ゲート絶縁膜
ゲート絶縁膜(ゲートぜつえんまく)とは、電界効果トランジスタ (FET) において、ゲートとチャネル(基板)の間に存在する絶縁膜。
最先端プロセスにおいて、ゲート絶縁体は以下のような多くの制限を受ける。
電気容量と厚さの制限はほとんど直接的に互いに対立している。 Si基板を用いたFETでは、基板材料であるシリコンを酸化した熱酸化シリコン(二酸化ケイ素、ゲート酸化膜と呼ばれる)を主に用いている。これは熱酸化膜が非常にクリーンな界面を持つためである。TFTなどにおいては、ガラスの融点の関係上熱酸化はできず、プラズマを用いた化学気相成長(プラズマCVD)などで成膜がなされる。 半導体業界では、同じ厚さでも電気容量が高くなる高誘電率の代替材料が求められている。
→詳細は「High-k誘電体」を参照
開発史
編集電界効果トランジスタに使用される最も初期のゲート絶縁膜は二酸化ケイ素(SiO2)であった。シリコンと二酸化シリコンの表面不動態化処理プロセスは、1950年代後半にベル研究所のモハメド・アタラによって開発され、最初のMOSFET(金属-酸化膜-半導体電界効果トランジスタ)に使用された。現在でも二酸化シリコンはMOSFETのゲート絶縁膜として標準的に使用されている[1]。
脚注
編集- ^ Kooi†, E.; Schmitz, A. (2005). “Brief Notes on the History of Gate Dielectrics in MOS Devices” (英語). High Dielectric Constant Materials: VLSI MOSFET Applications. Springer Series in Advanced Microelectronics (Springer Berlin Heidelberg) 16: 33–44. doi:10.1007/3-540-26462-0_2. ISBN 978-3-540-21081-8.
参考文献
編集- 『厚膜IC化技術』日本マイクロエレクトロニクス協会編、工業調査会、1983年、ISBN 9784769310341
- 『シリコン集積素子技術の基礎』バーガー 著/菅野卓雄 訳、地人書館、1970年
- 『薄膜化技術』早川 茂・和佐清孝、共立出版 、1992年、ISBN 9784320084971
- 『薄膜の基本技術 第2版 / 物理工学実験5』金原 粲、東京大学出版会、1987年、ISBN 9784130630412
- 『化学技術者のための超LSI技術入門』化学工学協会 編、培風館、1989年、ISBN 9784563045142
- 『絵とき「薄膜」基礎のきそ (Electronics Series)』 小林 春洋、日刊工業新聞社、2006年、ISBN 9784526057915
- 『Silicon Processing for the VLSI Era: Volume1 - Process Technology』 Stanley Wolf / Richard N. Tauber、Lattice Press、1986年、ISBN 9780961672133