ゴールドフラップGoldfrapp)は、ボーカルのアリソン・ゴールドフラップとコンポーサーのウィル・グレゴリーの2人によるグラムロックエレクトロクラッシュエレクトロニカ等クラブミュージックを主に扱うデュオ。

ゴールドフラップ
Goldfrapp
ボーカルのアリソン・ゴールドフラップ(2010年)
基本情報
出身地 イングランドの旗 イングランド
ジャンル テクノポップ
エレクトロニカ
環境音楽
活動期間 1999年 -
レーベル ミュート・レコード
公式サイト www.goldfrapp.com
メンバー アリソン・ゴールドフラップ英語版
ウィル・グレゴリー

ファースト・アルバム『フェルト・マウンテン』がイギリスで10万枚を越すセールスを記録。ポーティスヘッドの再来と噂され、ポップミュージックながらコアな音楽ファンや手厳しい音楽批評雑誌からも高い評価を得る。

セカンド・アルバム『ブラック・チェリー』以降、ダンス・ミュージックに近いエレクトロクラッシュに転向。ファンの意見は様々だったが、ヨーロッパのみならず、アメリカやオーストラリアでもヒット。マドンナが「今一番注目しているアーティスト」と発言するなど、世界的にその地位を獲得してきている。

経歴

編集

イギリスバースで生まれたアリソン・ゴールドフラップ (Allison Elizabeth Margarett Goldfrapp)は、女子修道院で堅苦しい子供時代を送る。日々の退屈から逃れるために、電車でロンドンまで出かけては都会の喧騒に刺激を受ける。15歳の頃、ヒッピーケイト・ブッシュを聴きながらドラッグを使用していたのを見て衝撃を受けた。後に、アリソン自らもケイトの「Hounds Of Love」を聴きながらドラッグを使用していたことを告白している。その後、気づいた時には、ベルギーのコンテンポラリー・ダンス集団に所属することになり、人前でパフォーマンスすることの面白さを初めて体感した。

ミドルエセックス大学に進学し、美術を専攻していた彼女は、インスタレーション作品を作る研究の一環として音楽を制作し始める。その才能に気づいた友人のトリッキーが彼女を誘い、トリッキーのデビュー・アルバムにボーカリストとして起用。その後も、オービタルトリッキーの作品にボーカリストとして参加。最終的に現在のメンバーであるウィルと出会う。

ちなみに彼女は、デビュー当時から正式な生年月日を公表せずに活動を続けてきたが、2006年のQ Magazineによるインタビューで、37歳(1966/5/13生まれ)だと告白した。

一方、コンポーザーのウィル・グレゴリー (ウィリアム・グレゴリー / William Owen "Will" Gregory)は、ブリストル出身で、コーラスの仕事をしていた母親の影響か、幼少時代から音楽を聴いて育つ。ロンドンの音楽学校を卒業後、サックス奏者としてサンフランシスコに移住。映画『ザ・フーリガン』などのサウンドトラックを手がける。英国に帰国後、1980年代はティアーズ・フォー・フィアーズのツアー・メンバーとして活動。1990年代以降は、ザ・キュアートーリ・エイモスポーティスヘッドピーター・ガブリエルなどのアルバムに参加し、演奏者・アレンジャーとして活躍した。

その名が知られるようになって来た頃、友人からアリソンの「ヒューマン」のデモテープを聴かせてもらう。アリソンの歌声に惚れ込んだウィルは彼女に直接交渉し、ゴールドフラップを結成。作曲に加えて、サックスよりもキーボードの演奏とプロデュース・ワークに重点を置くようになる。

1999年にミュート・レコードと契約し、2000年ポーティスヘッドのギタリスト、エイドリアン・アトリーを迎えて製作したシングル「ラヴリー・ヘッド」でデビュー。同年発売した『フェルト・マウンテン』が10万枚を越すセールスを記録し、その年のマーキューリー・プライズにもノミネートされた。

この『フェルト・マウンテン』発売後のライブツアーでアリソンは「とても張りつめた雰囲気の中で生まれる繊細な音楽もいいのだけど、物を思いっきり破壊したり爆発したりするようなライブパフォーマンスのほうが開放感を得ることができた」と語った。

続くセカンドアルバム『ブラック・チェリー』は前作から一変、1980年代のディスコ・サウンドを彷彿とさせる様で歌詞もセクシーなダンスナンバーとなった。 このアルバムリリース後、2003年フジ・ロック・フェスティバルで初来日を果たす。

2005年リリースの『スーパーネイチャー』は話題を集め、アメリカやオーストラリアのセールスチャートベスト5に食い込むほどの人気(日本では未だヒットしていない)。シングル収録のリミックスに、アイスランドムームを起用するなど驚きを与えた。

