Ϙ
古代まで存在したギリシア文字
(コッパから転送)
コッパ(ギリシア語: κόππα、古代においては大文字: Ϙ, 小文字: ϙ、現代では大文字: Ϟ, 小文字: ϟ)は使われなくなったギリシア文字の一つで、現在はギリシアの数字の90を表すために用いられる。
ギリシア文字 | |||
---|---|---|---|
Αα | アルファ | Νν | ニュー |
Ββ | ベータ | Ξξ | クサイ |
Γγ | ガンマ | Οο | オミクロン |
Δδ | デルタ | Ππ | パイ |
Εε | エプシロン | Ρρ | ロー |
Ζζ | ゼータ | Σσς | シグマ |
Ηη | イータ | Ττ | タウ |
Θθ | シータ | Υυ | ウプシロン |
Ιι | イオタ | Φφ | ファイ |
Κκ | カッパ | Χχ | カイ |
Λλ | ラムダ | Ψψ | プサイ |
Μμ | ミュー | Ωω | オメガ |
使われなくなった文字 | |||
() |
ディガンマ | サン | |
ヘータ | ショー | ||
ギリシアの数字 | |||
スティグマ | () |
サンピ | |
() |
コッパ |
起源
編集ギリシア文字のϘ, ϙ は、フェニキア文字 𐤒 (コーフ、子音/q/)に由来し、字形をほぼ保っている。なおフェニキア文字が使われたセム語では音韻的にも k (カフ、子音/k/)とは区別された。
ギリシア語は子音/q/を用いなかったが[1]、古くは後続する母音によって子音字を書き分け、母音 a,e,i の前では Κ(カッパ)、奥舌母音o,uの前では Ϙ(コッパ)を用いた[2]。
これが「Κ」に統一されたのは紀元前6世紀以降である[3]。イオニア式アルファベットが標準化されるとコッパは通常の文字としては使われなくなり、数字の90としてのみ残存した[4]。
数字90を表す文字は後にさまざまな形に変化した[4]。
符号位置
編集下に表が有ります。
大文字 | Unicode | JIS X 0213 | 文字参照 | 小文字 | Unicode | JIS X 0213 | 文字参照 | 備考 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
Ϙ | U+03D8
|
-
|
Ϙ Ϙ
|
ϙ | U+03D9
|
-
|
ϙ ϙ
|
古代の字形 |
Ϟ | U+03DE
|
-
|
Ϟ Ϟ
|
ϟ | U+03DF
|
-
|
ϟ ϟ
|
数字 |
脚注
編集参考文献
編集- 松本克己 著「ギリシア・ラテン・アルファベットの発展」、西田龍雄 編『世界の文字』大修館書店、1981年、73-106頁。
- W. Sidney Allen (1987) [1968]. Vox Graeca (3rd ed.). Cambridge University Press. ISBN 0521335558