ゲルフォント=シュナイダーの定理
ゲルフォント=シュナイダーの定理 (ゲルフォント゠シュナイダーのていり、英: Gelfond–Schneider's theorem) は、指数関数の値の超越性に関する定理である。1934年に、アレクサンドル・ゲルフォントとテオドール・シュナイダーによって、それぞれ独立に証明された。
定理の主張
編集系
編集- 系1
- を 0, 1 以外の代数的数とする。 は、有理数であるか超越数である。
例
編集ゲルフォント゠シュナイダーの定理を用いて、以下の数が超越数であることが示される。
- 。(オンライン整数列大辞典の数列 A007507)
- 。(オンライン整数列大辞典の数列 A078333)
- 。これはゲルフォントの定数とよばれる。(オンライン整数列大辞典の数列 A039661)
- 有理数ではない代数的数 に対する、 , , 。
- が有理数ではない代数的数 に対する、 , , 。
- 乗法的独立[1]である、0, 1 ではない代数的数 に対する、 。
歴史
編集ダフィット・ヒルベルトは、1900年にパリで行われた国際数学者会議において、ヒルベルトの23の問題と呼ばれる23個の問題のうち、7番目の問題として、「a が 0 でも 1 でもない代数的数で、b が代数的無理数であるとき、ab は超越数であるか」を提出した。
その後、1929年に、アレクサンドル・ゲルフォントによって、β が虚二次体の場合に、 が超越数であることを証明し、例えば、 が超越数であることを示した。
その直後、ゲルフォントの方法を元にして、カール・ジーゲルは、β が実二次体の場合に成り立つことを示したが、発表はされなかった。翌年(1930年)、ロディオン・クズミンは、ゲルフォントの方法に基づいて、同じ結果を発表した。
1934年に、ゲルフォントとテオドール・シュナイダーがそれぞれ独立に、β が一般の代数的数の場合に成り立つことを証明した。 この結果、ヒルベルトの第7問題が肯定的に証明された。 ヒルベルトは、第7問題は大変難しい問題であり、リーマン予想の方が早く解決するのではないかと思っていたが、10年余りで証明されたことを聞いて、大変驚いたという。
ゲルフォント゠シュナイダーの定理より、2つの代数的数の対数が有理数体上線形独立であれば、代数的数体上線形独立となるが(系2)、この結果を 2以上の対数に拡張したものが、アラン・ベイカーによって、1966年に発表された(ベイカーの定理を参照)。
脚注
編集- ^ 整数 に対して、 ならば、 が成り立つとき、 は、乗法的独立であるという。