ギミ・モア
「ギミ・モア」(Gimme More)は、ブリトニー・スピアーズが2007年に発売したシングルCD。5thアルバムの『ブラックアウト』に収録されている。この曲はブリトニーが2人目の子供を妊娠しているときに書かれたものであり、アップテンポな曲調と挑発的な歌詞が特徴である。
「ギミ・モア」 | ||||||||
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ブリトニー・スピアーズ の シングル | ||||||||
初出アルバム『ブラックアウト』 | ||||||||
リリース | ||||||||
ジャンル |
ポップ・ミュージック テクノポップ R&B | |||||||
時間 | ||||||||
レーベル | ジャイヴ・レコード | |||||||
プロデュース | Nate "Danja" Hills | |||||||
ゴールドディスク | ||||||||
ブリトニー・スピアーズ シングル 年表 | ||||||||
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2007年10月6日オーストラリアで『ブラックアウト』に先行する形で発売されカナダのビルボードチャートでNo.1を獲得、アメリカのビルボードHot 100では1999年に1位を獲得したデビューシングル「ベイビー・ワン・モア・タイム」以来の高順位となる3位にくいこんだほか[1]、多くの国でCDチャートのトップ10に入るなど好成績を残した。イギリス [2]とオーストラリアでも3位に入り、アメリカとオーストラリアではプラチナ・ディスクを獲得している。
また曲のイントロに入るせりふやクラブ風の曲調は概ね好評価を受けていたもののブリトニーがストリッパーのようにポール・ダンスを踊るプロモーションビデオはブリトニーの体形が以前のように戻っていなかったこともあり酷評されてしまい、2007年のMTVビデオ・ミュージック・アワードでみせたこの曲のパフォーマンスはファンをも失望させるほどのひどいものであった。
現在のライブでは、ギミ・モアの始まる前には「Who Is It!?」(だーれー!?)と声を掛けてから始まるようになっている。
制作
編集「ギミ・モア」はJames Washington、Marcella Araica、Nate "Danja" Hills、Keri Hilsonの共作であり、ブリトニーが妊娠中の2006年にラスベガスでレコーディングが行なわれた。出産後はレコーディングの場をロサンゼルスにある彼女の自宅に移し、曲は2006年中には完成していた。ASCAPという組織によるともともとは“Gimme More(It's Britney Bitch)”という曲名になる予定であったが、後に“Gimme More”に替えられたという。
「ギミ・モア」はダンサブルなクラブミュージックに仕上がっており低い電子音のビートなどは1970年代のディスコミュージックの影響を受けているとされている。曲の冒頭は「It's Britney, bitch(私はブリトニーよ、このビッチ!)」という少々過激なセリフからはじまり、曲の最後はDanjaの比較的長いせりふで終わる。またこの曲では「Gimme」という単語が88回使用されている。
発売
編集「ギミ・モア」は発売に先駆けて2007年9月9日にラスベガスのパームスホテルで行われた2007MTVビデオ・ミュージック・アワードのオープニングアクトで初めてパフォーマンスされた。ブリトニーは永らくエンターテイメントの第一線から退いていただけにこのパフォーマンスをきっかけに音楽界へのカムバックを期待するファンも多かったが、実際には口パクのパフォーマンスは全米から批判の対象になる結果に終わってしまった。ブリトニーは以前からも激しいダンスを取り入れていることなどから口パクでパフォーマンスをすることは多々あったものの、今回はダンスはろくに出来ていないばかりか歌詞に合わせて口を動かすパフォーマンスさえも疎かになるなどエンターテイナーとしての演技を半ばあきらめたような部分も見受けられ、ニューヨーク・タイムズ紙には「こんな大失敗を誰が予期していただろう」とまで書かれてしまった。一方で「ブリトニーはMTVに利用された」という見方もあり、近年視聴率の低迷にあえぐMTVが話題性のみを理由にブリトニーを表舞台に引っ張り出したというブリトニー擁護論も存在する。実際に昨年に比べてオープニングの視聴率は20%以上もアップし、またほかのアーティストも製作側の時間配分のミスなどからパフォーマンスが途中で切られるなどの失態も相次いだ。
このあとすぐに「ギミ・モア」は「Break The Ice(ブレイク・ジ・アイス)」や「Hot As Ice(ホット・アズ・アイス)」などとともに(未発表曲も含む)インターネット上に流出し、レーベル側はアルバムの発売日を本来の11月13日から10月30日へと早める措置をとった。
