クリギング(英語: kriging)は、空間補間の方法の1つである[1]。分析対象となる空間に対して確率場英語版を用いて共分散から確率・統計的に補間を行い[2]、任意の地点における空間データの最良線形不偏予測量英語版を計算する[3]

高品位な鉱物の採掘が期待できる位置の推定法を考案した鉱山技師のダニー・G・クリーグ英語版の研究を参考に、数学者のジョージズ・マトゥロン英語版により、空間データの内挿法として開発された[4]。クリギングの名は、クリーグの名に由来する[5]

クリギングは、鉱山開発にとどまらず、自然科学農学工学社会科学などで幅広く用いられている[6]

原理

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クリギングは、補間点 における予測値 と実際の値 との平均二乗予測誤差英語版 を最小化する予測値 を計算する[3]

種類

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単純クリギング

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単純クリギングsimple kriging)は、対象領域において弱定常性[注釈 2]が成立し、かつ期待値が既知で一定と仮定するクリギングである[8]

通常クリギング

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通常クリギングordinary kriging)は、対象領域において弱定常性が成立し、かつ期待値が未知で一定と仮定するクリギングである[9]

普遍クリギング

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普遍クリギングuniversal kriging)は、対象領域において期待値が位置を変数とした滑らかな関数で決定されると仮定するクリギングである[10]

外生ドリフトクリギング

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外生ドリフトクリギングkuriging with external drift)は、空間補間の対象とする変数(主変数)と線型性をもつ別の変数(2次変数)のデータの線型和から期待値を推定するクリギングである[11]

コクリギング

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コクリギングcokriging)は、主変数のほかに、主変数と相関関係を有する2次変数を用いて期待値を推定するクリギングである[12]。コクリギングは、空間補間を行いたい主変数のデータ入手が容易でない場合に、別途入手した2次変数の値を利用して主変数の空間補間を行う場合に利用できる[13]

脚注

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注釈

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  1. ^ 共分散関数covariance function)あるいはコバリオグラムcovariogram)とは、観測データの相対位置のみを変数とする関数のこと[7]
  2. ^ 弱定常性weak stationarity)とは、領域内において確率変数の期待値が一定かつ確率変数間の共分散が共分散関数英語版(コバリオグラム)[注釈 1]だけで説明できること[7]

出典

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  1. ^ 阪田 2021, p. 3.
  2. ^ 瀬谷 2018, pp. 45–46.
  3. ^ a b 瀬谷・堤 2014, p. 65.
  4. ^ 阪田 2021, pp. 1–2.
  5. ^ 阪田 2021, p. 1.
  6. ^ 阪田 2021, p. 2.
  7. ^ a b 瀬谷 2018, p. 47.
  8. ^ 阪田 2021, p. 86.
  9. ^ 阪田 2021, p. 99.
  10. ^ 阪田 2021, p. 116.
  11. ^ 阪田 2021, p. 126.
  12. ^ 井上 2015, p. 112.
  13. ^ 瀬谷・堤 2014, p. 78.

参考文献

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  • 井上亮 著「空間補間」、浅見泰司矢野桂司・貞広幸雄・湯田ミノリ 編『地理情報科学 GISスタンダード』古今書院、2015年、108-113頁。ISBN 978-4-7722-5286-7 
  • 阪田義隆『クリギング入門―空間データ推定の確率論的アプローチ―』コロナ社、2021年。ISBN 978-4-339-05275-6 
  • 瀬谷創 著「空間補間」、貞広幸雄、山田育穂、石井儀光 編『空間解析入門―都市を測る・都市がわかる―』朝倉書店、2018年、43-50頁。ISBN 978-4-254-16356-8 
  • 瀬谷創、堤盛人『空間統計学―自然科学から人文・社会科学まで―』朝倉書店、2014年。ISBN 978-4254128314