ディスコグラフィ

編集

アルバム

編集
タイトル アルバム詳細 チャート最高位 認定
UK
[1]
AUS
[2]
AUT
[3]
BEL
[4]
FRA
[5]
GER
[6]
IRE
[7]
NZ
[8]
SWI
[9]
US
[10]
2000 フェルト・マウンテン
Felt Mountain
57 44 44 48 36 98
2003 ブラック・チェリー
Black Cherry
  • 発売日: 2003年4月23日
  • レーベル: Mute
  • フォーマット: CD, LP, digital download
  • 全英売上: 25.6万枚[11]
19 71 46 45 25 30 41
  • UK: プラチナ[12]
2005 スーパーネイチャー
Supernature
  • 発売日: 2005年8月17日
  • レーベル: Mute
  • フォーマット: CD, LP, digital download
  • 全英売上: 50万枚[13]
2 23 33 16 43 26 9 35 29 138
  • UK: プラチナ[12]
  • IRE: ゴールド[14]
2008 セヴンス・ツリー
Seventh Tree
  • 発売日: 2008年2月22日
  • レーベル: Mute
  • フォーマット: CD, LP, digital download
  • 全英売上: 20万枚[15]
2 11 37 10 37 21 9 39 11 48
  • UK: ゴールド[12]
2010 Head First
  • 発売日: 2010年3月19日
  • レーベル: Mute
  • フォーマット: CD, LP, digital download
  • 全英売上: 7万枚[13]
6 14 33 35 70 28 17 18 14 45
  • UK: シルバー[12]
2013 テイルズ・オヴ・アス
Tales of Us
  • 発売日: 2013年9月6日
  • レーベル: Mute
  • フォーマット: CD, LP, digital download
  • 全英売上: 1.3万枚[16]
4 15 24 6 33 9 15 8 75
  • UK: シルバー[12]
2017 シルヴァー・アイ
Silver Eye
  • 発売日: 2017年3月31日
  • レーベル: Mute
  • フォーマット: CD, LP, digital download
6 25 31 19
"—"は未発売またはチャート圏外を意味する。
  • Wonderful Electric (2006年、Mute)

※過去に同タイトルで発売されたライブDVDを南アメリカ用に2006年に再発。輸入盤扱いだが、ドキュメンタリー映像には日本語を始めとした様々な言語の字幕を選択できる。

備考

編集

映画音楽

編集

TVドラマ

編集
  • 2004年- 「Lの世界 シーズン4」にてパフォーマンスを披露している。参照:[1]
  • 2004年- 「Dr.HOUSE シーズン2」エピソード7にて「Crystaline Green」がBGMにアリソン・キャメロン女医のシーンで使われた。(シンガーと同じ名前)
  • 2005年- 「NCIS 〜ネイビー犯罪捜査班 シーズン3」"Thew Voyeur's Web"冒頭のBGMで「Ooh La La」。
  • 2006年- 「NCIS 〜ネイビー犯罪捜査班 シーズン4」エピソード3"Singled Out"冒頭のBGMで「Strict Machine」。

その他

編集
  • 1998年 『ローズランド NYC LIVE』 ポーティスヘッドのライブツアーCD・DVDにて。コンポーサーのウィルがサックスで参加。ビデオ版ではその映像でもウィルの姿を確認できる。
  • 2007年 マイクロソフトから発売されているXbox 360用レーシングシミュレータゲーム『Forza Motorsport 2』(フォルツァ モータースポーツ 2)のBGMで唯一、3曲を歌う歌手。(Goldfrapp: Slide In, Goldfrapp: Beautiful, Orbital Nothing Left)

脚注

編集
  1. ^ Goldfrapp” (select "Albums" tab). Official Charts Company. 17 December 2016閲覧。
  2. ^ Peak chart positions for albums in Australia:
  3. ^ Discographie Goldfrapp” (German). austriancharts.at. Hung Medien. 19 March 2013閲覧。
  4. ^ Discografie Goldfrapp” (Dutch). Ultratop. Hung Medien. 19 March 2013閲覧。
  5. ^ Discographie Goldfrapp” (French). lescharts.com. Hung Medien. 19 March 2013閲覧。
  6. ^ Discographie von Goldfrapp” (German). Offizielle Deutsche Charts. GfK Entertainment. 17 December 2016閲覧。
  7. ^ Discography Goldfrapp”. irish-charts.com. Hung Medien. 19 March 2013閲覧。
  8. ^ Discography Goldfrapp”. charts.org.nz. Hung Medien. 19 March 2013閲覧。
  9. ^ Goldfrapp” (select "Charts" tab). swisscharts.com. Hung Medien. 28 October 2013閲覧。
  10. ^ Goldfrapp – Chart history: Billboard 200”. Billboard. 19 March 2013閲覧。
  11. ^ a b Oasis score eighth number one hit single”. Music Week (30 August 2005). 6 July 2015時点のオリジナルよりアーカイブ。1 May 2013閲覧。
  12. ^ a b c d e f "British certifications – Goldfrapp". British Phonographic Industry. 2013年3月19日閲覧 Type Goldfrapp in the "Search BPI Awards" field and then press Enter.
  13. ^ a b Miller, Ed (2010年12月20日). “Machine digs for Goldfrapp”. Music Week. 2015年6月29日時点のオリジナルよりアーカイブ。2016年12月17日閲覧。
  14. ^ 2005 Certification Awards – Gold”. The Irish Charts. Irish Recorded Music Association. 19 March 2013閲覧。
  15. ^ Key Releases”. Music Week (2010年3月27日). 2014年2月2日時点のオリジナルよりアーカイブ。2013年5月1日閲覧。
  16. ^ Jones, Alan (16 September 2013). “Official Charts Analysis: Arctic Monkeys' AM doubles predecessor's week-one sales”. Music Week. Intent Media. 16 September 2013閲覧。

外部リンク

編集