クライスラー・サンビーム
サンビーム(Sunbeam)は、クライスラー(現:ステランティス)のイギリス子会社の「クライスラーUK」(旧:ルーツ・グループ)において1977年から1981年まで販売されたコンパクトカー(スーパーミニ・カー)である。
クライスラー・サンビーム | |
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概要 | |
製造国 | イギリス(リンウッド) |
販売期間 | 1977年 – 1981年(生産終了) |
デザイン | ロイ・アックス |
ボディ | |
ボディタイプ | 3ドアハッチバック |
駆動方式 | 後輪駆動 |
パワートレイン | |
エンジン |
998cc 直列4気筒SOHC 1,294cc 直列4気筒OHV 1,598cc 直列4気筒OHV 2,172cc 直列4気筒DOHC(ロータス) |
変速機 |
4速MT 5速MT(ロータス) |
車両寸法 | |
ホイールベース | 2,413 mm |
全長 | 3,829 mm |
全幅 | 1,603 mm |
全高 | 1,395 mm |
車両重量 | 818 - 960 kg |
系譜 | |
先代 |
ヒルマン・アヴェンジャー ヒルマン・インプ |
後継 | タルボ・サンバ |
クライスラー欧州部門がPSA・プジョーシトロエン (PSA)の一部となった1979年以降は「タルボット(タルボ)・サンビーム」に改名された。
概要
編集経営悪化や他国の自動車メーカーの流入によってイギリスの自動車産業が危機に瀕していた1970年代中盤、クライスラーでは英国内で人気の高い「スーパーミニ・カー」と呼ばれるクラスへ新型車を投入し、起死回生を図る事となった。これには1976年にヒルマン・インプが生産を終了して以来、空白となっていたクラスの穴埋めという目的もあった。
開発に費やせる時間や予算が大幅に限られていたため、基本コンポーネントは既存車からの流用で対応する事となり、当時のトレンドであった前輪駆動ではなく、後輪駆動のヒルマン・アヴェンジャー(1970年発表)がベース車両として選定された。
以上のような経緯を経て誕生したのがサンビームであり、プロジェクトR424というコードネームが与えられ1976年1月に開発がスタート。わずか19ヶ月間という極めて短い開発期間を経て1977年7月に発売された。
生産はスコットランド・グラスゴー近郊にある、ルーツ・グループのリンウッド工場が担当した。同時期に登場したホライズンとは異なり、フランスでシムカとして販売される事はなかった。
1978年にクライスラーの欧州部門がPSA・プジョーシトロエン傘下になると、PSAはクライスラー製品のブランドを「タルボ」(英国読みは『タルボット』)に統一することとし、本車もタルボット・サンビームと改名した。しかし、この時点ではタルボエンブレムへの変更はなされず、1981年までクライスラーのペンタスターエンブレムが装着されていた。
モデル最末期の1981年に実施された最後のマイナーチェンジでは、前述したエンブレムの変更のほか、フロントマスクがヘッドライトを中心により現代的にリデザインされた。
その後、リンウッド工場の閉鎖に伴い、同年中にアヴェンジャーとともに生産を終了した。後継は同年登場のタルボ・サンバである。総生産台数は約20万台。
メカニズム
編集前述の通り基本コンポーネントの多くをアヴェンジャーから流用しており、シャシはアヴェンジャーからホイールベースを切り詰めて使用した。
外装デザインはクライスラーUKのチーフスタイリスト・ロイ・アックスが手がけ、シムカ・1307/1308やホライズンと同様、角ばった現代的なボディを持つ。同時期に登場したホライズンとの競合を避けるため、ボディタイプは3ドアハッチバックのみとされた(ホライズンは5ドアハッチバックのみ)。
ハッチバック車ではあるものの、剛性確保の関係で後部はリアウィンドウしか開かない構造であった。
エンジンは998cc、1,295cc、1,598ccの3種類のガソリンエンジンが用意され、当初のグレード展開はベースとなるLS、装備を充実したGL、最上級グレードのGLSの3種類であった。
バリエーション
編集Ti
編集1978年の英国国際モーターショーおよびパリモーターショーにおいて、スポーティモデル(ホットハッチ)のTiを展示。1979年6月に新車価格3,779ポンドで発売された。アヴェンジャー・タイガーの後継となるモデルで、1,598 ccエンジンにウェーバー製ツインキャブレターの組み合わせで最高出力101 PSを発生する。
旧態依然とした後輪駆動である点が、前輪駆動のライバルに対して大衆車としての実用性では不利に働いたサンビームであったが、スポーティ性という側面ではかえって有利に働き、愛好家やジャーナリズムから高い評価を受けた。
サンビーム・ロータス
編集1979年のジュネーヴ・モーターショーにて発表。ラリーでの使用を目的としたホモロゲーションモデルで、開発はロータス・カーズが手掛けている。
1.6 GLSをベースに、2代目ロータス・エリートや初期のロータス・エスプリに搭載された907型エンジンの排気量を拡大した911型エンジン(2,172 cc 直列4気筒DOHC)を搭載。市販モデルでは最高出力152 PS / 5,750 rpm、最大トルク20.7 kgf·m / 4,500 rpmを発生し、ワークスマシンの最高出力は253 PSに達していた。トランスミッションはZF製5速MTが組み合わせられ、向上したエンジンパワーに対応すべく、サスペンションやアンチロールバーも強化されていた。
1979年4月にグループ4の認定を受け、プジョーワークスとしてヨーロッパラリー選手権(ERC)や世界ラリー選手権(WRC)に参戦。1980年にはヘンリ・トイヴォネンがサンビーム・ロータスを駆ってRACラリーでWRC初優勝を果たし、1981年にはWRCマニファクチャラーズタイトルを獲得した。
その後、プジョーワークスは次年より施行予定のグループB規定に合わせたマシンを開発するため、その年限りでワークス活動を休止し、サンビーム・ロータスをグループBマシンとして改良することを検討していたが、計画を変更し205ターボ16の開発に専念することとなる。
脚注
編集注釈
編集出典
編集参考文献
編集- “【1年違いのラリーチャンプ】タルボ・サンビーム・ロータスとアウディ・クワトロ 前編” (jp). AUTOCAR JAPAN (2021年9月18日). 2021年10月30日閲覧。