クロロベンジレート: chlorobenzilate)は有機塩素化合物の一種。以前は殺虫剤(殺ダニ剤)として使用された。

クロロベンジレート[1]
識別情報
CAS登録番号 510-15-6
PubChem 10522
ChemSpider 10085
KEGG C14574 チェック
特性
化学式 C16H14Cl2O3
モル質量 325.19 g mol−1
外観 無色ないし淡黄色の結晶
密度 1.28 g/cm3
融点

37℃

への溶解度 難溶
アセトントルエンメタノールへの溶解度 混和
危険性
Rフレーズ R22 R50/53
Sフレーズ (S2) S60 S61
引火点 不明
特記なき場合、データは常温 (25 °C)・常圧 (100 kPa) におけるものである。

用途

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スイスのチバガイギー社が開発し、日本では1955年6月18日に農薬登録を受けた。日本化薬が原体を生産し、1992年に製造を終了するまでの累計生産量は、製剤ベースで7,300トンであった。当時の商品名には「アカール」などがあり、主に果樹のハダニに対して使用された[2]。アメリカでは1979年に柑橘類以外での使用が禁止され、1999年には農薬としての使用が全面禁止された。ヨーロッパでもすでに使用が禁止され、輸出入はロッテルダム条約で規制されている。日本では1994年6月26日に農薬登録が失効した。

安全性

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半数致死量(LD50)はラットへの経口投与で700mg/kg、ラットへの経皮投与で5,000mg/kg以上[3]。摂取すると中枢神経に影響し、運動失調や軽度の興奮・錯乱などの症状が生じる[3]。引火点は不明だが可燃性であり、強酸・塩基や酸化剤と反応し発火する。燃焼や加熱により分解し、腐食性のある有毒ガスが生じる[4]ニジマスの96時間の半数致死濃度(LC50)は0.6mg/Lと強い魚毒性があり、生物蓄積性を持つ[3]

脚注

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  1. ^ International Chemical Safety Card for chlorobenzilate, National Institute for Occupational Safety and Health
  2. ^ 植村振作・河村宏・辻万千子・冨田重行・前田静夫著『農薬毒性の事典 改訂版』三省堂、2002年。ISBN 978-4385356044 
  3. ^ a b c 製品安全データシート(安全衛生情報センター)
  4. ^ 国際化学物質安全性カード