourth International Symposium on Languages and Linguistics (Vol. 3, pp. 944–966)
- Pan, Chia-jung. 2012. A Grammar of Lha’alua: An Austronesian Language of Taiwan. Cairns: James Cook University PhD Thesis.
- Pan, Chia-Jung. 2014. The grammar of knowledge in Saaroa. In: Aikhenvald, Alexandra Y., and Dixon, R.M.W., (eds.) The Grammar of Knowledge: A Cross-Linguistic Typology. Explorations in Linguistic Typology (7). Oxford University Press, Oxford, pp. 89–106.
- Pan, Chia-Jung. 2015. Reported Evidentials in Saaroa, Kanakanavu, and Tsou. In: Zeitoun, Elizabeth, Teng, Stacy F., and Wu, Joy J., (eds.) New Advances in Formosan Linguistics. Asia-Pacific Linguistics series studies on Austronesian Languages (SAL 003). The Australian National University, Canberra, pp. 341–362.
- Paula Radetzky(羅徳晶),"The Function and Origin of the Saaroa Morpheme sa(a)-(沙阿魯阿語sa(a)- 的功能及起源)"[1],第十一屆國際南島語言學會議,Aussois France, 2009/06/21-2009/06/26.
- 齊莉莎(Zeitoun, Elizabeth),"鄒語参考語法",遠流出版公司,台北,p.40,2000。
- Tung,Tung-ho(董同龢),"A descriptive study of the Tsou language",Formosa,Taipei,1964。
- 余文儀(臺灣府知府)主修,《續修臺灣府志》卷2,8,14,15,16,“26卷本”,乾隆29年(1764年)。
脚注
編集- ^ Saaroa at Ethnologue (18th ed., 2015)