コジキイチゴ(乞食苺、学名Rubus sumatranus Miq.[1])は、バラ科バラ亜科キイチゴ属分類される落葉小低木[2]の1[3]。別名はフクロイチゴ[3]

コジキイチゴ
コジキイチゴ、愛知県春日市にて、2013年7月6日撮影
コジキイチゴ、愛知県春日井市(2013年7月)
分類
: 植物界 Plantae
: 被子植物門 Magnoliophyta
: 双子葉植物綱 Magnoliopsida
: バラ目 Rosales
: バラ科 Rosaceae
亜科 : バラ亜科 Rosoideae
: キイチゴ属 Rubus
: カライトソウ R. sumatranus
学名
Rubus sumatranus Miq.[1]
シノニム

Rubus sorbifolius Maxim.[2]

和名
コジキイチゴ

特徴

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茎の高さは1-1.5m程度で、落葉小高木である[4]。茎はよく分枝し、高くなるとよく横に倒れる[5]。茎や枝、葉の羽軸などに長さ5mmほどの暗紅色の長い腺毛が密生しており、その間に鉤状になった棘がまばらにあり、さらに軟毛も少し生えている。葉は羽状複葉で5-7個の小葉からなるが、茎の上の方では3小葉のものになる。小葉の縁は所々が大きく欠けた鋸歯縁で、裏面では主な葉脈の上に腺毛があり、時には開出した毛が生える。また、表側は葉脈に沿って窪み、網状の皺がある[5]。頂小葉は卵形から披針形で先端は突き出して尖り、長さは4-8cmで基部は丸く、葉柄の部分でやや窪んでいる。なお、頂小葉が大きく3裂する場合がある。側小葉は披針形で、托葉も披針形である。

花期は5-6月で、枝の先に散房状の集散花序として生じる[5]。花軸や小花柄には長い腺毛を密生し、軟毛も多少生えている。

晩春に白い[3]を横向きにつける。は外面に腺毛、内面と縁には短毛があり、花後に反り返る[2]。長さ約1.5 cmの橙色[3]果実は直立し、初夏に熟して食べられる[2]

分布と生育環境

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インドシッキム州東南アジア中国朝鮮半島南部から日本にかけての、熱帯暖帯の地域に分布する[2]

日本では、本州東海道以西[2])、四国九州[2][6]にかけての暖温帯に分布する[3]。荒地[2]や林縁などの、日当たりの良い場所にやや稀に生育する[3]

種の保全状況評価

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日本では、以下の多数の都道府県によりレッドリストの指定を受けている。

類似種

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葉が羽状複葉になる同属の植物はバライチゴ R. illecebrosus など数多くある。しかし、本種の茎などに一面に生える長い腺毛が独特で、区別は容易である。ウラジロイチゴ R. phoennicoasius も長い腺毛を多く持つが、普通は3小葉で、葉裏に白い綿毛を密生する点で区別できる。

脚注

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  1. ^ a b 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “コジキイチゴ”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2017年7月25日閲覧。
  2. ^ a b c d e f g h 牧野 (1982)、211頁
  3. ^ a b c d e f 林 (2011)、269頁
  4. ^ 以下、植物体の記載は主として佐竹他(1989),p.213
  5. ^ a b c 北村、村田(1979),p.65
  6. ^ 沖縄も牧野 (1982)には記述があるとのことながら、佐竹他(1989)には分布域に含まれておらず、また琉球植物誌などにも記載が無いため、誤りと思われる。
  7. ^ 「東京都の保護上重要な野生生物種」(本土部)~東京都レッドリスト~2010年版、植物” (PDF). 東京都. pp. 29 (2017年5月21日). 2017年8月18日閲覧。
  8. ^ 改訂しまねレッドデータブック2013植物編” (PDF). 島根県. pp. 49. 2017年8月18日閲覧。
  9. ^ 茨城県版レッドデータブック<植物編>2012年改訂版、絶滅危惧ⅠB類、PDF1” (PDF). 茨城県. pp. 90 (2016年7月15日). 2017年8月18日閲覧。
  10. ^ 長野県版レッドリスト(植物編)2014年、維管束植物” (PDF). 長野県. pp. 9 (2017年6月26日). 2017年8月18日閲覧。
  11. ^ 熊本県の保護上重要な野生動植物リスト−レッドリスト2014−、リスト 維管束植物” (PDF). 熊本県. pp. 79 (2014年10月1日). 2017年8月18日閲覧。
  12. ^ 佐賀県レッドデータブック(レッドリスト)”. 佐賀県 (2017年3月30日). 2017年8月18日閲覧。
  13. ^ レッドデータブックおおいた2011、コジキイチゴ” (PDF). 大分県 (2011年3月25日). 2017年8月18日閲覧。
  14. ^ レッドリスト(平成26年改訂)、植物準絶滅危惧(784種)”. 鹿児島県 (2016年6月15日). 2017年8月18日閲覧。
  15. ^ 改訂版 福井県の絶滅のおそれのある野生動植物、掲載種の解説、維管束植物” (PDF). 福井県. pp. 497 (2016年6月15日). 2017年8月18日閲覧。

参考文献

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  • 林将之『樹木の葉 実物スキャンで見分ける1100種類』(山溪ハンディ図鑑14)山と溪谷社〈山溪カラー名鑑〉、2014年4月15日。ISBN 978-4635070324 
  • 牧野富太郎、本田正次『原色牧野植物大図鑑北隆館、1982年7月。ASIN B000J6X3ZENCID BN00811290全国書誌番号:85032603https://iss.ndl.go.jp/books/R100000002-I000001728467-00 
  • 佐竹義輔他編著、『日本の野生植物 木本 I』(新装版)、(1999)、平凡社

関連項目

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外部リンク

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