グッド・ナイト (ビートルズの曲)
「グッド・ナイト」(Good Night)は、ビートルズの楽曲である。1968年に発売された9作目のイギリス盤公式オリジナル・アルバム『ザ・ビートルズ』に収録された。レノン=マッカートニーの作品だが、リード・ボーカルはリンゴ・スターが務めている。演奏は、ジョージ・マーティンがアレンジしたストリングスのみとなっている。
「グッド・ナイト」 | ||||||||||
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ビートルズの楽曲 | ||||||||||
収録アルバム | 『ザ・ビートルズ』 | |||||||||
英語名 | Good Night | |||||||||
リリース | 1968年11月22日 | |||||||||
録音 |
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ジャンル | ||||||||||
時間 | 3分11秒 | |||||||||
レーベル | アップル・レコード | |||||||||
作詞者 | レノン=マッカートニー | |||||||||
作曲者 | レノン=マッカートニー | |||||||||
プロデュース | ジョージ・マーティン | |||||||||
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背景・レコーディング
編集ジョン・レノンは、当時5歳であった息子のジュリアン・レノンの子守唄として「グッド・ナイト」を書いた[3]。楽曲について、ポール・マッカートニーは「『グッド・ナイト』は僕の曲だと誤解されても、それはあながち無理のない話だと思う。とにかくソフトでメロディックで、とてもジョンらしくない曲だからね。たぶんジョンはジュリアンのために、子守唄を書いたんだと思う。とても美しくて、最終的にはリンゴが、オーケストラの伴奏で歌うことになった。きっとジョンは自分が歌うと、曲のイメージが崩れると思ったんだろう」と語っている[4]。
「グッド・ナイト」のレコーディングは、1968年6月28日にEMIレコーディング・スタジオのスタジオ2で開始され、最初のセッションでは、レノンがフィンガー・ピッキングで弾くエレクトリック・ギターの伴奏が5テイク録音された[4]。その後、テイク5の4トラック・テープのトラック2と3に2本のギター・パートが加えられ、トラック2のギター・パートはテープの回転速度を半分に落として録音された[4]。7月2日に3本のギター・パートがトラック1にまとめられ、テイク6が作成されて別のレコーダーにコピーされた[4]。その後、3本のギター・パートによる伴奏がついたバージョンは没となり、7月22日にスタジオ1でオーケストラとコーラスが加えられ、テイク34の最後で「Good night ... Good night, everybody ... Everybody, everywhere ... Good night.(おやすみ…おやすみ、みなさん…世界中の皆さん…お休みなさい)」という語りが加えられて完成となった[4]。なお、オーケストラとコーラスのオーバー・ダビング・セッションの前に、スターはマーティンのピアノの伴奏でリハーサルを行い、ハリスンはシェイカーを演奏した[5]。
1996年に発売された『ザ・ビートルズ・アンソロジー3』には、リハーサル音源の断片とテイク34を繋ぎ合わせた音源が収録された。
2018年に発売された『ザ・ビートルズ (ホワイト・アルバム) 〈スーパー・デラックス・エディション〉』のCD4に、テイク10とスターが冒頭の語りのフレーズを何パターンか試した際の音源が収録された[5]。
評価
編集2018年に『インデペンデント』誌のジェイコブ・ストルワーシーは、アルバム『ザ・ビートルズ』収録曲を対象としたランキングで本作を28位に挙げ、「リンゴが歌う平凡な歌」「ジョージ・マーティンによる活気に満ちたオーケストラ・アレンジが施されているが、あらゆる子守唄のように、聴衆を眠りに誘わせるかもしれない」と評している[6]。
クレジット
編集- 第1バージョン
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- リンゴ・スター - リード・ボーカル、ボンゴ
- ジョン・レノン - ギター(3本)、バッキング・ボーカル
- ポール・マッカートニー - バッキング・ボーカル
- ジョージ・ハリスン - バッキング・ボーカル
- リハーサル
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- リンゴ・スター - ボーカル
- ジョージ・ハリスン - シェイカー
- ジョージ・マーティン - ピアノ
- 第2バージョン
カバー・バージョンやその他の使用例
編集「グッド・ナイト」は、カーペンターズ、ケニー・ロギンス、リンダ・ロンシュタット、バーブラ・ストライサンド、マンハッタン・トランスファーらによってカバーされた[9]。
2006年にシルク・ドゥ・ソレイユのショーのサウンドトラック・アルバムとして発売された『LOVE』では、本作のオーケストラ・パートが「オクトパス・ガーデン」の伴奏として使用された[10]ほか、「愛こそはすべて」のコーダで使用された。
脚注
編集出典
編集- ^ PopMatters Staff (2009年11月11日). “The Records, Day Four: 1968-1969”. PopMatters. PopMatters Media. 2022年11月12日閲覧。
- ^ Womack, Kenneth; Davis, Todd F. (2012). Reading the Beatles: Cultural Studies, Literary Criticism, and the Fab Four. Albany, New York: State University of New York Press. p. 15. ISBN 978-0-791-48196-7
- ^ Sheff 2000, p. 200.
- ^ a b c d e White Album 2018, p. 32.
- ^ a b White Album 2018, p. 33.
- ^ Stolworthy, Jacob (2018年11月22日). “The Beatles' White Album tracks, ranked - from Blackbird to While My Guitar Gently Weeps”. The Independent (Independent News & Media) 2020年10月16日閲覧。
- ^ MacDonald 2005, p. 294.
- ^ White Album 2018, pp. 32–33.
- ^ Good Night - The Beatles | Cover Songs - オールミュージック. 2020年10月16日閲覧。
- ^ “マーティン親子による楽曲解説”. Sound Town :: ザ・ビートルズ 日本オフィシャルサイト. 東芝EMI. 2007年2月22日時点のオリジナルよりアーカイブ。2020年10月16日閲覧。
参考文献
編集- ハウレット, ケヴィン (2018). ザ・ビートルズ (ホワイト・アルバム) 〈スーパー・デラックス・エディション〉 (ブックレット). ビートルズ. アップル・レコード.
- MacDonald, Ian (2005). Revolution in the Head: The Beatles' Records and the Sixties (Second Revised ed.). London: Pimlico (Rand). ISBN 1-84413-828-3
- Sheff, David (2000). All We Are Saying. New York: St. Martin's Griffin. p. 200. ISBN 0-312-25464-4
外部リンク
編集- Good Night - The Beatles