また「ギミ・モア」はCDでの発売を前にまずラジオ局により配信されており、2007年8月30日ニューヨークのZ100というラジオ局がインターネットのホームページで世界に向けて公開されその後ロサンゼルスやワシントンD.C.といった主要都市のラジオ局でも次々と放送された。その約3週間後、オーストラリアにて初めてCDという形で発売された。このCDは前作から2年ぶりのシングルCDでありカラオケ版との2曲構成になっている。その後リミックス版を含めた各国バージョンがイギリスやアメリカなどで順次発売されていった。
反応
編集MTVビデオ・ミュージック・アワードでは世界的に酷評されたブリトニーであったが、楽曲自体は概ね高い評価を得ており星形式のランク付けでは最高ランクの5つ星をつける雑誌も少なからずあった。しかし歌詞に関しては評価が両極化しており、特に息遣いが入る部分については挑発的でよいという意見と、歌をダメにしているという意見と両方が見られた。ただ総合的にはやはり高い評価でありカナダでは2007年のシングルCDランキングでは2位に入った。
チャートパフォーマンス
編集「ギミ・モア」はCDとして世界で売り出される前にラジオにおいて大きな成功を収めており、8月30日でラジオでの放送が開始されてから24時間とたたないうちにたちまちリクエストチャートの上位に躍り出た。またデジタル配信においてはiTunesのダウンロードランキングトップにたった。
CDではアメリカのビルボードHot 100で「ベイビー・ワン・モア・タイム」以来の高順位となる3位を獲得。これはブリトニーにとっては5枚目のHot 100チャートトップ10入りで以後15週間にわたってチャートに載り続けた。そのほかのビルボードチャートではHot Digital SongsとHot Dance Club Playでトップに立ち、隣国カナダでのビルボードHot 100でも1位になった。
プロモーションビデオ
編集「ギミ・モア」のプロモーション・ビデオはジェイク・サーファティによって7月19日と8月7日の2日間、ロサンゼルス中心部の倉庫で撮影された。「ギミ・モア」のアップテンポにあわせてブリトニーがストリッパーのようにポールダンスを踊っており、色調は前半の白黒から後半になるにつれて青とピンクをベースにしたものに変わっていく。ブリトニーはビデオで黒い革のベストと鋲のついたベルト、黒い下着に破れた網タイツを着用しており、髪は「トキシック」のPVで見せたような黒髪である。このビデオはハリウッドで行われたRoyal Jelly showの影響を多大に受けており、バックダンサーとしてRoyal Jelly showのダンサーを採用しているほか衣装もRoyal Jelly showと同様のものを着用させている。
またブリトニーはこのストリッパー役のほかにこのクラブを訪れた客役も演じており、こちらは金髪で友達とバーに座り会話をしている。金髪のブリトニーは同じくクラブの客を思われる謎の男性をじらしながらも黒髪のブリトニーのダンスを見ているという設定になっていると思われる。それに対し黒髪のブリトニーは時にはポール、時には鏡に向かってダンスを行い、ビデオの途中からはベストを脱いでそれを胸に当てて隠しながらダンスを続けている。
このビデオは2007年10月5日にiTunes Storeで独占的に公開された。10月8日からはMTVでも公開され、大きな反響を呼んだ。現在YouTubeにブリトニーのオフィシャルチャンネル(BritneySpears)から投稿されているPVは再生回数が4000万回を超え11万件以上のコメントが寄せられている。
2011年に本作の未公開映像がリーク、街を練り歩くシーンや、ベットで猫と戯れるシーンが挿入されている。
チャート順位
編集チャート(2007-2008) | 最高位 |
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アメリカ(ビルボードHot 100)[1] | 3 |
アメリカ(ビルボードPop 100) | 2 |
アメリカ(ビルボードHot Dance Club Play) | 1 |
カナダ | 1 |
ヨーロッパ | 2 |
アイルランド | 2 |
イタリア | 2 |
スウェーデン | 2 |
スペイン | 1 |
オーストラリア(Singles Chart) | 3 |
オーストラリア(ARIA Dance Chart) | 1 |
ノルウェー | 3 |
イギリス[2] | 3 |
ベルギー | 4 |
スイス | 4 |
フランス | 5 |
ラテンアメリカ総合 | 5 |
フィンランド | 6 |
ドイツ | 7 |
ロシア | 7 |
オーストリア | 8 |
ニュージーランド | 15 |
脚注
編集- ^ a b “Britney Spears”. Billboard. 2023年1月24日閲覧。
- ^ a b “Britney Spears|full Official Chart History”. Official Charts. 2023年1月24日閲覧。