クロクモソウ
クロクモソウ(黒雲草、学名:Micranthes fusca var. kikubuki )は、ユキノシタ科チシマイワブキ属の多年草。エゾクロクモソウ(蝦夷黒雲草、学名:Micranthes fusca var. fusca)を分類上の基本種とする変種。別名、キクブキ、イワブキ[3][4]。
クロクモソウ | |||||||||||||||||||||||||||
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福島県田代山 2016年8月
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分類(APG III) | |||||||||||||||||||||||||||
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学名 | |||||||||||||||||||||||||||
Micranthes fusca (Maxim.) S.Akiyama et H.Ohba var. kikubuki (Ohwi) S.Akiyama et H.Ohba[1] | |||||||||||||||||||||||||||
シノニム | |||||||||||||||||||||||||||
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和名 | |||||||||||||||||||||||||||
クロクモソウ(黒雲草)[3] |
以前はユキノシタ属(Saxifraga )とされていた[3][4][5]が、分子系統解析の結果からユキノシタ属の数種とともに、チシマイワブキ属(Micranthes )に分割された[6]。
特徴
編集地中の根茎は太く、根出葉を束生させる。根出葉に長さ2-15cmになる葉柄があり、葉身は径2-8cmになる円腎形で、基部は心形、縁には粗い卵形で先がややとがった鋸歯がある。葉の表面に短い縮毛がまばらに生え、裏面に毛はない[3][4][5]。
花期は7-8月。花茎は高さ10-30cmになり、茎葉はなく、緑色で細毛があり、上部に大型でまばらな円錐花序をつける。花は紫褐色まれに淡緑色で、径5-8mmになる。花柄は長さ2-5mmになり、細毛がはえる。萼裂片は5個あり、長さ1-1.5mmの卵状3角形で、花時には大きく反りかえる。花弁は5個で、長さ約3mmの長卵形で、花時は平開する。花盤が発達し、紫褐色まれに淡緑色で、環状に隆起して2個の雌蕊を取り囲む。雄蕊は10個あり、花盤の縁につき、長さは約1mmになり、開裂直前の葯は橙色になる。子房は中位で2室あって花盤中に埋まり、花柱は暗紫色で短い。果実は上部が2つに分かれた蒴果で、花後に子房の上部が急速に伸び、長さ4-6mmになる。種子は紡錘状楕円形で長さ約0.8mmになる[3][4][5]。
分布と生育環境
編集日本固有種。九州、四国の剣山・瓶ヶ森・石鎚山、本州近畿地方の大峰山脈のほか、本州の中部地方以北に分布し、深山の渓流沿いの岩上や湿った草地に生育する[3][4][5]。
名前の由来
編集和名のクロクモソウは、「黒雲草」の意で、花の色から[8]、種小名の fusca は、「暗赤色の」の意味で、同じく花の色から、変種名の kikubuki は、別名のキクブキからつけられた[4]。
ギャラリー
編集エゾクロクモソウ
編集- エゾクロクモソウ(蝦夷黒雲草) Micranthes fusca (Maxim.) S.Akiyama et H.Ohba var. fusca[9] - クロクモソウの分類上の基本種。根出葉の鋸歯は3角状で、数が多い。花柄が糸状に細く長さ15mmになるため、花序はまばらに見える。本州の東北地方北部、北海道に分布し、高山帯から亜高山帯の渓流沿いや湿った草地に生育する。日本以外では、千島列島、カムチャツカに分布する[3][4][5][8]。
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花が紫褐色
鳥海山北斜面 -
花がやや淡緑色
鳥海山北斜面 -
根出葉
鳥海山北斜面
脚注
編集- ^ クロクモソウ 米倉浩司・梶田忠 (2003-)「BG Plants 和名−学名インデックス」(YList)
- ^ クロクモソウ 米倉浩司・梶田忠 (2003-)「BG Plants 和名−学名インデックス」(YList)
- ^ a b c d e f g 『山溪ハンディ図鑑8 高山に咲く花』pp.272-273
- ^ a b c d e f g 『山溪カラー名鑑 日本の高山植物』p.390-391
- ^ a b c d e 『日本の野生植物 草本II 離弁花類』pp.168-172
- ^ 日本のチシマイワブキ属の学名, 「植物研究雑誌The Journal of Japanese Botany」Vol.87 No.4 (August 2012)
- ^ 大場『植物分類表』p.106-109
- ^ a b 『新牧野日本植物圖鑑』p.239
- ^ エゾクロクモソウ 米倉浩司・梶田忠 (2003-)「BG Plants 和名−学名インデックス」(YList)
参考文献
編集- 佐竹義輔・大井次三郎・北村四郎他編『日本の野生植物 草本II 離弁花類』、1982年、平凡社
- 豊国秀夫編『山溪カラー名鑑 日本の高山植物』、1988年、山と溪谷社
- 清水建美、木原浩『高山に咲く花 山溪ハンディ図鑑8』、2002年、山と溪谷社
- 牧野富太郎原著、大橋広好・邑田仁・岩槻邦男編『新牧野日本植物圖鑑』、2008年、北隆館
- 大場秀章編著『植物分類表(初版第3刷訂正入)』、2011年、アボック社
- 米倉浩司・梶田忠 (2003-)「BG Plants 和名−学名インデックス」(YList)
- 日本のチシマイワブキ属の学名, 「植物研究雑誌The Journal of Japanese Botany」Vol.87 No.4 (August 2012)