クレームブリュレ: crème brûlée [ˈkʁɛm bʁyˌle])は、カスタードプディングと似たデザート

クレームブリュレ

フランス語で「焦がしたクリーム」を意味する名称のとおり、カスタードの上面には砂糖グリルバーナーで焦がした硬いカラメルの層が乗っている。通常はラメキンの皿に卵液を流し込んで調理し、固まったカスタードの上に砂糖を振りかけて焦がしてから、器のまま冷やして供される。

クレームブリュレのカスタードはクリームと卵黄から作られるため、普通のカスタードプディングよりもねっとりと柔らかく、濃厚な味わいに仕上がる。通常はバニラ味であるが、チョコレートフルーツなどで味付けしたものもある。また、食べる人の目の前でカスタードに振りかけた酒に点火し、フランベしてカラメル層を作ることもある。

なお、日本語ではクリームブリュレとも呼称されることがある[1][2][3]が、クムブリュレの方がよりフランス語本来の発音に近い。

歴史

編集
 
フランベされるクレームブリュレ

正確な起源は分からないが、フランソワ・マシアロ(François Massialot)の1691年の料理書にレシピが初出する[4]。この本の英訳版でも、フランス語名がそのまま使われた。しかし、1731年に出版されたマシアロの『宮廷とブルジョワジーの料理』(Cuisinier roial et bourgeois)では、同じレシピながら名前が「クレームブリュレ」から「クレーム・アングレーズ」(crème anglaise)に変わっている[5](現代のクレーム・アングレーズはカスタードソースである)。18世紀初期には、このデザートは英語で、フランス語の名称の直訳からバーント・クリーム(burnt cream)と呼ばれていた。

クレームブリュレのカラメル層を割る様子。

イギリスでは、クレームブリュレは地域によって「トリニティ・クリーム(Trinity Cream)や「ケンブリッジ・バーント・クリーム」(Cambridge burnt cream)と呼ばれていたように、ケンブリッジ大学トリニティ・カレッジで紹介されたとされる[6]。しかし、イギリスにもっと早くから伝わっていたとする料理書もある[7]

日本においては、1991年にブームとなったのち、2001年に公開された映画『アメリ 』において、ヒロインの好物として登場したことで再び人気を集めた[8]

出典

編集
  1. ^ “<堺・東区> 「ハチワレスイーツ」のクリームブリュレクレープ”. 読売新聞 (読売新聞社). (2024年7月11日). https://www.yomiuri.co.jp/local/kansai/feature/CO056632/20240722-OYTAT50055/ 2024年11月1日閲覧。 
  2. ^ 赤坂玲衣華 (2024年10月23日). “【ロイヤルホスト】まるでスイーツ界のお子様ランチ!クリームたっぷりの「絶品パンケーキセット」通年で販売してほしい…!《実食レビュー》”. BuzzFeed (BuzzFeed Japan). https://www.buzzfeed.com/jp/reikaakasaka/royalhost-autumn-pancake 2024年11月1日閲覧。 
  3. ^ 高尾山麓で味わう「クリームブリュレドーナツ」“とろ~りカスタード”入り、高尾さんかく堂で』(プレスリリース)高尾さんかく堂、2024年10月25日https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000128.000073463.html2024年11月1日閲覧 
  4. ^ French 1691 recipe with historical notes
  5. ^ Harold McGee, On Food and Cooking: The Science and Lore of the Kitchen (Simon and Shuster) 2004:97; McGee notes "An English model for 'English cream' hasn't yet been unearthed."
  6. ^ Florence White, quoted in Davidson, s.v. crème brûlée;
  7. ^ Smith, Delia (1997). Delia Smith's Complete Cookery Course. page 482: BBC. ISBN 0563362499 
  8. ^ 第3次「タピオカ」ブームまでの平成スイーツ30年史を振り返る”. FRIDAYデジタル (2019年9月8日). 2024年2月4日閲覧。

関連項目

編集