コリンズ207B-1送信機
コリンズ207B-1送信機(コリンズ207B-1そうしんき)は、米国のコリンズ・ラジオ・カンパニーが1951年に製造した短波帯用送信機である。
仕様
編集コリンズ207B-1は、周波数4MHzから26MHzの短波帯でAM時はRF出力35キロワット、CW時は出力50キロワットの能力を有する送信機である。5連のシールドキャビネットをボルトで固定し、1台の装置としている。重量は16,800ポンドで、陸上の設置が想定された。主な用途は放送および高速電信で、高出力のAM放送や毎分400ワード(WPM: Words Per Minute)以上の電信またはFSKの送信である。パワーアンプとしても利用でき、SSB送信機の信号を入力として出力30キロワット(PEP)に増幅できる[1][2]。
運用
編集第二次世界大戦中、商用短波送信機を製造する欧州勢のメーカーは壊滅的な打撃を受けたため、戦後から1960年代ごろまでは、コリンズやジェネラル・エレクトリックといった米国メーカーが市場を独占した[3]。
コリンズ207B-1は陸上の送信局向けに設計された装置で、スリランカやフィリピンのVOA中継局などに設置された[3]。元来は陸上用途であったが、冷戦最中の1951年4月、アメリカ沿岸警備隊のカッター船、USCGCクーリエ号(WAGR-410)に2台の207B-1送信機が搭載され、艦上中継局として、地中海に浮かぶギリシャのロード島沖からVOAの番組を鉄のカーテンで遮断された国々に向けて放送した[4][5]。
脚注
編集- ^ Maes, Ludo. TDP COLLINS 207B-1 GENERAL DESCRIPTION. TDP. 2010-06-04. URL:http://www.transmitter.be/col-207b1.html. Accessed: 2010-06-04. (Archived by WebCite at https://webcitation.org/5qEpTCJ1b?url=)
- ^ Unclassified publications of Lincoln Laboratory, 1951
- ^ a b Wood, James; Institution of Electrical Engineers (©1992-). History of international broadcasting. London: P. Peregrinus Ltd. in association with the Science Museum. p. p.5,pp.76-77, p.192. ISBN 0-86341-281-5. OCLC 31046521
- ^ U.S. Coast Guard Cutter Courier. United States Coast Guard. 2010-06-04. URL:http://www.uscg.mil/history/webcutters/Courier_WAGR410_Photos.asp. Accessed: 2010-06-04. (Archived by WebCite at)
- ^ “Voice of America Broadcasts From Coast Guard Cutter”. Modesto Radio Museum. 3 August 2019時点のオリジナルよりアーカイブ。16 November 2010閲覧。