キントキダイ科学名Priacanthidae)は、スズキ目スズキ亜目に所属する魚類の分類群()の一つ。キントキダイクルマダイなど、大きな眼が特徴の食用種を中心に4属19種が含まれる[1]

キントキダイ科
アカネキントキ Priancanthus blochii
分類
: 動物界 Animalia
: 脊索動物門 Chordata
亜門 : 脊椎動物亜門 Vertebrata
: 条鰭綱 Actinopterygii
: スズキ目 Perciformes
亜目 : スズキ亜目 Percoidei
: キントキダイ科 Priacanthidae
学名
Priacanthidae
Günther1859
英名
Bigeyes (Catalufas)

分布・生態

編集

すべて海水魚で、太平洋インド洋大西洋など世界中の熱帯亜熱帯域の海に分布する[1]。4属19種からなる比較的小さなグループであるが、食用として利用される水産上重要なが多く所属し、釣り刺網底引き網などさまざまな方法で漁獲される。日本近海からは南日本の太平洋岸を中心に、4属11種が報告されている[2]

一般に肉食性で小魚や甲殻類捕食し、その多くは夜行性である[1]岩礁サンゴ礁の周辺を遊泳する底生魚で、ほとんどの種が水深数十mから200mまでの範囲で生活しているが、チカメキントキなど水深300-400m付近の深海まで分布するものもいる[3]は浮性卵で、仔魚は表層を漂って生活する[3]

形態

編集
 
チカメキントキ Cookeolus japonicus (チカメキントキ属)。著しく大きな眼、腹鰭と体部をつなぐ膜の存在が本科の特徴

眼球が非常に大きいことが最大の特徴である[1]。左右に平たい(側扁した)いわゆる型の体型をもち、鮮やかな赤い体色の種が多い[4]。口は大きく、斜め上向きにつく[1]。体長30cm未満の種が多いが、最大種(チカメキントキ)は全長69cmにまで成長する[1][3]。眼球の輝板(タペタム)の構造が、真骨類としては特徴的なものとなっている[1]

背鰭は1つで、10本の棘条と11-15本の軟条で構成される[1]。臀鰭の棘条と軟条はそれぞれ3本と10-16本で、背鰭・臀鰭の軟条部はほぼ同じ長さとなる[4]。尾鰭の主鰭条は16本でうち14本は分枝し、形態は円みを帯びるものからやや凹型までさまざま[1]。腹鰭の内側の鰭条は、薄い膜によって体部と接続する[1]

は円鱗[5]だが強いトゲ状の構造をもち剥がれにくく、頭部および鰓膜上にも存在する[1][4]椎骨の数は23個と、スズキ亜目の中では非常に少ない部類に含められる[1]

分類

編集

Nelson(2016)の体系において、4属19種が認められている[1]

 
ホウセキキントキ Priacanthus hamrur (キントキダイ属)。上下端が伸びた、特徴的な湾入形の尾鰭が本種の特徴である[2]
 
クルマダイ Pristigenys niphonia (クルマダイ属)。主に深海の砂底域で生活する[4]

出典・脚注

編集
  1. ^ a b c d e f g h i j k l m 『Fishes of the World Fifth Edition』 p.453
  2. ^ a b 『日本産魚類検索 全種の同定 第三版』 pp.822-825,1978-1979
  3. ^ a b c Priacanthidae”. FishBase. 2016年5月8日閲覧。
  4. ^ a b c d 『日本の海水魚』 pp.286-287
  5. ^ かつては櫛鱗と考えられていた(『Fishes of the World Second Edition』 pp.288-289)。

参考文献

編集
  • Joseph S. Nelson, Terry C. Grande, Mark V.H. Wilson 『Fishes of the World Fifth Edition』 John Wiley & Sons, Inc. 2016年 ISBN 978-1-118-34233-6
  • Joseph S. Nelson 『Fishes of the World Second Edition』 Wiley & Sons, Inc. 1984年 ISBN 0-471-86475-7
  • 岡村収・尼岡邦夫監修 『日本の海水魚』 山と溪谷社 1997年 ISBN 4-635-09027-2
  • 中坊徹次編 『日本産魚類検索 全種の同定 第三版』 東海大学出版会 2013年 ISBN 978-4-486-01804-9

外部リンク

編集