コアジサイ
コアジサイ(小紫陽花[3]、学名: Hydrangea hirta )は、アジサイ科[注 1]アジサイ属の落葉低木。別名、シバアジサイ(柴紫陽花)[4]ともよばれる。アジサイよりも全体に小さく、花序には装飾花がないのが特徴である。
コアジサイ | |||||||||||||||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
国営武蔵丘陵森林公園 2008年5月
| |||||||||||||||||||||
分類 | |||||||||||||||||||||
| |||||||||||||||||||||
学名 | |||||||||||||||||||||
Hydrangea hirta (Thunb.) Siebold et Zucc. (1828)[1] | |||||||||||||||||||||
シノニム | |||||||||||||||||||||
和名 | |||||||||||||||||||||
コアジサイ(小紫陽花) |
特徴
編集落葉広葉樹の低木で、よく枝分かれして株立ちし、樹高は1 - 1.5メートル (m) になる[4]。 樹皮は灰褐色から茶褐色で縦に裂けて薄く剥がれる[3]。枝は紅紫色で毛が生えている[3]。葉に長さ1.2 - 4センチメートル (cm) になる葉柄があり、枝に対生する。葉の形は卵形から倒卵形で、先は鋭尖形、基部は円形または広いくさび形になり、長さ5 - 8.5 cmになる。葉縁は規則的で大きな鋸歯がつき、葉の表面、裏面ともに毛が散生し[4]、芽吹いた葉にも毛が多い[3]。秋になると葉が黄葉する[5]。本種はアジサイ類の中でも特に黄色が濃く鮮やかに紅葉するので、暗い林内でも大変よく目立つ[5]。
花期は6 - 7月で[4]、径5 cmほどの花序を枝先に複散房状につける。アジサイ属に特徴的な装飾花はなく、すべてが普通花で両性花だけからなるのが特徴で[4]、白色から淡青色の5弁花が密集する。1つの花は直径約4ミリメートル (mm) で、雄蕊が10本つく[4]。果実は直径3 mmほどの蒴果で、萼片が残る[4]。
冬芽は、側芽の先端が内側に曲がって枝に対生し、枝先の頂芽は小さい[3]。頂生側芽は大きく、頂芽2つついているように見える[3]。冬芽を包んでいる芽鱗は5 - 6枚つき、毛がある[3]。側芽のすぐ下にある葉痕は三角形やV字形で、維管束痕が3個つく[3]。冬でも果序や枯れ葉が残ることもある[3]。
-
花
-
秋の黄葉
分布と生育環境
編集日本固有種で、本州の関東地方以西、四国、九州に分布し[4]、低地や山地、丘陵など山野の明るい林内や林縁などに自生する[4][5]。
本種は山野の自生種は珍しくないが、栽培は困難である。そのため本種に代わって栽培が容易で、花が似て花づきがよりよいオクタマコアジサイ(ガクウツギとコアジサイの交雑種)がコアジサイと称して栽培されることも多い。
脚注
編集注釈
編集出典
編集- ^ a b 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Hydrangea hirta (Thunb.) Siebold et Zucc. コアジサイ(標準)”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2023年12月17日閲覧。
- ^ 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Hortensia hirta (Thunb.) H.Ohba et S.Akiyama コアジサイ(シノニム)”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2023年12月17日閲覧。
- ^ a b c d e f g h i 鈴木庸夫・高橋冬・安延尚文 2014, p. 88.
- ^ a b c d e f g h i 平野隆久監修 永岡書店編 1997, p. 206.
- ^ a b c 林将之 2008, p. 31.
参考文献
編集- 鈴木庸夫・高橋冬・安延尚文『樹皮と冬芽:四季を通じて樹木を観察する 431種』誠文堂新光社〈ネイチャーウォチングガイドブック〉、2014年10月10日、88頁。ISBN 978-4-416-61438-9。
- 林将之『紅葉ハンドブック』文一総合出版、2008年9月27日。ISBN 978-4-8299-0187-8。
- 平野隆久監修 永岡書店編『樹木ガイドブック』永岡書店、1997年5月10日、206頁。ISBN 4-522-21557-6。
- 佐竹義輔ほか編『日本の野生植物 木本I 』平凡社、1989年。