クラシックギター (器楽)
概要
編集現在で言うところのクラシック音楽のうち、ギターを用いた演奏や楽曲は、ルネサンス期から存在していた。続くバロック期、古典派、ロマン派の作曲家たちの中にも、ギターを使用した楽曲を書いた者が現れた。
バロック期のスペインでは,ガスパル・サンスやルイス・デ・ミラン,フランスではルイ14世のギター教師でもあったロベール・ド・ヴィゼーらが著名である。
18世紀末から19世紀前半には、フェルナンド・ソルやマッテオ・カルカッシら優れた作曲家、演奏家が活躍し、コンサート楽器としての地位を確立してゆくが、これらの音楽家が一線から去るとともに一旦衰退する。19世紀後半アルカスやその弟子タレガがアントニオ・デ・トーレスの楽器を用いてその地位を復興した。
20世紀にはいると、スペインのギタリスト、アンドレス・セゴビアが、トーレスタイプのモダンギターを使用して精力的に演奏活動、また他楽器向けの作品からの編曲によるレパートリーの開拓を行い、再びギター音楽が注目され始める。彼のために、数多くの優れた作曲家がギター用の楽曲を書いた。その後、ナルシソ・イエペス、ジュリアン・ブリーム、ジョン・ウィリアムスなどの演奏家が、それぞれ独自のスタイルでクラシック・ギター愛好者の幅を広げた。
日本では、山下和仁がオーケストラ作品などの編曲演奏を通じ、超絶技巧を駆使した演奏を繰り広げて、ギターの楽器としての潜在能力を大きく引き出した。また、福田進一などは19世紀ギターを活用するなど、オリジナル楽器の魅力も追求している。
主な楽曲
編集クラシックギターのレパートリーには、19世紀ギターのために書かれた作品や、近現代の作家の作品の他に、ルネサンス期のスペインの楽器、ビウエラのためのオリジナル曲、バロック時代のリュート作品や、幅広い時代の様々な楽器のための楽曲からの編曲も多い。20世紀には、ホアキン・ロドリーゴ、カステルヌオーヴォ=テデスコなどギターを弾かない作曲家が数多くのギター作品を残した。その一方で、レオ・ブローウェルなど高いギター演奏能力を持つ作曲家の活躍も続いている。
特に著名な楽曲
編集- アルハンブラの想い出(タレガ)
- アランフエス協奏曲(ロドリーゴ)
- 愛のロマンス(『禁じられた遊び』挿入曲)(アントニオ・ルビーラ)
- タンゴ・アン・スカイ(ローラン・ディアンス)
- サンバースト(アンドリュー・ヨーク)
- 大聖堂(アグスティン・バリオス)
- 最後のトレモロ(アグスティン・バリオス)
- ショーロNo1(ヴィラ・ロボス)
- ベネズエラワルツ(アントニオ・ラウロ)
- はちすずめ(サグレラス)
ギターを含む室内楽曲
編集- パガニーニ
- パガニーニはギターの演奏もよくし、他にヴァイオリンとギターの二重奏曲が数多くある。
- フランツ・ヨーゼフ・ハイドン
- 四重奏曲 ニ長調(ギター、ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ)
- 四重奏曲 ニ長調(ギター、ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ)
- ボッケリーニ
- ギター五重奏曲第1番 ニ短調(ギター、第1ヴァイオリン、第2ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ)
- ギター五重奏曲第2番 ホ長調(ギター、第1ヴァイオリン、第2ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ)
- ギター五重奏曲第3番 変ロ長調(ギター、第1ヴァイオリン、第2ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ)
- ギター五重奏曲第4番 ニ長調「ファンダンゴ」(ギター、第1ヴァイオリン、第2ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ)
- ギター五重奏曲第5番 ニ長調(ギター、第1ヴァイオリン、第2ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ)
- ギター五重奏曲第6番 ト長調(ギター、第1ヴァイオリン、第2ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ)
- ギター五重奏曲第7番 ホ短調(ギター、第1ヴァイオリン、第2ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ)
- ギター五重奏曲第9番 ハ長調「マドリードへの帰営」(ギター、第1ヴァイオリン、第2ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ)
- ヴィヴァルディ
- ギター協奏曲第1番 イ長調(ギター、第1ヴァイオリン、第2ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ)
- ギター協奏曲第2番 ニ長調(ギター、第1ヴァイオリン、第2ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ)
(ギターで演奏されることが多いが、オリジナルはリュートの為の作品である)